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国に頼らず景観守る独自防潮堤(浜松中田島砂丘)

浜松駅からバスで15分、ウミガメが産卵に訪れる日本三大砂丘中田島砂丘。南海トラフ巨大地震では高さ15メートルの津波が押し寄せると言うのが静岡県の想定だ。国の補助金を当てにして進められる気仙沼市では、高さ9.8メートル、幅45メートル、長さ約1キロのコンクリート製巨大防潮堤の建設を計画中だ。が、中田島砂丘でこんな巨大なコンクリート製の防潮堤を築けば、美しい砂浜が覆い尽くされてしまう。そこで、天竜川河口までの17.5kmを保安林に土を盛って高さ十数メートルにかさ上げし、防潮堤の役割を担わせることにした。(毎日新聞夕刊 2013.3.19 http://mainichi.jp/feature/news/20130319dde012040015000c.htmlより)

防潮堤は国から原則2分の一(災害復旧事業ならほぼ全額補助)の補助金が出るが、一昨年策定されたルールで縛られ、例えば高さも浜松の例では7メートルでコンクリート製、3年以内完成でないと補助は出ない。なぜ浜松市では国の基準に縛られずにこんな決断が出来たのだろうか?

昨年6月のニュースで『「防潮堤つくって」静岡県に300億円寄付、一条工務店』(http://www.asahi.com/national/update/0612/TKY201206120004.html)との情報があった。県の担当課長は言う。「民間企業から大口寄付をいただき、地元の要望に沿った独自の立案が可能になったためです」と。一条工務店の宮地社長は「“万里の長城”と言われた岩手県田老町の堤防が津波で破壊されたことにショックを受けた。限界を超えた力にはコンクリートは弱い。南海トラフ巨大地震に対応するには。コンクリートよりも盛り土構造が優れている」と言う。

一条工務店は、ブログでも過去2回紹介した。一度は「お客様よりお客様の家づくりに熱心であろう」(http://jasipa.jp/blog-entry/8125)とまさに「お客様視点での家つくり」を行い、地方都市においてグループで2400億円の売り上げを上げる成長企業になっていることを、2回目は、一般住宅に太陽光発電をコスト面で採用しやすくした「夢発電システム」で第9回エコプロダクツ大賞国土交通大臣賞を受賞した(http://jasipa.jp/blog-entry/8380)ことの紹介だ。メガソーラー建設にも触れた。今回の寄付に関しても、「ここまで大きくなれたのは地元の支援のたまもの。当社創業の地へ恩返ししたい」と言われる。静岡県の川勝知事は「地元へ恩返ししたいという気持ちに感じ入った。出来た堤防には“一条堤”と呼んで謝意を表したい」と言う。

一条工務店には感動する。が、毎日新聞の記者は言う。補助金をもらうために、住民の自主性を圧殺してまで工事を急ぐ被災地行政の悲しいゆがみを指摘する。どうして、「国は金を出すが、具体策は地方自治体に任せる」とならないのだろう。TPP論議で阿部総理は、「日本の農村風景は日本の心。絶対に残す」と明言している。日本のすばらしい四季を彩る山、川、海の景観を守るためには、民間に頼るしかないというのではあまりにも寂しい。

頑張れ!一条工務店!

日経朝刊全面広告(28面)に登場!

昨年10月「お客様よりお客様の家づくりに熱心であろう」とのタイトルで浜松にある一条工務店を紹介した(http://jasipa.jp/blog-entry/8125)。その一条工務店が、第9回エコプロダクツ大賞国土交通大臣賞を受賞したとの広告が今朝の日経朝刊28面に全面広告で掲載されている。ブログでは一条工務店を下記のような紹介をした。

1978年創業の木造注文住宅メーカーで、2011年度の販売戸数が8596個で木造住宅メーカーでは全国2位の企業。グループ売上も2400億円以上。宮路社長は「株式公開もせず、宣伝活動にも注力してこなかったため、一般の方にはなじみが薄いかもしれない」と言われるが、その中でこの業績を上げられるのは、それなりの理由があるのだろう。

今回の受賞は「夢発電システム」が対象だが、過去にもエコ住宅の推進で2011年度グッドデザイン賞「ビジネスモデル・デザイン部門」受賞、環境メッセージEXPO2012で「オルタナ賞」受賞し「創エネルギー」分野で三冠達成したことで、今回の広告に至ったのだろう。

「夢発電システム」は、住宅に太陽光発電システムを導入する際、搭載費用は工務店が立て替えておき、入居後に発電した電気の売却によって得られた利益で返却していくことで、顧客の初期支出をゼロにしたのが特徴のシステムだ。さらに一条工務店の優位性は、グループ会社で太陽光パネルも内製しているため、屋根との一体型を可能とし、2011年新築の太陽光パネルの全国平均容量は1件当たり4kwのところ、一条工務店の構築住居では7kw超と言う(さらに10kw以上のシステムの開発も現実のものとなっているそうだ)。こうした点が顧客から評価されて2012年の搭載率が86.5%、最近の新築物件では90%弱に達しているとのこと。

さらに驚くことに、メガソーラーを全国10か所に設置し、合計12万キロワットの発電容量を想定した計画が進行中だ。香川県高松市では四国最大のメガソーラー計画を推進しており2014年中には3300戸分の発電容量をカバーできるものが運用開始となる。

原発問題でエネルギー問題が喫緊の課題の中、省エネを徹底的に追及しながら、再生エネルギーにも力を入れている地方の企業の頑張る姿が、今回の広告で他の企業にも刺激になり、また政治をも動かす力になればと期待したい。これまであまり宣伝活動に注力してこなかった一条工務店が、思い切ってこのような広告を出されたのは、そのような意味もあったのでないかと勝手に推察し、またまた宮路社長の経営力に感動を覚えた。

お客様よりお客様の家づくりに熱心であろう

標記を基本理念として掲げ発展を続ける工務店が浜松にある。一条工務店だ。今朝の日経6面の“活かす企業人”に一条工務店宮地剛社長が「顧客のために考え抜く」熱い人材に”と題して求める人材像について述べられている。以前、“「おもてなし経営」を実践する都田建設(http://jasipa.jp/blog-entry/7041)”で紹介した都田建設も浜松だが、気風として浜松には「お客様のために」との気風があるのだろうか?

1978年創業の木造注文住宅メーカーで、2011年度の販売戸数が8596個で木造住宅メーカーでは全国2位の企業。グループ売上も2400億円以上。宮路社長は「株式公開もせず、宣伝活動にも注力してこなかったため、一般の方にはなじみが薄いかもしれない」と言われるが、その中でこの業績を上げられるのは、それなりの理由があるのだろう。

「お客様よりお客様の家づくりに熱心であろう」との理念のもと、「住まいの性能の差は、暮らしの差」と考え、家の性能を追い求め続けている。まずは、実現困難と言われた戸建て住宅の免震化に、普及可能な性能とコストで1999年に成功し、この「免震住宅」の受注実績は、主要住宅メーカーにおけるシェア8割強と圧倒的な地位を確保している。さらには、省エネ住宅としての断熱性能は国の基準値の約4倍。太陽光発電も、初期支出をゼロにし、搭載費用を入居後の発電による売電益で賄う「夢発電システム」を用意し、現在搭載率は88%強と業界トップ。この夢発電システムはさらに進化していると言う。

このように発展をし続けるための求める人材は、「自らのミッションに対し、しぶとくとことんやり抜く“熱い人”」と言う。「たとえお客様が“それでいい“とおっしゃっても、疑問が少しでもあればよしとせず、お客様の為に、納得でき、満足できるまで”考え抜く“人材とも言える」と。さらに続けて「当社では”とりあえず頑張る“というのは目標になりません。目標と期日はあくまで具体的かつ明確に定め、その実現に向け自ら行動する。そのための支援は決して惜しみません」と言う。そのため、入社歴などに応じた画一的な教育ではなく、個人ごとの習熟度に応じた「テーラーメイド型研修制度」を用意。ITを駆使して課題解決の進捗を個別にチェックするそうだ。自分で受けたいプログラムを選び、順番にこなす「スタンプラリー型」の制度もあるとか。

ジョンソン・エンド・ジョンソンなど外資系の経営に携わってこられた、新将命(あたらしまさみ)氏は「人の採用、不採用の決定時、心がけているのは、価値観が共有できそうな人か、もう一つは目に光があるかどうかが決め手」と言う。「目に光」とは、目を見れば熱き人材かどうか、問題意識を持ち、意欲がある人かどうかという事。「目は口ほどにものを言い」どころか「目は口よりもものを言い」だと言っています。

「お客様視点」で物事を考え、「お客様のため」を思って情熱を燃やし、妥協しない人材を求めるのは、IT業界でも同じである。