「ミドリムシ」で世界を救う!

25日日経3面『「外国人」日本買いへ加速~東証売買代金6年ぶり高水準』の記事の次に「新興市場にも流入」との記事があった。その記事内の表「今月に入り株価が大きく上昇した主な新興市場株」の中に「ユーグレナ(ミドリムシ培養事業)」という企業名を見つけた。実はFaceBookで、先日致知出版社の下記メーッセージ(ユーグレナ出雲社長の言葉に感動を覚えたので)シェアしたが、昨年12月にマザーズに上場していた会社だった。

くだらない仕事、くだらない会社、
くだらない生物、そんなものは何一つない。
どんなものでも突き詰めていけば
素晴らしい力になるんです。
掃除やコピー取りのような
単調な仕事はしたくないという人は、
たぶん何をやってもうまくいかない。
一所懸命やるからこそ、
応援してくれる人が現れるんです

上記言葉は、「致知2013.5月号」のインタビュー記事「人生にくだらないものなんてない~ミドリムシで世界を救う」からとった言葉だ。

出雲社長は昭和55年生まれ、東大1年の時バングラディシュに行った時、毎日カレーばかりで大人も子供も炭水化物しか摂取しておらず栄養失調状態。何とかこのような人を救えないかと、帰国してから栄養について調べ始めた。後に一緒に会社を作る後輩(鈴木)が「ミドリムシは植物のように光合成するし動物のように動く」と教えてくれ、電流が走るような衝撃を覚えた。「これだ」と思い、それ以来ミドリムシ人生一直線となった。研究論文などを調べ、研究者にアタックを試みたが、ユーグレナ研究会会長の中野先生(大阪府大)から「ミドリムシが培養できれば、世界中の栄養失調を無くせることは20年前頃に分かっていたが、まだ誰も培養に成功していない」、「ミドリムシは凄く栄養があるので、増やしている最中にバクテリアやプランクトンが食べてしまい、どうしようもない」と言われた。しかし、諦めきれず、その時35歳までにミドリムシの会社を作るとの目標を立てたそうだ。卒業後東京三菱銀行に入ったが、応援してくれる人たちにその真剣さを伝えるために、面白かった仕事も1年で辞めて、ミドリムシに専念。25歳の時(2005)に会社を立ち上げ研究を続けていたが、会社設立半年後に後輩から「培養に成功」との知らせを受けた。がその後も、ライブドアとの関係を疑われたり紆余曲折があったが、3年後(2008)伊藤忠の支援を得ることが出来、お客様の評判も得て、20012年12月にマザーズに上場。

その出雲社長が大事にしてきた信条が上記メッセージとのこと。日本中のミドリムシの研究者が応援してくれたそうだ。出雲社長の夢は「ミドリムシで世界を救う事」「バイオジェット燃料を作って、飛行機を飛ばすこと」。

当記事は、㈱ユーグレナの成長・発展を約束するものではありません。一つの夢を大事に、さらに大きな目標に向かって進む出雲社長の姿勢が、若い人たちに大きな元気を与えるものと思い紹介した。頑張ってほしい。

ユーグレナは学名で和名がミドリムシ。

第13回JASIPA経営者サロン実施(25日)

23日のブログに予告(http://jasipa.jp/blog-entry/8670)をしたが、11名の参加を得て実施した。飛び入りで京セラの子会社のバリバリの営業ウーマンにもご参加頂いた。

私の方から資料に基づいて、ナショナル・フラッグ・キャリアとしての意識が必要以上に企業全体を蝕んでいた状態から、如何に社員の心に火をつけ、「一人ひとりがJAL」の意識改革に至るプロセスを説明した。説明しながらも、企業改革は「リーダー」「企業文化(価値観)」「社員の共有」が揃ってはじめて実現できるものということを痛感出来た。80歳近い稲盛氏が、老体に身を打ちながら、現場に積極的に出向き社員との対話を始め、幹部層の収益などに対する責任意識のなさを叱責しつつ、JAL企業理念&フィロソフィーを打ち立て、それを全社員に浸透させていく。会長、社長が率先して現場に出向き、社員に直接メッセージを発し、「お客さま視点を貫き」、「マニュアル主義を脱し」「自ら考える現場」に変化していく。トップと現場との距離が短縮したことで機長組合の姿勢も大きく変化してきたと言う。

JALの新たな企業理念は

JALグループは、全社員の物心両面の幸福を追求し
一.お客様に最高のサービスを提供します。
一.企業価値を高め、社会の進歩発展に貢献します。

「全社員の物心両面の幸福」の文言は、まさに稲盛哲学だ。今回飛び入り参加の京セラ子会社の企業理念も「全従業員の物心両面の幸福を追求すると共に、人類・社会の進歩発展に貢献すること」だ。この会社でも年2回全社員対象に京セラフィロソフィー教育を実施しているそうだ(そのうち1回は合宿研修)。JALでも「JALフィロソフィー」の社員への徹底を図り続けるためにグループ会社含めた全社員対象に年4回フィロソフィー研修を実施している。

第二部では、このような過程で作られた「稲盛さん叱責の神髄」とも言われる「JALフィロソフィー」を一覧してもらい、意見交換をした。フィロソフィー第一部は、企業理念の「全社員の物心両面の幸福を追求する」を実現するための人としての心構えであり、第二部は、同じく企業理念の「お客様に最高のサービスを提供する」「企業価値を高め、社会の進歩発展に貢献する」を実現するための社員としての心構えを示している。すべて「当たり前」の事とも捉えられるが、それぞれ自社の企業風土に照らし合わせて考えると、「当たり前の文言」がそうでもないことが分かると思う。トラブル(例えばバーストプロジェクトのような)発生の場合、もっと上の人に責任があるのに、下の人間が責任を取らされる文化はあちこちに見られるとの意見も出て、「見直すべき企業文化」を把握し、それを如何に変えていくかトップのリーダーシップの重要性を認識して頂けたと思う。(JALフィロソフィーに関してはJALホームページをご覧下さい)

次回の経営者サロンは5月30日(木)を予定している。テーマは別途連絡する。

第13回JASIPA経営者サロンのご案内

明後日の25日19時からJASIPA事務所(飯田橋)で第13回経営者サロンを開催します。JASIPA会員の皆様には既にご案内していると思います。今回のテーマは

なぜJALはこれほど短期間に再生できたのか?

です。

JALは2010年1月に破たんし、2012年9月に再上場を果たした。この上場をめぐって、政治的な問題も指摘されている(例えば繰越欠損金があるため益が出ても法人税なし、ANAとの対比など)。政治的な問題は別にして、ナショナルフラッグキャリアの甘えがJALを蝕んでいた状態から立て直したプロセスは、一般企業でも大いに参考になるものと思われる。特に破たん時、会長就任要請を、80歳近い稲盛氏が無給で快諾されたことにも驚いたが、JAL再建のプロセスにおける稲盛氏の貢献もすごかったようだ。雑誌「PRESIDENT2013.3.18号」の「白熱!JAL社員座談会」や、「JAL再生」(引頭麻美著、日本経済新聞社刊、2013.1.25)におけるJAL役員や社員の証言を読むと、稲盛氏に対する尊敬と感謝の念と共に、「JALは変わった。稲盛氏が退任されても、その教えをさらに徹底していく」との熱き思いが伝わってくる。

その再生のプロセスを、上記2誌から探りながら(サロン前半で2誌の概要をまとめた資料を基に私の方から説明し、後半参加者の皆さんで、稲盛氏の教えに基づいてJAL自身が策定した「LALフィロソフィー」を中心に意見交換することにしている。

興味のある方は是非ご参加ください。連絡先:hayashi@bsc-ltd.com  携帯:090-8841-9948