「大垣共立銀行」カテゴリーアーカイブ

革新力The Company混沌を制する(日経)

日経1面に4月から連載されている「革新力The Company」は面白く読ませてもらっている。イノベーション力というか、いろんな知恵と実行力で、果敢に問題解決に挑戦している企業が満載だ。6月5日の「混沌を制する⑤」ではサブタイトル「過疎路線息吹き込む~賢者は逆境を活かす~」として、埼玉県のイーグルバスや、岐阜県の大垣共立銀行などが紹介されている。以前とある記事で興味を持ち、ブログにも掲載させて頂いた企業であり、興味深く読ませてもらった(イーグルバスはNSD在勤時のイントラで、大垣共立銀行はhttp://jasipa.jp/blog-entry/6477で)。

その記事は「人口約3200人の埼玉県東秩父村でITをフル活用した地域振興策が進む。仕掛けたのは同県川越市に本社を置く中堅バス会社のイーグルバスだ。」で始まっている。日本生産性本部の「ハイ・サービス日本300選」にも選ばれ、日経ビジネスなどメディアにも再々紹介されている。地方の路線バス事業は、人口減少もあり赤字に悩まされている。高速バスや観光バス事業を主事業にしていた該社は、大手が撤退した路線バス事業を2006年に引き継いだが、思い通りに行かず赤字から脱却できなかった。谷島社長は、この状況を克服するため「運行状況の可視化」技術を実現するために埼玉大学工学部に入学し、科学的な再生の道を探った。バスの乗降口にセンサーを取り付け、「どの停留所で、何時に何人が乗降するか」のデータを収集。利用率の悪い時間帯などをあぶり出し、時刻表やルートを頻繁に変えるシステムを開発。結果として、ビッグデータを多角的に収集、路線バス事業が抱えていた課題とその改善策をデータで徹底的に可視化し分析することで、2007年比で客を6万人増やし蘇った。さらに、ITシステムを活用して、観光施設の傍に「ハブ停留所」を作り、ツアー客の乗り継ぎ向上へ村営バスと路線を統合したり、コンビニエンスストアを整える大掛かりな「街つくり」構想を描く。谷島社長は言う。「苦難に直面する地方だからこそ新たな挑戦が出来る」と。

大垣共立銀行も日本生産性本部の「ハイ・サービス日本300選」にも選ばれ、「つきあいたい銀行ランキング」において大手銀行を抑えて全国一位に輝いたりしている。今回の記事では「通帳やカードがなくても手のひらの静脈認証だけで預金を出し入れできる全国初のATMを2012年に導入したことが紹介されている。これをさらに進めて地元商店街で「手のひら決済」を取り入れる構想も持ち、土屋頭取は「手のひらだけでの買い物」を大真面目に考えていると言う。過疎地巡回の移動店、ドライブスルー店舗など、大垣共立銀行は次々と全国初のサービスを実施、個人預金残高は20年以上連続で増加している。土屋頭取は言う。「首都圏は大きすぎ。地方はニーズをとらえやすく自由がきく」と。むしろ地方にいるハンディをプラスに転じて新たな商機を生み出す。

大垣共立銀行CS全国一位!大垣共立銀行

経済産業省がGDPの70~80%を占める日本のサービス産業の生産性向上、効率化を狙って作った「サービス産業生産性協議会」主催の『SPRINGシンポジウム2011』が17日にあった。この協議会の主体的な活動は、

  • JCSI(日本版顧客満足度指数)による、業界横断評価および結果の公表活動
  • イノベーションや生産性向上に役立つ先進的な取り組み(ベストプラクティス)を行っている企業表彰制度『ハイ・サービス300選』活動

の二つである。前者は2009年度から始め、2010年度と2回にわたって50位まで公表されています。後者は既に270社近く表彰されており、残り30社程度の状況にあります。これも公開されています。

 今回は「ハイ・サービス300選」の中で興味深かったのが大垣共立銀行です。2005年度にもダイヤモンド社が行った顧客満足度調査「つきあいたい銀行ランキング」において大手銀行を抑えて全国一位に輝いています。表彰のキャッチフレーズは「顧客目線のサービス提供で、銀行CS全国一位を獲得」。異業種研修でコンビニの店長を経験した行員6人が‘銀行は入りづらく、楽しいこともなく、銀行の都合を優先した店舗づくりをしている’と感じたことから、外観からサービスまでコンビニの特徴を取り入れた店舗を作ったのです(コンビニプラザ半田)。層別ブース(高齢者向け和風ブースなど)の設定、無料喫茶コーナー、雑誌コーナー、トイレ(普通防犯上銀行店舗にはない?)設置に加えて、相談したい店員も指名(予約)できるという、全国から見学者が絶えない店舗だとのことです。他にも、休日も開設の店舗(エブリデープラザ)や、バスによる移動店舗、離婚関連専用ローンなどまさにお客様目線を徹底したサービスを心がけ、実践しています。一時は社名が長い、地方色が濃いなど社名変更の希望が行員からも出ていたそうですが、今ではブランド名も挙がり、行員のモラルは上がり、新人採用も優秀な人たちで埋まるそうです。

今朝(20日)の日経新聞の記事が目に留まったのですが、大垣共立銀行では海外に進出する企業対応のため、海外研修でシンガポールに入社4年目の女性を1年間派遣するということです。

上場企業90%が企業理念に「お客様第一」に類した表現を上げているが、具体的に行動している企業は10%程度と言われています。大垣共立銀行のように、徹底したお客様指向は見習うべきものが多いのではないでしょうか。