平成から令和へ:伊勢神宮詣でに(23~25日)

平成の30年が今日で終わり、新たな令和の時代を迎えることになり、世間も歓迎一色、10連休も相まってお祭り騒ぎだ。戦争のない平成時代だったが、この間、天皇陛下・皇后陛下の国民に寄り添うお気持ち、行動にはほんとに頭が下がる思いだ。ほんとにお疲れさまでした。そしてありがとうございました。

4月の第3週に天皇・皇后陛下が伊勢神宮に退位のご報告にお詣りになった翌週23日、24日に60年ぶりに伊勢神宮にお詣りした(小学校の卒業旅行以来)。伊勢神宮の正式名称は“神宮”。ということは日本全国の神宮を代表する場所で、日本人なら一度は訪れたい場所と言うのも頷ける。伊勢神宮は、宇治の五十鈴の川上にある内宮(ないくう)と、山田原にある外宮(げくう)を中心として、14か所の別宮、43か所の摂社、24か所の未社、42か所の所管社など125の宮社の総称を言う。世田谷区と同じ広大な広さだ。

お詣りには順序がある。まずは天照大御神(あまてらすおおみかみ)のお食事を司る神の豊受大神(とようけのおおみかみ)をお祭りしている外宮(豊受大神宮)にお詣りし、次に皇室のご祖神の天照大御神をおまつりする内宮(皇大神宮)に行く。さらには、外宮は左、内宮は右側を歩くのがルールだとか。
まずは火除橋を渡り、鳥居のところで一礼しながら中に入る。すぐご祈祷のお神楽やお礼やお守りを授与している御殿が見える。

天皇陛下も詣でられた正宮に向かう。一番奥の正宮には入れず、入り口で拝礼(ここだけ写真はNG)。別の場所から金色に光る屋根を持つ正宮が窺える。横には20年ごとの遷宮のための空き地が用意されている。

外宮内の別宮にもお参りした。100段以上の石段を昇ると豊受大御神の荒御魂(あらみたま)をまつる“多賀宮”、そして大土乃御祖神(おおつちのみおやのかみ)を祭る“土宮”、風の神をまつる”風宮“だ。1時間ほどの工程だ。

翌朝内宮に行く。ガイドも驚く、バス一番乗りだ(帰りにはバスが一杯駐車場に)。まずは、よくテレビなどでも見る宇治橋とその前にある鳥居だ。新緑が鮮やかだ。川に遊ぶサギにも出会う。

“大正天皇お手植えの松”。剪定も禁止らしく、伸び放題だ。清めの手水舎もあるが、五十鈴川のお手洗い場で心身を清めることもできる。

風に神をまつる別宮“風日祈宮”に向かう道は、古木が立ち並び、モミジの新緑がひときわ美しい。

いよいよ正宮だ。外宮と同じく、正宮には入れず外から一部垣間見るだけだ。参拝するため入り口に向かう。近くに天照大御神の荒御魂をまつる別宮“荒祭宮(あらまつりのみや)がある。内宮の神楽殿の前を通る。御朱印帳をもらう人もいる。

鳥居を出て、五十鈴川を渡る。門外に「平成感謝記帳所」が臨時に設置され、長蛇の列だった。

内宮、外宮の近くにある、伊勢神宮関係の別院も回った。垂仁天皇の皇女、倭姫宮をまつる“倭姫宮”。この地に神宮を創建した由来を持つ姫だ。みちひらきの大神“猿田彦神社”。昔より伊勢神宮の鬼門を守る寺として、伊勢神宮をお詣りする人が必ず訪れていたと言われる“金剛證寺”。

「神宿る森」とも言われる神宮の森を歩くと、歴史を感じさせる大木に囲まれた新緑に、爽やかさと共に厳かな気分を味わえた。今日はまさにテレビも天皇陛下のご退位のニューで持ち切りだ。国民の心に常に寄り添われる両陛下の暖かさに多くの人が救われている。明日からの令和の時代に心を馳せながら、新しい両陛下のもと、世界平和と共に人々の安寧を願いたい。

アンコンシャス・バイアスって?

昨年来、テレビで「アンコンシャス・バイアス」に関するニュースを何度か見た。気にはなっていたが、企業の人事関係者の多くがその研修に参加していると言うので、インターネットで調べてみた。
「女性活躍や外国人社員の増加など多様化した職場の壁となっているのが“アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)”です。“無意識の偏見”による間違った理解や思い込みを取り除く事が、職場でのダイバーシティ(多様性)を推進する鍵となります。」とある。さらには「学歴や年齢、性別、役職など力を持つ側が、アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)にアンテナを立て、意識的に多様な人に向き合うことで、尊重され受容されている、と感じることができるのです。組織内でアンコンシャス・バイアスに意識を向けることは、職場の心理的安全性 を高め、組織と個人のパフォーマンスの向上に役立ちます。」とも。期待通り進んでいない女性活躍の推進、そして4月よりの外国人受け入れ拡大など労働力確保策を進めるうえでも、”無意識の偏見“の壁を克服することが重要課題だと思える。
グーグルでも、2013年から社内で「アンコンシャス・バイアスに関する研修」を実施しているそうだ。米国では、女性は労働力の半分を構成し,科学・技術・工学・数学(STEM)分野の職の約30%を担っているが、映画などで描かれる女性のSTEM従事者の比率は低すぎると言う問題提起がされているようだ。“Me Too”運動も同じ問題認識と思われる。島国でもある日本は、欧米に比しても”無意識の偏見“問題は立ち遅れている中、この対策は急がれるのではなかろうか。

NHKで紹介されたある企業での研修課題。部下に緊急の残業を依頼する際、誰に声をかけるかがテーマだ。選択肢は
①仕事のあとスポーツクラブに通う、独身男性、田中さん
②共働きで、保育園に通う子供がいる男性、鈴木さん
③育児休暇明けで、時短勤務の女性、山田さん
受講者の多くは①を選んだ。しかし田中さんは大事な試合に向けた最後の練習、鈴木さんは奥さんが海外出張中、山田さんは育児に協力的な両親と同居中。このような事実が分かるとだれを選ぶか、選択は違ってくる。無意識の偏見(先入観)が判断を左右することで、本人の意欲をそぐことにもなりかねない。

翻ってみると、私自身も”無意識の偏見“とは無関係ではないように思う。学歴とか、風貌とか、ちょっとした発言だけで人を判断することは避けるべしとの意思は持っていたものの、ほんとに出来たかどうかは自信がない。女性に対する対応も、優しさと勘違いしながら”無意識の偏見“に陥っていたのではないか。常に対話を心がけながら、本人の意向を正しくとらえながら判断することを心掛けておれば、もっと働く意欲に満ちた職場にすることが出来たのではと遅まきながら反省している。アンコンシャス・バイアスの気付きは、働き方改革にとっても大きな意味を持つものと思う。