あなたは「はままつフラワーパーク」に行ったことありますか?「あしかがフラワーパークには?」。現在「はままつフラワーパーク」の理事長、そして「あしかがフラワーパーク」の園長をやっておられるのが、浜松市花みどり振興財団理事長の塚本こなみ氏だ。「致知2014.9」のインタビュー記事に表題のテーマでの塚本こなみ氏の記事が掲載されており、特に「感動分岐点」の言葉に興味をひかれて読んだ。
今年の浜名湖花博で、3月から6月に.かけて、目標の20万人をはるかに超え60万人という過去最高の入園者を記録。実は「はままつフラワーパーク」は園が存続できるかどうかの瀬戸際にあり、昨年春、園の再生のために塚本氏が理事長として招かれたそうだ。この時考えたのが「損益分岐点」ならぬ「感動分岐点」。これ位なら感動しないけれど、それを超える何かを提供すると感動が心の中に染み入る。見た事も無い景色や想像をはるかに超えた場面を提供することが、感動分岐点超えになる。そして、「はままつフラワーパーク」で提供したのが、日本庭園の美しい風景の中で桜とチューリップの競演を、30万平方メートルと言う東京ドームの7倍に相当する園で演出するということだった。桜の名所やチューリップの名所は日本の各地にあるが、日本庭園や池、水路の周りに配したチューリップと桜の競演はどこにもない。
女性第一号の樹木医として樹齢300年のソテツの蘇生や、樹齢1000年の木の移植などを手掛けていたところ、開演前の「あしかがフラワーパーク」から幹回り3m60cmの藤の大木の移植依頼が来た。藤は驚くほど腐りやすく幹が柔らかく幹60cm以上の藤の移植は不可能と言われていたそうだ。そんな仕事を受けたが、案の定苦労し、頭を悩ませながらも、幹を痛めないために石膏で幹を固めるなど思いもよらなかった方法を駆使しながら2年間かかって成功させた。そうこうするうちに園長を依頼され、園全体の設計にまで口を出すようになったそうだ。そこで「感動分岐点」の考えで、亀戸天神や春日部、藤岡の藤名所を凌ぐ「世界一の藤のガーデン」を創り上げ宣伝した所、毎年入園者が増え続け、年間20万人が数年後には100万人を超える日本一の入園者を誇るフラワーパークになった。たしかに私も2回行ったが、大藤4本、白藤トンネル一つ、庭木仕立ての藤が160本というその規模の大きさにはほんとに感動した。近くの亀戸天神の藤が小さく見える。
塚本氏は言う。感動分岐点を超えるにはスタッフが全員心を一つにすることが大事だと。そのために「あなたがやる仕事を見て、お客様は喜ぶの?」と常に自分に問いかけるように呼びかけていると。目標も明確だし、入園者も増え、社員の表情は明らかに輝きだしているとも。
「顧客に感動を与える」というのは、我々IT業界もサービス業で有ることを考えるとフラワーパークと一緒だ。満足を超え、感動から感激、感謝へと顧客満足度を高める施策を考える上で「感動分岐点」の考え方は分かりやすく面白いと思う。