先進国「飛び恥」じわり!(日経1面トップ記事)

18日の日経夕刊の1面トップ記事のタイトルが「先進国“飛び恥”じわり」。17日の日経朝刊6面のOpinionに英国エコノミスト誌の翻訳記事「若者による創造的破壊に備えよ」にも、「エネルギー効率の良い鉄道を使わずに、CO2を大量に排出する飛行機を利用するのは恥ずべき行為だとする「飛び恥」運動やファストファッションのボイコット、肉を全く口にしない食生活など、一部の若い消費者が大企業と、企業を規制する立場にある政治家に強い影響力を及ぼすようになっている」との文面があり、”飛び恥“との言葉が気に止まっていた。

18日夕刊の記事は下記のような文面で始まる。
「欧州など先進国を中心に飛行機の利用を手控える動きが広がり始めた。温暖化ガスの排出増加による環境負荷への関心が高まっているためで、16歳の環境活動家グレタ・トゥンベリ氏が交通手段として飛行機を回避している事でも注目を集める。短距離の移動に鉄道の利用を勧める航空会社や温暖化ガスの排出量の少ない燃料の使用を促す例も出てきた。」

グレタさんの出身地スウェーデンには飛行機の利用が恥だと考える「フライトシェイム(飛び恥)と言う造語があり。瞬く間にグレタさんの行動(国連やCOP25の会場に行くのに飛行機ではなく船で行く)で世界に広まっているとか。オランダのKLM航空では、鉄道会社と提携し、20年3月よりアムステルダムとブリュッセル間の便数を減らし、代わりに鉄道での移動を勧め、提供する。ユナイテッド航空では10月末、CO2削減技術や、バイオ燃料開発に43億円投資することを発表した。フランスやドイツでは、航空券に環境税を20年の導入し、その税収で鉄道などの輸送手段の強化に充てると言う。UBSによると、欧州の飛行機利用者の伸び率は19年の前年比4.8%から20年は3.4%に低下すると推測している(”飛び恥“の意識が急速に高まればさらに減ると予測)。国土交通省の試算では、2017年度の時点で、飛行機で1キロ移動する際に排出される二酸化炭素は、乗客1人当たり96グラムで、鉄道の19グラムの5倍ほどとのこと。
KLM航空の社長は、「大企業は、未来の世代のことを第一に考えて飛ぶことの責任を果たす必要がある。私たちは過去8年間で、乗客一人当たり17%の二酸化炭素を削減した。でも十分ではない。航空業界はまさに“弱肉強食”の世界で、常に責任を果たし続けないと生き残れない」と言う。
欧州は北欧での氷河の崩壊や、ヴェネツィアの洪水や森林火災を目の当たりにし、地球温暖化抑止に対する意識は高いと言われる。が、日本も含めた大国が、今回のCOP25でも取り組みに対する積極的な姿勢が見られないことで若者の批判を受けている。その中でも、日本は地球温暖化に対する取り組みの不十分さから”化石賞“という不名誉な賞を受けている(19年地球温暖化の被害を最も受けたのも日本との発表もあった)。

22日の日経朝刊1面のコラム”春秋“でも、飛び恥に関して書かれている。
「グレタさんたちの言動に対し、論理的な反論や説明ではなく、冷笑や罵りで応じる大人もいる。しかもその先頭に国の指導者らが立っている。これこそ“揶揄恥”“罵倒恥”ではないか。大人と若者の間の、新たな分断につなげてはなるまい。ちょっと考えればわかる。一人の例外もなく、大人は昔、かって若者だった」と。
孫、ひ孫の時代、さらにその先まで、安全で平和な地球を作るための行動が、今の世代の責任ではなかろうか?飛行機業界も、21年以降国際的にCO2規制が入るとの事だが、あらゆる分野で”地球温暖化“問題に敏感にならねばと痛切に思う。

今起きるかもしれない首都直下地震の怖さを実感!!(NHK首都直下地震ウィーク)

12月2日から8日まで、NHKが総力をあげて放送した”体感 首都直下地震ウイーク”。
12月2日 午後4時4分にマグニチュード7.3の地震が東京で発生したら…という想定で作成したVFX映像を駆使したドラマ「パラレル東京」。2日地震発生当日、2日目、3日目、4日目と状況が刻一刻変わる鬼気迫る放送現場の迫真のドラマを見て、その怖さを実感できた。NHKスペシャルだけではなく、ドキュメンタリー、あさイチ、シブ五時などでも取り上げられ、この1週間は目が離せなかった。NHKの目的は、30年以内に70%の確率で起きるとされる震災を体感することで、みんなが防災減災の必要性を「自分のこと」としてとらえることを目的としたが、これを見た方はその怖さを実感したのではないだろうか。以下、NHKの当該番組に関するインターネット記事から情報を拾いながら概説する。

2013年の内閣府被害想定によれば、冬の夕方に都心南部でマグニチュード7.3(東日本大震災は9.0)の地震が起きた場合、風速8mの風が吹いていると、首都圏全体で死者数2万3千人、全壊・焼失家屋61万棟、避難者720万人、経済被害95兆円にのぼると推計されている(20年間の損失は731兆円)。今回は首都直下地震を想定したが、30年以内に70~80%の確率でマグニチュード8~9の地震が予想される南海トラフ地震では、関東から九州まで範囲が広いこともあり死者32万人超、238万棟あまりの建物が全壊・消失すると推計されている。経済的な被害は220兆円超と国家予算の2倍以上(20年間の損失は1410兆円)。

発災4日目までのドラマでは、避難民が混雑する中で起きる”群集雪崩“(以前兵庫県明石市の歩道橋で死者が出た事故と同じ)の頻発や、高さ200メートルにも及ぶ炎の竜巻“火災旋風”など様々な“未知の脅威”が襲いかかる。SNSに飛び交うデマ情報で多くの人々が死傷。さらに大規模停電の影響で携帯電話の基地局がダウン、通信障害が広域で発生する、など大都会の知られざる弱点を見ていく。発災3日目以降の特徴は、揺れや火災から生き残った人々の命が、また別の形で脅かされ始めるという事態に突入する。中でも病院にたどり着きながら治療を受けられずに亡くなる人の数は、発災以降6千人以上に上るとされている。3日目には大きな余震も発生した。その余震で、回復しかけていた首都機能が再び失われた。各地で大規模な土砂崩れが発生し、被害が拡大する一方だ。さらに、東京東部の堤防が決壊しかけ、市街地に水が流れ込む恐れがあることが分かる。数万人を超える人たちが命の危険にさらされる。デマか事実かの判断が難しい。

首都直下地震の発生から1週間、1か月後、1年後、10年後の東京、日本はどうなるのか? 発災から4日間までの「直接的な危機」を運良く乗り越えたとしても、命を脅かす“二次被災”のリスクが次々に降りかかることが最新研究で明らかになってきた。発災1か月には、仮設住宅の不足などで、100万人を超える「住宅難民」が生まれ、東京から移住する「震災疎開」によって、家族離散に追い込まれる人も出てくるという。発災1か月には、仮設住宅の不足などで、100万人を超える「住宅難民」が生まれ、東京から移住する「震災疎開」によって、家族離散に追い込まれる人も出てくるという。そして、発災1年後、10年後、、、試算では経済損失は731兆円(20年間)にも及ぶとされ、膨大な震災がれきと圧倒的な人不足・重機不足もあって復興が大幅に遅れる恐れがある。日本社会が体力を失っていくリスクが見えてきた。

これまで、阪神淡路大震災(姫路にて)、東日本大震災(東京にて)と経験してきたが、あらためて震災に対する備えの必要性を実感させられた。早速、家具倒壊対策を取ったり、停電時に使えるガス器具を下におろしたり、食器などを棚の上から下へ配置変えしたり、パソコンなどを粘着テープで固定したりした。全国的に飲料水不足になることも予想され、1日大人3ℓ使うというが、1週間分でも二人で2ℓボトルを21本用意することになる。保存食も1週間分用意する必要があるが、何をどう準備するか、NHKの今回のシリーズ“生きるスキル”番組を参考に考えたい。姫路の空き家も住めるようにしておくなど、“震災疎開”も検討したいと思っている。

訪日されたフランシスコ教皇の勇気あるメッセージに感銘!

38年ぶりにローマ教皇が11月23日に日本を訪問され、大いに話題になった。82歳の高齢ながら、長崎を手始めに広島、東京と精力的に日本を回られ、4日間で8回もスピーチをされ、多くの日本人に感銘を与えた。ツイッターやインスタグラムを駆使しながら、常に弱者を思いやる精神を持ちながら、トランプ大統領の国境壁建設を批判し、核禁止条にも触れ、日本の核の傘批判など、強い発信力と行動力を持つ改革派のリーダーともいえる。ツイッターのフォロワー数が1800万人超と聞くが、教皇に対する信頼とその発信力
を物語っている。2年前、原爆が落とされた長崎でアメリカの従軍カメラマンが撮影した「焼き場に立つ少年」の写真を「戦争がもたらすもの」というメッセージを添えて、教会関係者に配布するよう指示したことでも注目された。

切望されていた唯一の被爆国日本訪問を実現され、被爆地長崎・広島での発言。
・「戦争のために原子力を使用することは、現代において、犯罪以外の何ものでもありません。人類とその尊厳に反するだけでなく、わたしたちの共通の国家の未来におけるあらゆる可能性に反します。原子力の戦争目的の使用は、倫理に反します。核兵器の保有は、それ自体が倫理に反しています。(中略)真の平和とは、非武装の平和以外にありえません」
・「核兵器や大量破壊兵器を持つことは平和や安定につながらずむしろさまたげ」
・「戦争のために原子力を使うことは犯罪以外の何ものでもない」
・「核兵器をもっているのもテロ行為だ。核抑止力に頼るのも同罪」
・「最新鋭で強力な武器をつくりながら、なぜ平和について話せるのだろうか。差別と憎悪の演説で自らを正当化しながら、どうして平和を語れるだろうか」
・「軍備の均衡が平和の条件であるという理解を、真の平和は相互の信頼の上にしか構築できないという原則に置き換える必要があります」(アフガンで非業死の中村哲氏も同じことを言われている)

東日本大震災の被害者との面談では、福島第一原子力発電所の事故に触れて
・「私たちには、未来の世代に対して大きな責任があることに気付かなければいけません」

都内で若者たちの悩みを聞く集いに参加し
・いじめについて「学校や大人だけではこの悲劇を防ぐのは十分ではありません。皆さんで『絶対だめ』といわなければなりません」

東京ドームで5万人が集まる大規模なミサで
・「日本は経済的には高度に発展していますが、社会で孤立している人が少なくないことに気付きました。これを乗り越えるためには異なる宗教を信じる人も含め、すべての人と協力と対話を重ねることが大切です」

自身の出身母体である修道会の「イエズス会」が設立した上智大学で学生に
・「どんなに複雑な状況であっても自分たちの行動が公正かつ人間的であり、正直で責任を持つことを心がけ弱者を擁護するような人になってください。ことばと行動が偽りや欺まんであることが少なくない今の時代において特に必要とされる誠実な人になってください」と諭す。

東京で若者向けに開かれたミサでのスピーチ(11月25日、東京カテドラル聖マリア大聖堂で行われた「青年との集い」での講話)。いじめなどの経験を語った若者3人に対し、逆境にどう立ち向かっていくのかを説く。
・「(多くの人が、人と上手にかかわることができずに)ゾンビ化している」
とりわけ教皇が強い言葉で警鐘を鳴らしたのは、世界中で社会問題化している孤独、つまり、現代人の「心の貧困」であり、日本も例外ではないこと。
・私たちにとって最も大切なことは、何を持っているか、何を得られるか、ではなく、誰と(人生を)共有できるかということなのだということに気づくことだ。「何のために生きるのか」ではなく、「誰のために生きるのか」にフォーカスすべきなのだ。自分に問いなさい。「私は何のために生きるのか」ではなく、「誰のために生きるのか」「私は誰と人生を共有するのか」を。

「核を持つことは罪」の発言は、従来のローマ法庁の考え方とは異なるもの。真に世界の平和を願う教皇の勇気ある、力強い発言だと思う。私はキリスト教徒ではないが、今回の若者も含めて、幅広い人たちへのメッセージとして、記憶に残るものとなるだろう。そして、世界の指導者、人々の行動の指針になることを願わざるを得ない。