「日本人の誇り」カテゴリーアーカイブ

”人助け文化”日本は危機的状態!?

8月19日毎日新聞朝刊“余録”を読んで「日本の助け合い文化レベルの低さ」に驚いた。インターネット記事を原文のまま下記に紹介する。

「人助け指数」と呼ばれる国際調査がある。「見知らぬ人や、助けを必要としている人を助けたか」「寄付をしたか」「ボランティア活動をしたか」という問いに対する各国の人々の答えを英国の慈善団体CAFが集計した▲最新2021年調査の首位はインドネシア。「ゴトン・ロヨン」と呼ばれる共同体内での相互扶助システムが健在で、コロナ禍ではそれが発揮されたと報告書は分析する。日本は119カ国・地域中118位だった▲日本のムラ社会にも相互扶助の仕組みはあった。おきてに背けば葬式と火事の時以外は助けない「村八分」となった。経済発展とともに都市化が進み、そうした制裁の風習も廃れたが、人助けの文化まで失われたのか▲とりわけ冷淡とか、けちだとかいうわけではないだろう。国内で災害が起きれば多くのボランティアが駆けつけ、寄付金や応援物資が集まる。ただ、遠く離れた見知らぬ国の危機には疎い、と言われれば耳が痛い▲きょうは世界人道デーバグダッドで国連事務所が爆撃され、人道支援の職員ら22人が死亡した03年の事件をきっかけに創設された。人道危機に直面する人、それを支援する人の双方に思いを寄せる日だ。国連の特集サイトには「助けるべき人口は20年前の10倍になった」とある▲戦下の国はもちろん、政変や気候変動も人道危機につながる。その国の政府に頼れないからこそ、世界中の見知らぬ人の支援が欠かせない。苦境に思いをはせ、行動に移す最初の日にしたい。

記事にあるように、今回の台風6号、7号などの被害地に“ボランティアが駆け付け、寄付金や応援物資が集まる”のを見て、日本はやはり世界に誇れる共助国だと思っていた。が、裏バイトで高齢者をだます事件など、毎日嘆かわしい事件が相次いでいる。電車内の優先席の利用に関する問題もたびたび見聞きする。世界で最低の評価とは信じられない面もあるが、素直にこの問題をとらえ、世界に誇れる国になるためにみんなが考え行動に移す時だとも言える。日本を世界に誇れる国とするために。私自身も今後の行動を真剣に考えたい。

日本人が誇るべき「利他的遺伝子」!

久しぶりに、人間学を学ぶ月刊誌「致知」の記事を紹介する。2020.3月号に当ブログでも紹介したことのある筑波大学名誉教授村上和雄氏(生命科学研究者)の「日本人の利他的遺伝子」があった。そのリード文は
人間には誰かの幸せや喜びのために生きようという「利他的遺伝子」が備わっているというのが遺伝子工学研究者の第一人者・村上和雄氏の持論である。日本人の利他的遺伝子の発現は、その歴史の中でいくつもの事例を挙げることができるという。そこから見えてくるのは、日本人が持つ他に誇るべき美点である。
とある。

日本人の利他的遺伝子の発現事例は数多くあり、諸外国からの評価は高い。村上氏が挙げる事例の一部を列記する。
1.記憶に新しいアフガニスタンに命を捧げた日本人
★アフガニスタンで医療や人道支援に尽力された中村哲氏。昨年12月4日に非業の死を遂げられ、国内外で追悼の声が挙がり、中村氏の死を悼んだ。人道支援に対する脅しにもめげず、「平和に武器はいらない」「百の診療所より一本の用水路を」「家族と一緒に暮らし、食べていける。まずそれさえ保証されればアフガニスタンの人々は満足してくれる。紛争も収まっていく」との固い思いの元、1万6500haの灌漑を実現し、65万人の生活が維持されることになった。想像を絶する「利他的遺伝子」の発露に頭が下がる。

2、ポーランドやイスラエルが今でも日本に恩義を感じている件
★第二次世界大戦時のユダヤ系ポーランド人を救出した杉原千畝氏(当時リトアニアの領事代理)の話(https://jasipa.jp/okinaka/archives/98)。当時同盟関係にあったドイツの迫害を受けたユダヤ人の救出には相当の覚悟をもって望まれたことと思う。
同じく2万人のユダヤ人の入国を拒否した満州国(ドイツへの気がね)を説得し、救済した関東軍ハルピン特務機関長の樋口季一郎少尉の話。

3. 中国の人に感銘を与えた件
★2008年5月四川省での大地震の時の事。死者の数9万人という悲惨な事態でした。その中で駆け付けた日本の救援隊が残した1枚の写真に反日感情の強い中国人の間から絶賛の声が挙がった。それは、母子の遺体を日本の救援隊が発見、救援隊全員が整列し、二人の遺体に黙とうをしている写真だ。失われた命に敬意を表する姿に「日本人を見直した」と言う声が広がったそうだ。
★東日本大震災の時の女川町での出来事。ある水産会社で働く中国人20人を専務が自らと家族を犠牲にしながら全員救出した話だ。
★同じく東日本大震災の時、香港から石巻市に旅行に来た夫婦をJR職員が救い、その後、ある一家に5泊お世話になった話。など。

本来「利他的遺伝子」を人は内在的に持つと言われている。それを“スィッチオン”でき様々な場面で活躍しているのが日本人ということであり、“日本人が持つ他に誇れる美点”と村上氏は言う。「このような心温まるエピソードに触れるにつけ、日本人としての誇りが高まっていく」と村上氏は締めている。
悲惨な事故、事件も多く、惨めな気持ちになることもあるが、“人間とはこんなに温かったんだ”といろんな事例を思い出しながら、自らも「利他の遺伝子」をスイッチオンすることで日本の美点を増幅していければと思う。

“お辞儀”は日本固有の文化?(ラグビーW杯での海外選手の行動)

日本を賑わしているラグビーW杯、20日の準々決勝では残念ながら日本は敗れたが、予選全勝で初めてのベスト8進出で歴史を作り、その健闘を称える声が日本中を沸かせている。私も全試合テレビに釘付けで、日本の健闘に魅せられ、野球やサッカーはあまり見ない家内も“にわかファン”となってしまった。

試合では大男が肉弾ぶつかり合いながらボールを奪い合い、ひと時も休むことない試合展開に目を離せないが、最後はラグビーを”ノーサイドゲーム“(テレビでも池井戸潤原作の同名ドラマを見た)と言う通り、試合中の敵、味方の格闘を乗り越え、終わればお互いをリスペクトし、お互いの健闘をねぎらいあう姿を見て、勝っても、負けてもすがすがしい気持ちが残る。他の競技では、ここまでの行動は見られないのではなかろうか。
その中で、今話題になっているのは、試合終了後、海外チームの、相手チームに対しても、観衆に対しても深々と”お辞儀“をする姿だ。海外では、深々とお辞儀をする習慣はないそうだ(米国で大谷がホームランを打った時にベンチで”お辞儀で迎える“ことが日本特有の儀礼ということで話題になっている)。オールブラックスの選手は、「日本の皆さんに対するリスペクトと、サポートへのお礼の意味でやっている」と語ったそうだ。そして、応援してくれる日本の人たちの親身の行動(海外チームのジャージ―を着たり、バッジをつけて応援したり、子供たちが民族舞踊ハカで出迎えるなど)に日本が好きになる選手も多いそうだ(https://www.afpbb.com/articles/-/3246683?pid=21675793)。
台風で中止になった釜石でカナダの選手などが、被害を受けた街の復旧をお手伝いしたことも話題になっている。日本だから、日本が好きだから、より大きな盛り上がりを見せているとも言える。今回のラグビーW杯は、国内のファンも呼び起こし、世界への日本のアピールにも貢献し、まだ終わってはいないが大成功だったと言えるのではなかろうか。

話題は変わるが、”お辞儀“に加えて、日本独自のものとして”合掌礼拝“がある。人間学を学ぶ月刊誌「致知2019.11号」の連載「禅語に学ぶ」(臨済宗円覚寺は管長横田南霊嶺氏)に「合掌礼拝」をテーマにした記事があった。海外のホテルのチェックインの際、記入用紙の宗教欄に”無宗教”と書いたら、宿泊拒否された話が載っていた。困り果てて、思わず手を合わせて「頼みます」と懇願したら、「あなたは仏教徒では」と言われ思わず夢中で「そうだ」と言って事なきを得たとのエピソードだ。”合掌“は東洋人の発明とあるが、宗教に関わらず日本人にはなじみの深いもの。手を合わせた姿には言葉や文化の違いを超えて、何か通じるものがあるのでは、と横田管長は言う。

日本チームの約半数が海外出身ながら“One Team”でみごとな力を発揮したこともすごいが、海外の人たちに好感を与えた日本人の”おもてなし“の精神・行動もすばらしい。来年の東京オリンピック・パラリンピックでも日本の良さがさらに全世界の人にアピールできることを期待したい。