「自己改革3」カテゴリーアーカイブ

日頃からコミュニケーション力を磨こう!

今朝の日経の「おわびはチャンス」(27面キャリアアップページ)の記事に目が止まった。お客さまや上司との間でのトラブルが起こった時の対処方法について書いている。目白大学の渋谷昌三教授(「謝罪の技術」の著書あり)の話を取りまとめている。話の聞き方、仕方によって、おわびをきっかけに打ち解けることも可能で、人との絆を深めることにもなると言う(プロジェクトをバーストさせたのに、その火消方法をお客様の信頼を得るチャンスとする論理を思い出す)。

おわびに向けた基本スキルとして、アメリカの経営学者シュトルツ氏が提唱する「LEAD法」を紹介している。

  • L(Listen傾聴):相手の話をじっくり聞きながら原因を見つける
  • E(explore探求):相手の話を基に、失敗の原因などについて掘り下げて考える
  • A(analyze分析):掘り下げた問題点を基に、どう対処すべきかをじっくり検討する
  • D(DO実行):じっくり検討した対応策を実行に移す

最初の段階(L)で、相手の怒りの原因をじっくり聞きだすことが肝要で、反論するのはもってのほか。解決策を提示する際は、きちんと責任を負う姿勢で話す。「~と見られます」のような表現は無責任な印象を与える。「私は~と考えています」「~するようにします」の表現が望ましい。敬語にも注意すべきと言うのはNHL学園専任講師の山岸弘子氏。(普段の言葉→改まり語)の例として(今日→本日)、(多分→恐らく)、(忘れる→失念する)、(本当に→まことに)、(すぐに→早急に)などを挙げている。

コミュニケーションは相手があっての事だ。昨夜テレビのニュースで「おれ、おれ詐欺」対策をやっていた。信金に多額の金を引き出しに来た老人に、「詐欺ではないか」の確認をする訓練を紹介していたが、息子がヤバイと信じこんでいる老人への声のかけ方で、「詐欺では?」と言うと、却って感情を害し、頑固になってしまうとアドバイス役の警察官が言っていた。やんわりと、「急ぐんですか?」とか、「何に使われるんですか?」とか老人の気持ちをやわらげなら自分で気付くように持って行く。難しいが、そうしなければ目的を果たせない。

コミュニケーション力と言う意味では、「聞く力(阿川佐和子著、文芸春秋)」、「伝える力(池上彰著、PHPビジネス新書)」など人気新書がある。コミュニケーション力を大事だと思っている人は、「聞く力」を重視する。IT業界もサービス業。お客さまからの信頼を獲得するためにも、日頃からコミュニケーション力を意識して磨くことをお奨めしたい。

自分の強みを把握することの難しさ?!

先日伊勢神宮の式年遷宮のテレビ番組の中で、「日本の建築の素晴らしさを世界にアピールしたのは、ドイツ人のブルーノ・タウトだ」との説明があった。ブルーノ・タウトはドイツを追われ、1933年日本に亡命。日本には3年ほどしかいなかったが、その間に、桂離宮、白川郷、伊勢神宮に関して、「パルテノン宮殿に匹敵する建造物」「天から降ってきたようなこれらの建築物は、世界の王座である」と絶賛したと言う。それで日本の建築家は、そのすばらしさに気付いた。

25日の朝日新聞「未来を拓く“森のミクス”」の記事の中で、米沢市で開かれた「国民参加の森林(もり)づくり」シンポジウムの基調講演をされた椎名誠氏の言葉が掲載されている。「日本が緑に囲まれた国であることは、中からは分からない。北極圏に住んでいるエスキモーは、昔も今もアザラシなどの生肉を食べている。焼いて食おうにも、高緯度になると森林限界を過ぎて木が生えていない。」と。モンゴルでも木があまりなく牛の糞を乾燥させて燃料にしていることや、木がないところでは火葬にできず、北極圏では海に流し、チベットでは鳥葬、モンゴルでは風葬、つまり野ざらしだと言う。自然に恵まれた日本の良さを認識し、森を守り、生かすことを全国レベルで考えるべきだと訴える。

事業戦略を立てる場合、自社の強み、弱みなど(SWOT分析)の把握が必須だ。しかし、これが自社だけでやるのは難しい。競合他社など外の世界を知らずして、強み、弱みを知ることは出来ないのだ。第三者的視点で見つめ直さないと分からない。安倍総理も言っているが、日本文化を日本人は当たり前と思っているが、外国人が日本文化に接すると、その良さに感動する(財布を落としても戻ってくる!)。したがって事業戦略を立てる上でも、如何に外の世界を知るかが非常に重要となる。私も、例として、ソニーのデジカメの話をよくする。古い話で恐縮だが、日経ビジネス2002.3.18の特集で、ソニーのデジカメのアフターフォローに関する顧客満足度が最低との記事が出たが、翌年№1になったそうだ。日経ビジネスのお蔭で、自らのデジカメのアフターフォローの世間の評価が認識でき、対策を打つことが出来たと言うことだと思う。上の例でも、ブルーノ・タウトという世界の建築を理解している人が日本に来たから、その良さに気付くことが出来、また椎名さんという世界の実情に詳しい方がいたからこそ、日本の良さをアピールできたと言う事ではないだろうか?

自社の強み、個人の強みを知るためには、積極的に外の世界と交流し、自社を、自分を“素直”に見つめ直すことが必須ではないかと思う。JASIPAなどの集まりに参加することで、他社との人脈を広げる機会を得ることも、その意味では大いに意味あることと思う。普段当たり前と思っていることが、意外とそうではなく、自分の強みだと分かれば、大きなエネルギーに変わり、大きな生きがいにもなる。

暗闇体験でつながろう!

8月20日の日経夕刊「暗闇体験でつながろう(見えない空間で運動・作業・・・)」と週刊ダイアモンド8.24号「真っ暗闇だからこそ見える相手を思いやることの大切さ」の記事に、「暗闇体験が最近人気」とある。以前から有名な、厚生省も後援している「非営利活動法人ダイアログ・イン・ザ・ダーク(DID)」のホームページでは、これまで10万人が体験し、東京外苑前会場の予約状況スケジュールを見ると、平日も満席あるいは残席少々の状況が見え、人気を博している状況が見える。

DIDのホームページでは「参加者は完全に光を遮断した空間の中へ、グループを組んで入り、暗闇のエキスパートであるアテンド(視覚障害者)のサポートのもと、中を探検し、様々なシーンを体験します。その過程で視覚以外の様々な感覚の可能性と心地よさに気づき、そしてコミュニケーションの大切さ、人のあたたかさを思い出します。世界 30か国・約130都市で開催され、2011年現在で700万人以上が体験したこのイベントは、1988年にドイツで、哲学博士アンドレアス・ハイネッケの発案によって生まれました。日本では1999年11月に初めて開催され、現在は東京・外苑前の会場にて常時開催中。これまで約10万人が体験しています。」と。今では大阪にも会場がある。

朝日新聞の記事では、DIDの他にも暗闇体験イベントが増えていると言う。日本ブラインドサッカー協会主催が、音が鳴るボールを使った視覚障害者のサッカーを目が見える人がアイマスクをしてやってみるイベントを毎月3~4回開催しているが、口コミだけで毎回満員だそうだ。友達作りのために武蔵野大学では新入生のオリエンテーリングに導入。(ロンドンパラリンピックで金メダルをとったゴールボールを思い出す(http://jasipa.jp/blog-entry/7942)。)一般社団法人中小企業経営基盤研究所(名古屋)では経営者向けに、アイマスクをして木製ブロックを指示された形にするブラインドワークを取り入れた講座を実施(提供:日本ダイーバーシティ推進協会)。「暗闇ご飯」、「暗闇音楽会」、「暗闇官能小説朗読会」などもあるそうだ。

アイマスクをすると一人では何もできない。お互いに声を出して助け合わなければ一歩も前に出ることさえできない。そして他人の声を信じなければ動けない。初めて会った人でも。だから気持ちが通じ合い、直ぐ友達になれる。他人を思いやる気持ち、そしてそのためには声をかけること。DIDで同行役を務める視覚障害者の人は「子供のころに比べ、道に迷った時などに心配して声をかけてくれる人が減った」と嘆く。

人は一人では生き抜けない。いろんな人に助けられながら生きている。こんな感覚を経験できるとすれば、個人の幸せの為にも、暗闇体験は貴重なものと思える。DIDのホームページには体験者の声が掲載されている。「また参加したいか?」にYesが97%、「他の人に薦めたいか?」は99.5%がYesだと。