社員を躍動させる”ホラクラシー”組織とは???

9月11日日経朝刊に大々的に“「ホラクラシー」組織躍動”との記事が掲載された。サブタイトルに「上司も部下もなし」、「アトラエ 社員の熱意引き出す」とあり、関心をもって読んだ。記事のリード文を紹介する。

社長の下には役員・管理職がいて、その他多くの平社員―――・日本に限らずヒエラルキー型の組織は企業の一般的な姿だ。ところが6月、上司や部下も命令もない企業が東証1部に登場した。「ホラクラシー」などと呼ばれ、指示を受けず自分で考え自分で動く自律型スタイルだ。そんな「性善説」経営で本当にビジネスが回っているのか。

6月に上場したのは求人サイト運営の「アトラエ」(“アトラエ”とはスペイン語で“魅了する”との意)。約50人の会社で8期連続増収増益を達成している。会社法で取締役、CEO,CFOは置くが、それ以外の肩書は基本的になし。全社員が情報共有し、自ら考え自ら行動するための施策が豊富だ。ホラクラシーの弱点ともいえる公平な評価制度に関しては、「360度評価」と独自アルゴリズムを活用する。まず自分の働きを理解していると思うメンバー5人を選ぶ、5人の評価も、周囲からの評価の高い人、低い人で重み付けをし、公平性を保つ。新卒の面接は5回行い、中でも不満を外部の理由にし、できない理由を見つけようとする人は外す。

米調査会社のギャラップが17年に公表した仕事への熱意についての国際比較によると、日本で「仕事に熱意をもって積極的に取り組んでいる」従業員の比率は全体のわずか6%。調査した139か国の中で132位と最下位級に沈む(日本人の低エンゲージメントに関してはhttps://jasipa.jp/okinaka/archives/7809)。埼玉大学の宇田川元一教授は「“ヒエラルキー型“は決まったことをきちんと実行するにはいいが、イノベーションは生まれない」と言う。
以前、JASIPAの定期交流会で講演頂いたソニックガーデン(https://jasipa.jp/okinaka/archives/2399)もホラクラシー型の企業として挙げられている。“社員にとって働き甲斐のある企業”を求めて、社会は動き始めている。社員の意欲をかきたて、社員の能力を最大限発揮できる環境を作ることで、成長をし続けている企業も数多い。日経9月13日の夕刊「目利きが選ぶ3冊」で「この会社を知らずに中小企業を論じる人はもぐりだ(兵庫県立大学中沢孝孝夫員教授)」と評された「遊ぶ鉄工所」(ダイヤモンド社、2018,7刊)もすごい挑戦をして会社をクリエイティブ集団にし、増収増益を継続している。京都にある「ヒルトップ㈱」だ。いずれ紹介したい。

事業継続の活路は、“社員の自主的なやる気”であり、“人はその気になればすごい力を発揮する”ということを実証している。

世界のエリートが今一番入りたい大学ミネルバ!

世界のエリートが今一番入りたい大学ミネルバ」とのタイトルの本が出版されている(ダイヤモンド社、2018.7発行、山本秀樹著)。本屋の店頭で興味を引くタイトルのため、斜め読みした。帰って、インターネットで調べると著者のページに巡り合えた(なぜ、キャンパスも“講義”もない大学に、”ハーバードを超える人材が殺到するのか?” https://diamond.jp/articles/-/175064 ダイアモンドオンライン)。
2014年にサンフランシスコを拠点に開校したそうだが、今では2万人以上の受験者が集まり、合格率は1.9%、中にはハーバード大学、スタンフォード大学などの名門大学の合格を辞退して進学する学生もいるとか。現在日本人学生も3人いる。
“校舎”がない、教師は“講義”も”テスト“もしない、全寮制なのに授業がすべてオンラインという、常識にはない大学だ。大学を立ち上げたのは教育業界では無名の起業家(ベン・ネルソン氏)だが、その意思は、オバマ元大統領やハーバード、ペンシルバニア大学の元学長など多くの著名人の心を突き動かしミネルバ構想は推進されていった。その意思とは、トップ・エリート大学の”学びの質“と”非効率な経営“を徹底的に見直し、高等教育をあるべき姿に戻すこと。そして既存の大学が苦しんでいる「変化の速い社会で活躍するための実践的な知恵」、「複雑化した国際社会や異文化への適応力」、「高騰する学費と学生ローン」に対して具体的な実例でその解決法を提示している。学費も既存の米国トップエリート大学の3分の1以下(年間138万円)で、しかも各家庭の経済力に応じた給付金制度もあり、1円も負担しない生徒もいるそうだ。
教師にとっては効率的な講義方式をやめ、教師・学生全員が集中し、学習効果を最大限に高めることが可能な「アクティブ・ラーニング・フォーラム」を採用。すべての授業は、教員含め20人以下のセミナー方式で行うが、教室はなく、オンライン・プラットフォームを通じて行う。参加者全員の顔も見え、発言の多寡もわかり、だれに発言させるか教授の判断も可能だ。
“異文化への対応力”視点では、学生は4年間で世界7都市(サンフランシスコ、ソウル、ハイデラバード、ベルリン、ブエノスアイレス、ロンドン、台北)を巡回し、滞在地で現地の企業、行政機関、NPOなどとの協働プロジェクトやインターンを経験しながら同じ生活を営めることが挙げられる。その間もオンラインで、どこにいても先生や他の学生との授業は可能だ。最初はアジアの拠点として東京、京都、福岡が候補となったが、ソウル・台北が選ばれた。マッキンゼー、グーグル、ゴールドマン・サックスなどがキャリアオフィスを提供し、アルゼンチン教育省などの政府系機関がプロジェクト学習の機会を与えていることを考えれば、日本が選ばれなかった理由とともに、グローバルに活躍できる才能ある人材を獲得するために必要な要素を見つけるヒントになると著者山本氏は指摘する(本を読めばわかる?)。
とんでもない大学と思われる方もいるかもしれないが、1年生終了時のクリティカル思考力を測定する外部テストで全米の大学の中で圧倒的一位の成績を収めているとの事。変化が激しく、グローバル化がますます進む中での対応力、判断力は、従来の講義やテストでは測れない。米国西海岸のイーベイやウーバーなど著名なベンチャーキャピタルから多額に資金を得ている。各企業も、経営企画・新規事業開発、マーケティングなどの面でこれからの人材育成への新しい挑戦に期待するところが大きいのだろう。壮大な実験が進んでいる。期待したい。