(日本で一番視察が多いスーパーの経営哲学(ハローディ) | 冲中ブログ (jasipa.jp))で、ハローデイの紹介をしたが、その中で「研修で覚える言葉に“ピンチはチャンスだ、ありがとう”というのがある。例えば私に怒られて落ち込んでいる人に「よかったなおまえ、おめでとう。チャンスじゃないか」と言って励ますのだそうだ。それは店舗火災事件で大打撃を受けた時、加治社長が何度も何度も唱えた清水英雄先生の詩のお蔭で立ち直れた経験を活かしての事だ。」と書いた。清水英雄先生の詩とは次の「ありがとう」の詩だ。
つらいことがおこると/感謝するんです/これでまた強くなれると/ありがとう/
悲しいことがおこると/感謝するんです/これで人の悲しみがよくわかると/ありがとう/
ピンチになると/感謝するんです/これでもっとたくましくなれると/ありがとう/
つらいことも悲しいこともピンチものりこえて/生きることが人生だといいきかせるのです/自分自身にありがとう/
そうするとふっと楽になって/楽しくなって人生がとても光り輝いてくるんです/
ピンチはチャンスだ/人生はドラマだ/
人生がとてもすてきにすばらしく/よりいっそう光り輝きだすんです/ますます光り輝く人生をありがとう の心と共に
ハローデイが、やっとどん底の状態から明かりが見え始めたとき、最も稼いでいた店舗が火事にあった。それを聞いて加治社長は車で駆けつけたが、車の中では悪い事ばかりが浮かんできて怖さで震えが止まらなかったそうだ。その時、上記詩がふっと浮かんできて、それを必死で大声で唱え始めた(店に着いたときは声が枯れていた)。店長が「すみませんでした」と謝ってきたとき、口から出てきた言葉は「店長大丈夫や!改装費が1億、2億かかっても君ならまた取り戻せるやろ」。店長は社長から大叱責を喰らうと思っていたところ、このような言葉だったことで嬉しくて嬉しくて涙が止まらなかったそうだ。そして火事の1か月後の再開時、売上がオープン時の35%増しとなったそうだ。この時の経験が「ピンチはチャンスだ、ありがとう」につながった。(「致知2014.5号」“すべては縁ある人と感動するために”より)
一言の重み、先哲・先人の教えの重みをひしひしと感じる。いろんなことを素直に受け止める心が、自分の人生を豊かにしてくれる。江戸時代の儒者・佐藤一斎の言葉を挙げておく。
少にして学べば、則(すなわ)ち壮にして為す有り。
壮にして学べば、則ち老いて衰えず。
老いて学べば、則ち死して朽ちず。
(若いうちに学んでおけば、大人になった時には、人のためになることが出来る。大人になっても学んでおけば、年をとっても気力や精神力は衰えることなく元気でいられる。年をとっても学ぶことを続ければ、ますます高い見識や品性をもって社会に向かうことが出来、死んでもその精神や業績は語り継がれる)