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ユニバーサル・スタジオ・ジャパンをV字回復させた男!

今、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンが元気だ。2013年度に、2001年度開業以来となる年間1000万人を突破。1時期700万人台まで落ち込んでいた集客をV字回復させたのは。チーフ・マーケティング・オフィサーの森岡毅氏(S47生まれ)だ。森岡氏はP&Gなどいくつかの企業を経て、2010年にUSJ入社。その当時は開業以来最悪の700万人台の前半まで落ち込んでいいたが、そこから3年半の間に1.4倍の集客を実現した、その推進役だ。どんな経過でこうなったのか?「致知2014.6」のインタビュー記事「地球上で最も必死に考えている人のところにアイデアの神様は降りてくる」より、紹介する。

USJのCEOグレン・ガンベルのヘッドハンティングで、入社をした。森岡氏はグレンに惚れこみ、その長所を吸収しようと決断したためだ。集客1000万人を目標にしたが、なぜここまで低迷したか、その原因を把握するために、「迷った時は現場に行け。そこに必ず答えがある」との教えに基づき、自分の足でパーク内を歩いた。そしてエンターテインメントの内容が大人向けに偏っていることに気付く(アトラクションの身長制限で子供が乗れない、精巧な恐竜を見て子供が泣きだす・・・)。そこでファミリー層を集客の中心にするための「ユニバーサル・ワンダーランド」を2012年春に開業。今年7月にはハリーポッターの世界を再現した「The Wizarding World of Harry Potter」を開業させる。しかし、これらの開業前の2011年度は開業10周年。お客様の期待に沿える何かを仕掛けなければならなかった。来る日も来る日もアイデアを詰め、追加投資なく出来ることを考えて行った。トリックアートをパーク中にちりばめたり、仕事をしているように見える従業員が突然演奏やダンスを始めるストリートパフォーマンスを演出したり。2011年3月3日に始めたこのような十周年イベントは好調な滑りだしだったのだが、想いもせぬ1週間後の東日本大震災で大きな打撃を受け、経営が危機に瀕することが想定される状態にまでなった。そこでCEOグレンなど全役員からも反対されたが「大人一人につき子供一人を無料にする“スマイル・キッズ・パス”」を実施。GW前に発表したが、この施策があたり第1四半期の負けを取り返すことが出来た。2013年には、寝ている間に思いついた「後ろ向きに走るジェットコースター”ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド・バックドロップ」を誕生させた。待ち時間の記録を作る最大9時間40分待ち。2013年度1000万人超えに大きく貢献した。この時ほど、「ある問題について、地球上で最も必死に考えている人の所にアイデアの神様は降りてくる」と実感したことはないと森岡氏は言う。

ともかく「我々がやっている仕事は、お客さま一人ひとりの笑顔を作り、元気にすること」、そのためには、「アトラクションやショーと言ったコンテンツはもちろんあるが、結局は人の力。現場に出てお客さまの接点に立っている人間がどういう高い志のもとに、プロとしてのパフォーマンスを発揮できるか。ここがすべて」と。さらに「自分の人生の軸をどこに置くかと考えたときに、私は個人の幸せを最大化させるために頑張りましたっていう人生よりも、周りのために自らを顧みず、情熱を持って働いたと言う人生の方がいい。それが私の目指すリーダー像です」と森岡氏は言い切る。このようなリーダーの志とビジョン、そして率先垂範する姿勢が、頭はよくて一生懸命仕事はするが、自ら主体性をもって考えるという社風がなかった世界を大きく変えた大きな力になっているのだと思う。

森岡氏は私の長男と同じ年齢だ。30歳~40歳代の中堅クラスが、頑張っている姿を見聞きすると、日本の将来に希望が湧いてくる。