「感動スポーツ」カテゴリーアーカイブ

日本人以上の日本人と言われる“白鵬”

昨年10月17日当ブログでは、大鵬との対談記事を紹介した(http://blog.jolls.jp/jasipa/nsd/date/2011/10/17)。その際、大鵬が「普通の日本人力士よりよっぽど日本の歴史や相撲の歴史を知っており、日本の伝統文化を守ってくれている」と言ったことを紹介した。再度、「致知2012.10」で今度は、経営破たんした日本航空をわずか1年で再生させた稲盛和夫氏との対談記事がある。

稲盛氏も対談の最後で、「ここまでの話を聞いて、本当に横綱は普通の日本人以上に日本人らしい心をもっていらっしゃる。白鵬さんが横綱になられて、大相撲は日本の国技なのに、外国人ばかりだ、という批判が少なくなったような気がします。相撲だけではなく、その心を追求してこられたから、そうなられたのだと思います」と言っている。

白鵬は、稲盛会長が塾長の「盛和塾」の会員になっている(昨年)。柔道の山下泰裕、サッカーの岡田武史氏も会員だ。前項でも紹介したが、白鵬の持論「心・技・体は心が8割、技・体は2割」に基づいて、心を磨くために稲盛氏の講演やCDなどを繰り返し聞いているそうだ。「未だ木鶏たりえず」と安岡正篤氏の教えを請うた双葉山を信奉し、相撲は心だと悟ったと言う。稲盛氏は、「経営も同じで、日本航空の再建でも、再建の主役は自分自身であり、その当事者意識を持つことの大切さを説き続け、その意識が変わることによって同時に業績も向上した。全社員の心を一つにすること、それが経営もポイント」と言い、盛和塾の「心を高める、経営を伸ばす」のテーマが相撲道も同じということで白鵬と意気投合している。

白鵬の話では、双葉山は右目がほぼ見えなかった中で、69連勝を達成したことの素晴らしさを言う。立ち合いでも「勝ちに行くぞ」という気負いがまるでなく、相手の立ち合いをしっかりと受け止めてから自分の型に持っていく。そういう立ち合いを「後の先」というが、右目がほとんど見えない中で立ち合い遅れを克服したそうだ。そして69連勝がストップした時、安岡正篤氏に「ワレイマダモッケイタリエズ」と打電したそうだ。

白鵬は、双葉山が目指した「木の鶏のように動じない心」を目指して相撲道にすると同時に、武道を通じて日本の子どもたちに精神を鍛えて頑張るようメッセージを発信し続けることを夢とすると言う。この話に稲盛氏は「自身が強くなることに加え、青少年の夢を育んでいきたいと言う姿勢は、“才能を私物化しない”との自分に言い聞かせてきた言葉と通ずるものがある」と、称えている。

これまで長い間一人横綱で頑張ってきた白鵬。大相撲も9月場所真っ最中。5人が連勝継続中だが、二人横綱にしてやりたい気持ちと、白鵬に優勝させたい気持ちと複雑だ。

バレーボール真鍋ジャパンお見事!

女子バレーボールが28年ぶりのメダル獲得!それもライバル韓国に完勝しての銅メダル。サッカー男子が韓国に完敗して悔しい思いをしたその日の夜(日本時間)だから余計に感動をもらった。今朝の朝日新聞1面には、「真鍋流データ主義結実」との見出しが躍っている。新日鉄堺の全盛期、中村祐造、田中幹保氏らと共に活躍していた真鍋氏だけに新日鉄出身の私としても格別の喜びだった。監督になって4年近く、2010年の世界選手権でも32年ぶりにメダルを獲得し、今回また、28年ぶりにオリンピックのメダル獲得だ。

「致知2011.9号」の真鍋監督へのインタビュー記事を読み返した。「精密力へのこだわりがメダル獲得をもたらした」とのタイトルだ。2008年希望して監督に就任後、2010年世界選手権3位以内、2011年W杯でオリンピック出場権獲得、最終目標は2012年オリンピックメダル獲得との目標を策定(W杯では五輪出場権獲得とはいかなかったが)。まずは、「世界を知る」をテーマにロシアやアメリカなど強国の戦術などをビデオなどで徹底的に分析。その後、日本の特質を活かしたオリジナル戦術を策定。背が高く身体的能力が高いと言う個の技術を追いかけるのではなく、「和」「器用さ」「緻密さ」という日本人の特性を活かして「サーブレシーブ」「サーブ」「ディグ(スパイクレシーブ)」「失点の少なさ」の四つのジャンルで世界一になるのを目標に掲げた。そして究極は、スタッフを加えたチームの総合力で世界に勝つ!今回の韓国戦を見ると、まさにこの目標が実践できていたのではないだろうか。

真鍋監督はさらに言う。「監督の思いが一方通行になっているチームは勝てない」と。そして「反対に選手が自分達の問題点を自分たちで考えて分析し、スタッフと同じくして試合をしているチームは強い」と。監督が試合中、IPADを持ちながらデータ分析をしている姿はおなじみになったが、試合後もスタッフが入力した各選手ごとのデータを見て選手は勉強し、反省しているそうだ。それまでは、データを見に来る選手はほんの数人だったのが、今では全員必死に見ているそうだ。

チームワークで言えば、試合後のインタビューで選手がスタッフに対する感謝の言葉を口にしていた。さらに背番号13番のユニフォームを迫田選手が着て戦ったというのが、噂になっている。コートには12人しか入れないが、補欠としてもう一人がスタンバイしているそうだ。今回は石田瑞穂選手だったとか。世界選手権では濱口華菜里選手が補欠だったそうだが、腐るどころか、練習には早く来てムードを盛り上げて、雑用で走り回って・・・。この時も竹下選手は銅メダル獲得後、直ぐに濱口選手に駆けより抱き合っていたそうだ。「出られなかった選手がいるから、その選手の分まで頑張りました」と竹下選手は語ったとか。これが本物のチームワークというもの。

敵を知り、自分を知り、その上で自分の強みを活かした戦術をとる。そして明確な目標を持って、行動に移していく。日本女子バレーも日本の誇りと言える。

オリンピックサッカー男女とも感動スタート!

連日のサッカーの健闘に、日本中が沸き立っている。特に昨夜のスペイン戦は、誰もが予想だにしなかった展開だったのではなかろうか。NHK番組に出ていた山本昌邦氏も戦前は、「引き分けに持ち込めれば大成功」のようなニュアンスの発言だった。しかし、90分間、ボール維持率は低いが、終始ゴールを狙う姿勢はスペインを圧倒していたように思った。優勝候補筆頭のスペインにあんなに堂々と怯むことなく戦い勝利した姿に、多くの人は勇気をもらったことと思う。

なでしこジャパンのカナダ戦の最初のゴールもすばらしい連携プレーで、見ているものに大きな感動を与えてくれた。暗いニュースが多い中で、日本人の活躍は「日本人の誇り」を感じさせてくれる。

これに関連して、25日の朝日新聞14面「経済気象台」のコラムが気になった。ロンドンに向かった同じ便にサッカー男女が乗りあわせたそうだ。そして男子選手はビジネスクラス、女子はエコノミークラスだったとか。12時間のフライトだが、この差は何かとの問題提起だ。日本サッカー協会が従来のやりかたに沿ってやったとの事だが、何かおかしいと感じる人が圧倒的に多いのではと思う。日本サッカー協会も次回以降見直すと言っているそうだが・・・。東日本大震災以降も、うちひしがれた日本人にこれほどの感動を与えてくれる「なでしこジャパン」、募金をしてでもビジネスで行かせてやってと思うがいかが?記事は、この問題を、メディアも、若者も取り上げないことを問題にしている。男女格差など本質的な問題を含んでいるとの指摘である。救われるのは、監督や選手たちが問題にしていないことで、勝利に対するひたむきな情熱だけが感じられると締めくくっている。アルバイトで資金を稼ぎながらプレーを続ける「なでしこジャパン」に熱い声援を送りたい!