「生き方」カテゴリーアーカイブ

こんな人生がある?サヘル・ローズ(俳優)!

「致知2025.1月号」で「一人でも多くの人に“ありがとう”を届けたい」との俳優サヘル・ローズさんの記事があった。正直サヘル・ローズさんを知らなかったが、小さい時からの苦難続きの中を、強い意志を持って日本で俳優の道までたどり着いたその壮絶な人生に、ほんとに驚いた。

記事のリード文は

「戦火の中のイランに生まれ、幼少期を孤児院で過ごしたサヘル・ローズさん。8歳の時に義母であるフローラさんとともに来日。現在は俳優・タレントとして幅広く活躍。難民などの国際人道支援活動にも尽力するサヘルさんに、壮絶な人生の歩みを交え、一人ひとりが心豊かに、幸せに生きるヒントをお聞きした。」

とある。

彼女の生い立ちに驚く。1980年代、イラン・イラク戦争の最中に生まれた。が、自らの記憶は4歳ごろから始まり、その時にはすでにイランの児童養護施設に入っていたが、出生届も出されておらず、実の両親も、自分の名前も、誕生日さえも分からない状態だったそうで、今の年齢も当時の背丈から決められたと言う。そして、7歳ころ当時テヘラン大学の学生で人道ボランティアをしていた今の義母・フローラさんと出会い、今に至る人生が始まった。サヘル・ローズという名前もそのフローラさんが名づけ親だそうだ。フローラさんの家は裕福だったが、孤児を養子に迎えることに反対されたため、家族とは絶縁状態となり、当時日本に留学していた主人を頼ってサヘル8歳の時に来日。しかし、埼玉での義父との生活は始まったが、義父のサヘルへの暴力に耐えきれず、フローラさんとともに家を出てしばらくは公園の土管で寝泊まりしながら小学校に通う生活を強いられたという。しかし、スーパーの店員や学校の給食のおばちゃんなど、周囲の人に助けられた。特におばちゃんは、公園で過ごしていることを知り、フローラさんとともに自宅に住ませてくれたそうだ。外国人だからとレッテルを貼らず、同情ではなく同じ人間として自然な形で自分のできることをしてくれたとサヘルは言う。

中学の3年間も壮絶ないじめを体験し、中学3年の時、家に帰ってフローラさんに「死にたい」と伝えたところ、サヘル以上に生活に苦労していたフローラが「あなたが望むならいいよ。でも、お母さんも一緒に連れて行って」と。この時、サヘルの思いを否定したり、頑張ろうと言われていたら死んでいたかもしれないとサヘルは振り返る。フローラさんを抱きしめたら、骨と皮だけになっていることに気づき、フローラさんはすべてを犠牲にしてサヘルのために人生をささげてきたことに気づいたという。その時、「フローラさんを幸せにしてあげたい」、

フローラさんが施設で自分を見つけてくれたように、今度は私が本当の意味で彼女を見つけた瞬間だった」だったと振り返る。そして、その瞬間が、自分が生きていく意味を見出せた人生のターニングポイントだった、と言う。

その後、大学時代のエキストラから始まり、自分が活躍することでフローラさんという素晴らしい女性がいることを多くの人に知ってもらいたいと俳優の道に進んだという。

このような壮絶な人生を経験したサヘルが言う。「人生は本当に鏡のようなもので、自分が日々どんな言葉を発しているか、投じたものが全部自分に跳ね返ってくる。どんな失敗や挫折も、必ず自分の成長の糧として返ってくる」と。

今、サヘルは「ありがとう」の言葉を大切にしているそうだ。こんな壮絶な人生を経験しながら、「世の中に当たり前のことは一つもない。どんな仕事にも上下はない、だれ一人欠けていい人もいない、あらゆることが繋がっていて“ありがとう”と感謝すべきこと」と言う。

このような考え方で、俳優をしながら、国際人道支援活動にも力を注ぎ、世界の児童養護施設で暮らしている子供たちや、戦争などで居場所を奪われている人々の支援を行っている。

現在、初監督作品「花束」が公開され、大きな話題となっているそうだ。

こんな壮絶な人生を乗り越えられたのは、フローラさんや給食のおばちゃんに助けられたことが大きいが、サヘルの生き方(自分の惨めさを他人のせいにせず前向きに生きる)に心を動かされた人が多かったことではないかと思う。

今のサヘルさんの活動をはじめ、全く知らなかったサヘルさんに関して今後も注目していきたい。

「幸せになれる法則」(岩崎一郎脳科学者)

致知11月号の特集は「幸福の条件」だ。非常に興味深い記事が多く掲載されているが、その中で「脳科学者が明らかにした“誰もが幸せになる法則”」に注目した。

岩崎先生は、歯磨きを毎日行うのと同じように、脳を鍛えること(脳磨き)を日々の生活習慣にして、幸せな人生を歩む方を増やしたいとの思いで、本を出し、また200社以上の企業に呼ばれて研修を実施されている。研修者からは「率先垂範と前向きな言葉が増えた」「人の”良い所“を探すようになった」「仲間との距離感が近くなった」など喜びの声が聞かれると言う。

脳は860億の脳細胞と、それらをつなぐ膨大な神経繊維からできている。すべての神経線維を繋ぎ合わせた長さは約50万km。そして脳が最も活性化するのは。この膨大なネットワークが協調的にスムーズに動いている時であり、それは幸せを感じている時の脳の状態であることが明らかになっていると言う。しかし、私たちの脳のネットワークは部分的にしか使われておらず、幸せな脳の状態の百分の一程度しか活性化していない。脳が最大限に活性化し、幸せを感じる状態にするためのトレーニングが「脳磨き」だと言われる。

6つの「脳磨き」の方法が紹介されている。

  • 感謝の気持ちを持つ:誰かに何かをしてもらった時に感謝する気持ちと言うより、“生きていること”への感謝など当たり前で些細なことにも感謝の気持ちを抱く事。
  • 前向きになる:①過去の経験で気持ちが前向きになったときのことを思う。②喜び、希望、誇りなどを感じる。③ポジティブな言葉がけをする。④楽しむ。⑤笑顔になる。⑥自分から元気に挨拶する。⑦小さくてもできたことに注目する。⑧⑦によってやる気を高める。⑨小さくても“成長”に目を向ける。⑩ネガティブな感情にも意味がある。
  • 仲間と心を一つにする。
  • 利他の心を持つ。脳は生まれつき利他である。利他の行動をした人はストレスを感じにくい。
  • マインドフルネスを実践する。座禅や瞑想は、無意識領域を整える。
  • AWE(オウ)体験をする。心ふるえる体験を言う。

岩崎氏は、稲盛和夫氏との出会い(盛和塾)をきっかけに、上記の研究に至ったそうだ。利益追求が前提となる経営者の立場にありながら、かくも純粋な考え方、生き方を貫いて大成されたことに感銘を受け、運命を変えたそうだ。

ともかく、人生は「心温まる、心を一つにできる人間関係を持ち続けられること」で、どんな環境に生まれ育とうと幸せで豊かな人生を送れると総括される。

アジア大会:韓国選手がやってしまった!

2011年4月26日にも当ブログで紹介した脳外科医林成之医師の「脳に悪い7つの習慣」(https://jasipa.jp/okinaka/archives/29)を紹介した。林医師は、2008年北京オリンピックに出場した北島選手他水泳選手を指導し、その結果日本勢が大活躍したことで有名だ。

このブログでも何例か紹介したのと同じことが、今回のアジア大会でも生じた。

男子3000メートル・ローラースケート・リレー競技で韓国選手が勝利を確信してガッツポーズをしてフィニッシュしたが、2位の台湾選手が左足を延ばし、0.01秒差で逆転勝利したとの記事を見た。フィニッシュ後、処理を確信した韓国リレーメンバーが国旗を掲げながら会場を一周している最中に、成績発表があり、驚きと恥ずかしさでがっかりしている姿が印象的だった。金メダルを取れば韓国では兵役免除になる(オリンピックはメダル獲得で)そうで、リレーメンバーの落胆は大きいという。

前述のブログの一部を再掲しながら、今回の韓国の選手がなぜこんなことになったかを考えてみたい。

先生の言う「脳に悪い7つの習慣」とは下記を言う。

  • ①「興味がない」と物事を避ける
  • ②「嫌だ」「疲れた」とグチを言う
  • ③言われた事をコツコツやる
  • ④常に効率を考えている
  • ⑤やりたくないのに我慢して勉強する
  • ⑥スポーツや絵の興味がない
  • ⑦めったに人を褒めない

七つの内、ちょっと違和感があるのは、「③言われた事をコツコツやる」と思いますが、これは失敗を恐れて慎重にやる、失敗したらどうしようという否定的な考え方と表裏一体のものとの前提に基づいている。上司の言うまま、工夫もせずコツコツとやるのは、脳の活性化にはつながらない。「達成すること」より前に「どう達成するか」言われた以上の成果を出すことに執着することが、脳の活性化につながるそうだ。

北京オリンピックの北島選手などへのアドバイスで、ゴール近くになって「そろそろゴールだ」と思ってしまうと、脳は「もう頑張らなくていい」と判断してしまうため、血流が落ちてしまうことが証明されているそうだ。「まだゴールは遠い、もっと頑張ってブッチギリで勝つ」と思えばより力になるとの事です。バンクーバーオリンピックでスケート女子団体で最後の1週まで1秒近く離していたのに逆転されて金を逃したレースや、アテネで100メートル競争で75メートルまでブッチギリのトップだった選手が負けた事例など、その事例はスポーツでも多い。今回の事例も同じだと言えそうだ。油断と言えばそうだが、脳の機構上、そうなる(勝ったと思うことで脳が活動を止めてしまう)と言われれば、今後も事例は止まらないとも言えそうだ。

こういう視点で、サッカーやラグビー、野球などの試合を見ても、監督・コーチの指導方法がポイントになりそうだ。

日頃の仕事をする上でも、日常の生活でも、働き甲斐、生きがいをもって生きられるかは、如何に脳を活性化するかだと言われる。「最後までしっかり気持ちを高めてやり遂げる」ことで成果は上がる!