「感動スポーツ」カテゴリーアーカイブ

国立最蹴章高校サッカー決勝、こんなことが起こるんだ!(13日)

石川県星陵高校(本田の出身校)と冨山県富山第一の初の北陸勢対決となった今年の決勝(オリンピックに向けての改修のため、今回が国立での最後の試合)。今回の大会で無失点の星陵高校の勝利を多くの人が予想していたのではなかろうか?試合は、前半は完全に富山第一のペースだったが、ペナルティで1点星陵がリードする展開。やはり、星陵のディフェンスはすごい。後半は、星陵もペースを取り戻し、お互いに攻め合う展開に。そして星陵が後半25分1点取り2点差。これで、星陵の優勝間違いないな(星陵高校自身もそう思ったのだろう、主将と今日の唯一のポイントゲッター2人をOUT)と思っていたら、後半42分過ぎてから信じられないことが起きた。まず42分の富山第一が、星陵にとっては初の失点になる1点ゲット(2:1)。そして既にロスタイム3分も残すは1分となり、ここまでか、と思ったその瞬間、ペナルティエリア内で星陵の反則、これを監督の息子がきっちり決めて同点、延長戦に。10分X2の延長戦も攻め合いになったが、点が入らず、富山第一もペネルティキック戦専用ゴールキーパー(準決勝の四日市中央工戦ではPK戦でこのゴールキーパーの活躍で決勝に進むことが出来た)を準備しつつあった後半9分、富山第一の見事なゴールが生まれた。

放送でも紹介していたが、富山第一のメンバーはほとんどが県内選手で構成され、「人間性重視の教育」が有名で、ドンドン人が集まって来るとのことだ。大塚監督の息子大塚翔君がチームの精神的に大きなバックボーンとなっている。同点のPKもかなり緊張する場面だが堂々と決めていた。「諦めない心。最後までメンバーを信じていた」との大塚監督の言葉には胸に響くものがある。この信頼関係があれば、いつかは必ず花は開く、と信じつつ、日々頑張っていたのだろう。でないと、あと2分で同点に持ち込むことなど出来る筈もない。

久しぶりに、すばらしい感動をもらった。富山第一のみなさん、おめでとう、そしてありがとう。

前橋育英高校と延岡学園の美しき決勝

FBでも話題沸騰のNumberWeb氏原英明氏の記事のタイトルだ(http://number.bunshun.jp/articles/-/655334?fb_action_ids=388238684635402&fb_action_types=og.likes&fb_source=other_multiline&action_object_map=%7B%22388238684635402%22%3A202701419896769%7D&action_type_map=%7B%22388238684635402%22%3A%22og.likes%22%7D&action_ref_map=%5B%5D)。副題に「両校が見せたクリーンファイトの爽快」とある。

その記事の中に「勝つことよりも、人間性を誉められる方が嬉しい」とのサブタイトルで、「前橋育英は“凡事徹底”という言葉を掲げ、小さなことを積み重ねて強くなってきたチームだった。全力疾走やカバーリング。日常生活においては、挨拶や時間厳守、掃除を重んじ、人間性を高めてきた。荒井直樹監督は言う。野球以外の面で重視しているのは、服装と時間、清掃などです。服装が乱れたら、社会では生きていけません。時間はただ、集合時間に間に合えばいいということではなく、提出物をきっちり守るとか、『間に合う』ということが大切。掃除については、片づける人間か片づけられない人間なのかどうか。野球の試合の中には、『試合を片づける』という部分がありますし、そこにつなげて話をします」とある。たしか、優勝した翌日の新聞記事にも「前橋育英の選手は甲子園に来てからも毎日朝10~15分の散歩を全員に課し、ごみ拾いなどをした。このような人間力育成に力を入れている」とあった。延岡学園も日々の積み重ねを重視、野球の練習だけではなく、日常生活・学校生活で自身を律する。挨拶やゴミ拾いなどの当たり前のことを当たり前に繰り返してきたと重本浩司監督は言う。今回の決勝戦でも、「対戦相手の捕手に駆け寄って、手当をした前橋育英一塁コーチャー」や、「キャッチャーマスクを打者がわざわざ拾う行為も普通のこと」という数々の事例に、「凡事徹底」の教育が徹底されているのを見ることが出来る。

「凡事徹底」というキーワードは著名な経営者からも良く聴く。「私の経歴書(日経)」でダイワハウス工業樋口会長(http://jasipa.jp/blog-entry/7362)の言葉としても紹介した。また「掃除道」を説く鍵山秀三郎氏(http://jasipa.jp/blog-entry/8812)は「凡事徹底」と言うタイトルを出版されている。まさに小さなことの積み上げが、会社の風土を変え、相手を慮る自立人間育成に役立つとの主張だ。以前ブログの「高校球児に教えられること(http://jasipa.jp/blog-entry/6187)」でも、創志学園(岡山)や興南高校(沖縄)の人間力を育む指導を紹介した。今回春夏連覇がかかっていた浦和学院も、「自分が自分を高める責任」「後輩を育てる責任」「組織全体を高める責任」の三つのモットーを掲げチームづくりをしていると言う(「致知2013.9」森士監督「人生のメンバー外になるな」の記事より)。

「凡事徹底」を今一度噛みしめたい。

京大野球「あるもの」磨き進化?

今朝の日経スポーツ欄の「選球眼」というコラムにスポーツライターの浜田昭八氏が珍しく京都大学の野球部のことを書いている。出だしが「今、京大の野球が面白い」。しかし、今年の春季リーグで連敗記録をどこまで伸ばすかと言われた弱体野球部が日経に取り上げられているので驚いた次第。早速インターネットで調べると、この5月に関西大学に1:0で完封勝利し、連敗記録が60でストップしたとの記事があった。22期連続最下位との記事もある。しかし、浜田氏のコラムでは、今年は負けても僅差の敗戦で、昔の敗戦とは違い期待できると言う。確かに9月から始まった秋季リーグでは、再度関学に4:1で勝ち、立命には2試合0:1の僅差で負け、同大とは1:1の引き分け。確かに昔の京大とは違う!

浜田氏の目で見ても、ピッチャー田中(兵庫・白陵)や捕手内外野の守備は安定し、牽制も絶品という。なぜこうも変わったのか?3年前から、元阪神の仲田幸司投手を育て、沖縄興南高校を甲子園の常連校に育て上げた比屋根吉信氏が監督に就任しているそうだ。2010年春夏連覇をした興南高校の我喜屋監督を当ブログで紹介した(http://jasipa.jp/blog-entry/6187) が、比屋根氏は1976~1986年、沖縄県の高校として初めて興南高校を準決勝に進めた監督として評判をとった。

何をやったか?高校球児を積極的にスカウトできる5私大に対して、京大の部員は少ないが「ないものねだりはしない。“あるもの探し”です」と、少ない部員の中で見つけた原石を磨く。そして「年功序列では勝てない」と1-2年生を積極的に抜擢した。改革には痛みが伴う。上級生になると出場の機会が巡ってくる空気が一変し、当然のように競争が激化し、退部を考える4年生も出たそうだ。しかしここからが比屋根氏の素晴らしいところ。2日間、延べ10時間に及ぶ4年生同士の話し合いで思い止まらせた。秋季リーグ前に就任した主将は「下級生がのびのびプレーできるのは、4年生のおかげ」というまでにチームの雰囲気は変わったそうだ。「善戦を褒められるぐらいで、京大勢はもう満足しない」でコラムを締めている。

成果はこれからだが、アメリカンフットボールの水野監督といい(http://jasipa.jp/blog-entry/7277) 指導者によってこれほどまでに違ってくるのに驚く。私が在学中、高校の同窓生が野球部の捕手をやっていたが、東大との定期戦でも、コテンパンにやられる姿しかみられなかった(東京6大学で最下位が定位置の東大でも強い!)。企業も、指導者次第で大きく成果が左右されるのは同じだと思われる。人が唯一の価値源泉のIT業界も、技術だけではなく、社員のマインドを如何に持たせるかが、会社の帰趨を握ると言えるのではなかろうか?まさに白鵬の言う「心8割、技・体2割」(http://jasipa.jp/blog-entry/7998)に通じる話だ。