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サイバー攻撃が恐い!

防衛関連企業の三菱重工や、衆議院議員のサーバーへのサイバー攻撃が話題になっている。よくテレビでお見受けする軍事アナリスト小川和久氏が、ある講演で日本の政治のセキュリティに対する認識の薄さを嘆いていられたのを思い出した。2008年に日本サードパーティ社が開いた特別講演会だった(マカフィー社から頂いた講演録より)。

小川氏は、仕事上防衛省にもよく出入りされており、防衛省で講演などもされている方です。アメリカの国防にも精通されており、セキュリティの弱さを過去の政府(経産、防衛、外務大臣など)に伝え、対策を進言してきたと言われていますが、縦割り行政の中でなかなかうまくいかなかったそうだ。意識の低さの事例として、官邸や防衛省などへの出入りで、携帯を持ち歩くことも自由な事を指摘されていた。こんな事は諸外国ではないことと言われていた。携帯電話を通話状態にしていたら、会話は外にも漏れる。大臣が官邸内を携帯電話で通話しながら歩いている姿がテレビで放映されたが、外国に「官邸はシールドされていません」と宣伝するようなもの、と。危機管理意識もさることながら、危機に対する備えも遅れている。サイバー攻撃を抑止するためのハッカー(高い倫理観と道徳心を兼ね備え、高い技術を持ったハッカーを「エシカルハッカー」と言う)の育成も、アメリカ、中国などに大きな後れをとっている。アメリカでは危機管理訓練も、抜き打ち的にやるそうだ。それも大統領機に実際爆弾を積んだ自動車を横付けするらしい。日本では、ハッカーを呼んで、実際本社サーバーに侵入してもらう訓練を実施しても、どのポートから侵入するか事前に分かっているような訓練となる。このあたりの真剣さも違うらしい。

以前当ブログにUPした「サイバー戦争(http://jasipa.jp/blog-entry/6318)」も現実の問題となっている今、日本はどうすればいいのだろうか?尖閣諸島のビデオ流出事件でバタバタしているようでは、ますます諸外国からの絶好の攻撃の的になってしまう。マスコミも、国家のセキュリティ対策に関して、あまり問題認識がないのだろうか?

世界サイバー戦争???

本屋さんに立ち寄ると過激なタイトルが目にとまった。「核を超える脅威~世界サイバー戦争~見えない軍拡が始まった」(リチャード・クラーク/ロバート・ネイク著、徳間書店2011.3.31発行)。著者は米国安全保障の専門家。表紙にはさらに「中国、北朝鮮、ロシア・・・、今や日本を囲むすべての国がサイバー部隊を増強している/その恐るべき実態を明かす」とあった。

「サイバー戦争」とは、「損害や混乱をもたらす目的で、国家が別の国家のコンピューター・ネットワークに侵入する行為」のこと。サイバー戦争はすでに、イスラエルやロシア、北朝鮮、中国などによってはじめられ、中国はハッカー集団を組織化し欧米や日本の企業などからスパイ史上例をみないほどの規模で情報を盗み取っているらしい。

2007年イスラエルがシリアの核施設(北朝鮮が建設中)を空爆したが、その際、シリアは数十億㌦をかけて作った防空システムが機能しておれば敵機が検知できたはずなのにイスラエルが防空システムを支配してしまったため、検知不能に陥ったとか。2009年北朝鮮のミサイル発射の際、世界中のコンピューターに発せられたメッセージによって、米国国務省や韓国の政府系、銀行を機能不全に陥れた。

中国は湾岸戦争の時の米国の情報システムの精度を見て、自国のシステムの遅れに築き、以降民間人のハッカーを募り、マイクロソフト、シスコから巧みに情報を得て、今ではほとんどのネットワークを機能不全に陥れることができるという。米国の電力会社の発電機の回転速度を、地球の裏側のネットカフェから触れることも、実験で確認されたそうだ。

ウィキリークスも、ジャーナリストや技術者などフルタイムで作業する人以外に、全世界に1200人のボランティアスタッフによって寄付で運営されているとか。アサンジがいなくなっても、この活動は情報の検証体制、バックアップ体制含めて続けられる体制となっているそうだ。2006年設立目的は「あらゆる地域の政府、企業の非論理的な行為を暴こうと望むすべての人々の役に立ちたい」。2007年にはケニア元大統領の汚職を暴き、国際人権擁護団体「アムネスティ・インターナショナル」からメディア賞を授与されている。権力の横暴、不正を暴くという点での評価と、機密情報を暴露する罪とのバランスはあるが、この動きが止まらないとすれば、マスメディアはもちろん、各国政府は何らかの対策が必要となるが・・・。

光速、地球規模であっという間に拡がる「サイバー戦争」、今回の震災で言われ始めた「地球市民」を目指すことしか解決の道はない???