南ドイツ旅行を終えて

台風26号直撃の日に5時間遅れで成田を発った今回の旅も、8日目無事に成田に着いて終わった。道中、帰りも台風27号、28号の来襲で大変なことになるかもしれないとの不安が参加者の中で広まったが、何事もなく到着して皆さんホッとされた事と思う。参加者は24名だったが、比較的若いのが団塊の世代夫婦で4組、ほとんどの方が団塊世代より古い世代の方々だった。が、その若さ、そのお元気さには驚いた。1日1万歩以上、それも山城も多く高低差もある観光だったが、だれも落伍する事も無く、無事終えられたことは、凄いことだとそのパワーに感心させられた。いつまでも健康でいて、人生を謳歌したいとの思いを強くすることが出来た。頑張らねば・・・。

ドイツで感じた事だが、ドイツは “脱原発”宣言国ということで、再生エネルギー比率を挙げるための施策が進んでいるのを感じた(ちなみにドイツは15%前後、日本は1%前後)。バスの道中、民家の屋根のソーラーパネルの多さに驚かされた。今年5月の中欧もそうだったが、ドイツも赤い屋根の街並み風景が素晴らしい。ドイツでは、その赤い屋根にもソーラーパネルが多く貼られつつある。美しい赤い屋根の風景が変ってしまう懸念もあるが、工事中のものも見られ、これからもますます広がっていくのだろう。広大な土地故に風力発電もあちこちで見られた。田んぼの中に一面敷き詰められたソーラーパネルも見られる。日本の比ではなく、再生エネルギーに国挙げて取り組んでいる感が強くした。

日本では、小泉元首相が「トイレのないマンション」との表現で原発廃棄物(ごみ)の処理方法が決まっていない状態を表現し、”脱原発“を主張し始めた。野党は喜び、自民党および政府は戸惑い気味だ。期せずして昨日の新聞は、安倍総理のトップセールスの成果としてトルコへの原発輸出合意成立を報じている。「経済成長のためには原発再稼働は必要」との論理も分かるが、「将来の世代につけを残さない」手立ても合わせて考えねば無責任と思う。安倍総理は「原発ゼロを主張する人は無責任だ」と言うが、どちらが無責任だろうか?廃炉技術にしても、高レベルの放射性廃棄技術に関してもいまだに確立できていない。特に廃棄物に関しては隔離保管期間が数百・数千から数万年と長期に渡る為、未来の地球上生命体への負の遺産の影響をできる限り低減させる必要がある。これらの技術を確立することと、再生エネルギーに開発にもっと力を注ぐべきではなかろうか。

概してヨーロッパのホテルは、部屋も含めて暗い感じがする。これは日本人と違ってヨーロッパの人達は眼球の光彩部分が弱く、明るい光に敏感すぎる為、暗くなっているそうだ。確かに日中もサングラス姿が多いと思っていたが頷ける。ヨーロッパに行った人がよく「雨が降っても傘をささないの?」と言うらしいが、たしかに日本人より傘を使う人は少ないようにも思う。日傘も、家内が日傘をさして歩いていたら、多くの人から怪訝な顔でみられたと言っていた。「ハンカチは鼻を噛むためのもの」と言うが、ほんとにちょっとした事にも文化に違いがあることに気付く。

食事は中欧ヨーロッパよりおいしかった。前菜とメイン、デザートの3種だが、メインディッシュは、ロールキャベツ、焼きソーセージ、ミートボールなどで、ご飯の替りはじゃがいもが普通。水がコーラやジュースと同じ価格なのには驚いた。ホテルの朝食はバイキングだが、パンが特においしかった。

近ツーの塩川さん(男性添乗員)いろんなことを教えて頂きました。ほんとにありがとうございました。

南ドイツ旅行~その6~

いよいよドイツ観光最終日だ。今日はロマンティック街道の起点ヴュルツブルクへ行き、最後はフランクフルト観光をしたあと、フランクフルト・マイン空港を夜9時に日本に向けて飛び発つ。

ヴュルツブルクはシーボルトやレントゲンが生れた町で、今は大津市と姉妹都市。ここで有名なのは、”レジデンツ“。ヴュルツブルクの領主司教の宮殿として18世紀に建てられたもので、1982年にユネスコの世界遺産に登録された。内部の見学は日本人のガイドが案内してくれた。最初に見た「階段の間」の天井(柱のない吹き抜け)のフレスコ画は圧巻だった。イタリアの画家ティエポロの描いた677㎡の天井一面のフラスコ画は、ヨーロッパ大陸を中心に右にアジア大陸、左にアフリカ、後方にアメリカ大陸で、各大陸の特徴を描いている(ヨーロッパが文化の中心でアメリカは人食い人種の国のように)。次の間が”白の間“で、彫刻家アントニオ・ボッシによる漆喰彫刻が施されている。ベネチアングラスのシャンデリアが豪奢な”皇帝の間“、”謁見の間“”鏡の間“と続く。レジデンツ広場にはフランコニアの像を頂く噴水がある。フランコニアはヴュルツブルクのあるフランケン地方の守護神だそうです。 フランコニアの噴水の周りにはヴュルツブルクゆかりの三人の芸術家の像がある。レジデンツの横にあるホーフ庭園もすばらしい(庭園と共に世界遺産)。レジデンツ広場から、山上にあるマリエンベルク要塞を臨むことが出来る。この要塞は紀元前後のケルト人の時代からあると言われ、17世紀の宗教戦争ではスウェーデン軍のグスタフアドルフ2世に占領されたこともある。

アルテマイン橋に向けて街を歩く。まずキリアン大聖堂が見えてくる。聖キリアンはフランケン地方にキリスト教をもたらしたアイルランドの聖人だったが、ヴュルツブルクに来て3年で部下と共に暗殺され、遺体が埋葬されたところに建てられたのが、現在のノイミュンスター教会だ。

ドイツで最も重要な図書館(右)やアダムとイヴの像が飾られているマリエンチャペル(左)、元貴族の館で13世紀に造られた現在の市役所を通って、17世紀に造られたマイン川にかかるアルテマイン橋に着いた。この橋をマリア・テレジアが120台の馬車で渡ることになり、急遽作られた聖キリアンや守護神フランコニアなど12の像が立つ。この橋から見たマリエンベルク要塞だ。要塞の周辺にはぶどう畑が広がっている。

ヴュルツブルクで昼食を取った後、フランクフルトに戻る。マイン川の向こうにフランクフルトのランドマーク、聖バルトロメウス大聖堂が見える。レーマー広場に行った。レーマー広場からも大聖堂が臨める。広場には華麗な木組の建物が立ち並ぶ。もう一方には切妻屋根を持つ3つのゴシック様式の市庁舎がある。街のシンボル的存在で、真ん中がレーマーと呼ばれる。ここは神聖ローマ帝国皇帝の戴冠式後の祝宴が行われた場所(戴冠式は大聖堂で挙行)だ。自由時間をスーパーで買い物をしたりして過ごした後、フランクフルトマイン空港へ。ほんとに天候に恵まれた旅行だった(温度も20度前後)。

南ドイツ旅行~その5~

朝8時ミュンヘンのホテルを出て、ロマンチック街道を一路北に進み、ディンケルスビュールに向かう。ロマンチック街道は、ドイツ南部の中央を縦断し、マイン川に面したヴュルツブルク(翌日訪問)から、オーストリアとの国境付近のフュッセンを結ぶ約350kmの、ドイツ観光では最も人気のある街道である。街道には中世の趣を残す街が数多く存在する。紀元15年ローマ人が建設したドイツ最古の都市アウクスブルク、「ロマンチック街道の宝石」と謳われる中世の町並みがそのまま遺る美しい町ローテンブルクなどがある(日本でも小諸~日光230kmをロマンチック街道と命名している)。道中、中世の街並みと紅葉が美しい。毎朝の光景だが、朝は冷えるのか靄が立ち込める光景もロマンチックだ。

2時間少々でディンケルスビュールに着いた。この町は、中世都市として無傷で遺された城壁に囲まれた町である。ローテンブルクに比べ小規模であるが、そのため一層、中世の面影は色濃いと言われている。毎年7月中旬に行われるキンダーツェッヒェの祭りでも知られる。この祭りは三十年戦争の時に子供達が敵将に町を救ってくれるように懇願し、赦されたという故事に基づいて行われる子供達が主役の祭りだ。城の門を入り、町の中を歩くと聖ゲオルク教会に着いた。教会建築の名人ニコラウス・エーゼラーらによって1448年に建てられた。内陣はハレンキルヒェ(ホール型教会)という様式で、窓が大きく、内部はとても明るくなっている。教会の尖塔は13世紀に建てられたロマネスク様式。教会の前には、ドイチェ・ハウスがある。この建物は観光名所となっており、1440年頃に建てられた美しい木組みの家で、現在はホテルとして使用されている。このように三角屋根の高層建築が多く、ほんとに美しい街並みだ。

次に人気都市ローテンブルクに向かう。この街も城壁に囲まれた美しい街として観光客が多い。最初に城壁内のホテルにチェックイン。外観も内観も中世の風情で落ち着く。ホテルの看板も珍しい。ホテル名はゴルドナー・ヒルシュ(金色の鹿)で、看板は鹿を模している。ホテルの前から、ローテンブルクの有名な撮影ポイント、プレーンラインが見える。ローテンブルクで最も美しい一画と言われています。坂の上にある塔はジーバース塔。休憩後、町の中心マルクト広場に向かう。広場には、市庁舎があり、仕掛時計で有名な市議宴会館がある。残念ながら現在修理中で中には入れなかった。17世紀の30年戦争で、新教についたこの街はティリー将軍率いる旧教軍に敗退、将軍は街を焼き払えと言い渡した。街の女子供が泣いて懇願しても耳を貸さなかったが、元市長のヌッシュが一計を案じ、選帝侯の大ジョッキになみなみと白ワインをつぎ(3.25リットル)、「これを一気に飲み干したら街を助けてくれ」と申し出たところ、そんなことは出来ないと思ったティリー将軍は承諾。ところが必死の形相で10分で飲みほし、そのまま4日間眠り続けたが町は助かったとの伝説があった。その伝説を仕掛けにし、時計の左にティリー将軍、右にヌッシュが現れて“マイスターツリンク(天下無双の一気飲み)”を演ずるらしい。広場のすぐ近くに聖ヤコブ教会がある。15世紀に完成したプロテスタントの教会だ。有名なのは“聖血の祭壇”でキリストの聖なる血が3滴納められていると言われている。その祭壇の下には見事な最後の晩餐の彫刻がある。城壁越しにタウバー川と街並みが臨めるブルク公園に行った。城壁のも登ってみた。城壁から見た城壁内の景色だ。

夕食では、フランケン地方で有名な白ワインを戴いた。このあたりは8割が白ワインとのこと。おいしいワインだった。