今年も今日は大晦日、時の経つのは早い!

今年も大晦日を迎えた。年を重ねる内(翌1月に68歳)に、寂しい話ではあるが、身近な人の訃報が昨年来増えてきた現実に、自分の人生の「有限さ」をひしひしと感ずるようになった。昨年は会社の同僚が4人、今年は高校の同級生がやはり4人、鬼籍に入った。赤瀬川源平氏が今年の10月末に亡くなられたが、氏の著作本の「老人力」という本をある人に勧められて読んだ。その本の最初に「おっしゃることは分かります」という題のコラムがある。その一節、

ある人物の名前が思い出せず「えーっと、ほら、あの、あれに出てた・・・」「そうそう、あれでしょ、あの、ほらあれ・・・」とお互いに忘れてしまっている。でもちゃんと「あれ」だというのはお互いに分かっているのだ。分かっているのに名前が出てこない。ある時、ある人とそんなことを何度も繰り返していて、相方がつい「おっしゃることは分かります」と言ったので大笑いした。(中略)こういうのを僕らでは「老人力がついてきた」と言う。ふつうは歳をとったとか、モウロクしたとか、あいつもだいぶボケてたとか言うんだけど、そういう言葉の代わりに「あいつもかなり老人力がついてきたな」と言う風に言うのである。そうするとなんだか歳を取ることに積極性がでてきてなかなかいい

「老人力」と言う言葉は、世の中の老人たちに大いなる勇気を与えたとの事で1998年の流行語大賞に入賞したそうだ。若い時に読めば、「なーんだ」と言う感じだと思うが、歳をとって読むと身に覚えがあるだけに、切実な問題として捉えがちだが、有限の人生、考え方次第で楽しく歳をとれるのではと思えるから不思議である。ともかく人生は有限、残り少なくなった人生を悔いなく過ごすためには、どう過ごせばいいか、来年に思いを馳せる大晦日だ。

今年を振り返ると、大きな事象は二つ。

・家内のおふくろ(87歳、静岡県磐田市)を、私のマンションから自転車で10分程度の老人ホームに呼び寄せたこと(9月)。ホームに入るのに待機期間10カ月だ。いつ空くかわからないため、遠出ができず今年は海外旅行も中止せざるを得ない羽目に。お蔭様で母はホームになじみ、俳句や合唱などのホーム行事に積極的に参加し楽しく元気に過ごしている。

・日立と新日鉄OBが集う習志野カントリークラブメンバーの集い“シオン会”に入会(3月)。スコアを気にせず80歳前後の方々と楽しくゴルフができる。ゴルフは楽しむものだとあらためて分かり、月2回程度プレーしているが、可能な限り続けたい。

・ジム通いは、194回(昨年は199回)、ブログの件数は109件(昨年は169件)。少し活動ペースは落ちてきているが、頑張って継続したい。

今年のJASIPAは、見違えるほど活性化している。3ヵ月に1回の定期交流会、著名な講師陣を招いての講演会と、少し料理を格上げした懇親会で、ゲスト(会員外)も含めて初めて100名を超える参加者を10月の10周年記念大会で達成した。従来からのICTビジネス委員会、ES委員会をはじめ、グローバルビジネス委員会、研修委員会もコンシェルジェ機能の拡充はじめ、多彩な活動で参加者を増やしつつある。来年は新体制下で、さらなる発展を目指すことになる。JASIPA会員企業にとってより魅力的な集団に向かって、発展し続けている。理事の皆さんもいたって意気軒高だ。会員の皆様もぜひ積極的にJASIPA行事に参加していただき、その価値を実感して頂きたい。ゲストの方も、一度会員になって、その価値を積極的に活用して頂き、自社の成長に活かして頂きたい。

今年もJASIPAの皆さんにはほんとにお世話になりました。また私のつたないブログをご愛読いただいた皆さんにも感謝です。来年も皆様にとって幸多き年でありますように祈っています。

地方消滅の危機と地方再生

日本創生会議(座長・増田寛也氏)が今年の5月に発表した衝撃のレポート「消滅可能性都市896のリスト」。「消滅可能性都市」とは、2010年から2040年までの間に20歳から39歳の女性」が5割以下に減少する自治体の事を指している。生まれる子供の95%はその年代の女性が出産していることから、若年女性の人口が減少し続ければ、その自治体の将来的な人口減少は免れないとの判断だ。2010年時点では1799の自治体が存在した為、実に5割近い自治体が消滅危機にあることになる(「致知2015.1」意見記事「地方消滅の危機(増田寛也)より」。

もともと政府は2003年に「少子化社会対策基本法」を制定したが打開策を打ち出せず今に至っている。今年5月にショッキングな増田レポートが出て、政府は重い腰を上げ50年後に人口1億人」との数字目標を戦後初めて掲げた。しかし具体策の進展はなかなか見られない。19日の新聞に、「政府の人口減対策と地方創生の方針となる”長期ビジョン“と、2020年までの施策を盛り込んだ”総合戦略“の原案が掲載された。それによると、50年後の2060年に総人口1億人」が確保されるためには現在の出生率1.4を、2030年までに1.8まで引き上げ、2040年には2.07との数値を提示した。そのためには「東京一極集中の是正」「地方への人材還流と人材育成を2020年までに10万人」などの数値目標が盛り込まれている。そして政府は、地方に本社を移した企業への支援や、地方に就職する学生への支援策などを打ち出そうとしている。

12月17日の日経朝刊17面「大機小機」に「人口減少は怖くない」とのコラム記事があった。記事では、日本が先進国のなかで突出して人口密度が高いと言う。そして「8000万人~9000万人程度」が居心地が良い感じもする、と。そのためには、効率的な国土・社会の運営へ思い切った構造転換を進めていくべきと提言する。その際、人材が成長のエンジンで、ハード産業が高い付加価値を生み出すとの発想から抜け出すことが必要と指摘する。そのために、地方の中核都市のコンパクトシティ化と相互のネットワーク化が、エコ社会の推進につながり、人が住まなくなった土地で生産性の高い農林水産業を展開できると主張する。まずは都市への人の集積でソフトオパワーを磨き、地方に生まれたスペースを活用して国際レベルの1次産業を育成する。

私も地方(姫路)に24年間勤めた後、転勤で初めて東京に住むことになってほぼ20年。東京と地方の差が住んでみて初めて分かった。第一に、データショーやセミナーの質と回数、そして参加の容易さ・効率性だ。データショーも大阪で行われていたが、出品の豊富さはけた違い。第二に、人の多様性。人との交流による刺激の多さ。人材育成の観点からすれば、圧倒的に地方より東京が有利だ(東京にずっといる人はその有利性を活かしていないことも多いが)。私も東京に来てからの人脈は、地方にいる時とは比べようのない位増え、今もその恩恵を受けている。当初は東京に住むことに拒絶感があったが、いざ来てみると、なぜもっと早く来れなかったのか悔やみきれないことに。

しかし、子どもを育てる環境は、地方が優れている。マンションなどと違ってコミュニティがあり、隣近所の付き合いを通じて、子どもの面倒も見てもらえる。コマツの坂根相談役は、少子化問題は東京独自の問題と言い放つ。人間らしい生活は、圧倒的に地方が優れている(便利な生活は東京だが)。

ただ単に東京一極集中は否定するのではなく、すべての自治体を救うのではなく、まずは日本をどんな社会にしていくのか、と言う像が必要と思う。適度な人口で、人材育成に焦点をあて、コラム氏に言うような、「中核都市のコンパクトシティ化と相互ネットワーク化」を目指すというのも一つの案だと思う。その上で、都市の人材育成環境の整備問題や、少子化問題などに焦点を当てた国の具体的な支援策を策定する(バラまきではなく)とのプロセスの中で国民的納得感をえることではなかろうか。難しい問題ではあるが。

今日は81歳となられる天皇誕生日

昨年の天皇誕生日にも天皇・皇后両陛下に関する記事をUPさせて頂いた(http://okinaka.jasipa.jp/archives/512)。ぜひ読み返して頂きたいが、今年もご高齢の両陛下の国民を思うお気持ちと、その行動力にほんとに頭の下がる思いであり、これこそ日本人の規範でもあり、誇りでもある感をより強くしている。自然災害などの際、いち早くお見舞いに行かれるそのお気持ちは、今年も広島市の土砂災害への慰問などの行動でもあらわされている。今朝の日経など各新聞に、誕生日をお迎えになった天皇陛下の記者会見の内容が掲載されている。その中から3つのお言葉を紹介する。

今年公開された「昭和天皇実録」に関連して、昭和天皇から学んだこととして

人の事を常に考えることと、人から言われたからするのではなく、自分で責任を持って事に当たると言うこと

を挙げられた。

戦後70年の節目に当たって

(戦争で亡くなった)人々の死を無にすることがないよう、常により良い日本を創る努力を続けることが、残された私どもに課せられた義務であり、後に来る時代への責任であると思います。

と述べられた。来年は長年の悲願のパラオを慰霊のため訪問される。

最後は、広島土砂災害、御嶽山噴火に加えて、

大きく取り上げられる災害ではありませんが、常々心にかかっていることですが、私自身高齢になって転びやすくなっているものですから、高齢者の屋根の雪下ろしはいつも心配しています。

と大雪が続く地域の人への気遣いを言葉にされた。

今日の皇居での天皇誕生日参賀に2万数千人が訪れたことが昼のニュースで報じられていた。今日のこの日、天皇・皇后両陛下の思いに心を馳せ、日本人の規範として自らの行動を顧みる日としたい。