木香バラが満開です!

毎年今頃見事な花をつける「木香バラ」が今年も満開になりました。枝を選定するのですが、年ごとにますます立派な枝ぶりに花を咲かせています。「木香バラ」は病虫害の被害もあまりなく、バラ特有のトゲもなく育てやすいので評判のようです。左が一昨年のもの、右が今年のものです。枝ぶりが立派になっているのがお分かり頂けると思います。

ピンクの花をつけているのが、毎年ブログでも紹介しているペラルゴニウムです。少し花をつけ始めました。もう後半月もあればベランダを花で一杯に飾ってくれると思います。楽しみです。最後の写真が昨年のものです。1年間水やり苦労の成果です

地方を元気にする日本再生策・里山資本主義とは?

4月18日の日経朝刊1面”春秋“に本屋大賞の話が書かれていた。これは、既存の文学賞と違って作家は選考に加わらず、書店員たちの「イチオシ」で決まるとの事だ。今年は479書店605人の投票を経て和田竜作「村上海賊の娘」が選ばれた。この作品は受賞後1週間で40万部ほど増刷されたとある。こんなに作家の懐を潤す賞はないと春秋子は書いている。

最近近くの本屋で、カバーに「新書大賞2014」と銘打たれている「里山資本主義」(藻谷浩介・NHK広島取材班共同著作・角川ONEテーマ21版、2013.7)を目にした。この大賞も大いに宣伝になるのだろう。昨年発売間もなく買って読み終わっていたが、経済成長一辺倒に乗るのではなく、地方の活性化に向けて里山の自然の活用や人間的な絆を深めながら、より人間的な生き方を追求している人達が数多くいることに何かしら日本の将来を占う何かを感じていたのを思い出し、もう一度読み直すことにした。

「デフレの正体」(角川ONEテーマ21)で議論を沸騰させた藻谷氏曰く「“里山資本主義”とはお金の循環がすべてを決するという前提で構築された“マネー資本主義”の経済システムの横に、こっそりとお金に依存しないサブシステムを再構築しておこうと言う考え方」と言う。東日本大震災でマネーなど何の助けにもならない世界を学んだ。金に依存した「アメリカ型資本主義」の盛衰の激しさ、直近ではリーマンショックあり、またアメリカの金融緩和で後進国を中心に世界がおかしくなる。日本の食料自給率は39%、食料さえも諸外国に依存し、お金が無ければ生きていけない。戦争はエネルギー問題が発火点になることが多い(第二次世界大戦もそうだった)が、これからは食料問題も引き金になる恐れが出てくる。“経済成長”のみを追っかけることの怖さ、不安定さを考えれば、安全保障の前にやるべきことがあるのではとの提案が「里山資本主義」だと言える。安全保障環境が厳しくなるにつれ「食料も資源も自給できない国の繁栄など、しょせんは砂上の楼閣ではないか」との不安がますます募る。

広島に転勤になったNHKの井上恭介氏は、そこで思いがけない出会いに恵まれた。田舎が抱える永遠の課題、過疎や高齢化というイメージの対極を行く「元気で陽気な田舎のおじさんたち」に出会い、目からぼろぼろうろこを落とされたと言う。これを契機にNHK広島で「里山資本主義」の番組を作ることとし、その推進役を藻谷さんにお願いしたそうだ(2012年正月のNHKスペシャル〝目指せ!ニッポン復活“など)。

中国地方の話が多くなるが、地方の物資を活用してエネルギー、食材を自ら賄う工夫で自立した地域の事例が満載だ。岡山県真庭市では廃れゆく一製材業が、木屑を利用したバイオマス発電所を建設し、2200世帯の電気を供給、また木屑をペレットにしてストーブなど熱源に利用する。はては、オーストリアで実現されている地震にも強く、耐火性もある建築材CLT(cross laminated timber直角に張り合わせた板)の試作も行っている。CLTはオーストリアだけではなくイタリア、ロンドンなどでも普及が始まり、9階建てのビルもこの建築材で建立されているそうだ。木造は2階建てまでしか建てられなかったオーストリアの法律が2000年にいち早く改正され、今は9階建てまで可能となっている。鉄筋コンクリートとは違って冬は暖かく、夏は涼しい住環境が可能となる(三木市の実験設備で7階建ての建物に阪神大震災の震度を与えたところ、見事耐えることが出来た)。

広島県庄原市のエコストーブも紹介されている。地元の食材を活かし、エコストーブを囲んで人の絆を創る。化石燃料資源に恵まれないオーストリアでは、原発をとっくの昔に封印し、国産エネルギーとして木質バイオマスエネルギー革命に奔走している。日本では多くの既得権益者とぶつかることからなかなか木材の利用が進まない現実にあるというが、木材利用先進国オーストリアに学んではどうだろうか。真庭市の製材業者は世界を駆け巡って木材活用の目を探していると言う。また真庭市などに海外からの見学者も多く、優秀な若者も職に就きたく来るそうだ。真庭市モデルを高知県など他県にも普及させる活動も展開している。

安倍総理は「美しい国日本の創生」「日本は瑞穂の国です」、「息を飲むほど美しい棚田の風景」など美しい言葉を述べている。美しい里山風景を守るためにも、日本のエネルギー自立に向けても、GDPには寄与できないが、木材利用のための規制緩和など、本来の日本の地方の資源力(人間のきずな力含めて)を活かし見直すことも必要ではなかろうか。日本の将来について考えさせられる本だ。

“日本の子どもは忍耐力に欠ける”ってほんと?!

21日の日経朝刊にOECD(経済協力開発機構)による15歳を対象とした2012年アンケートの調査結果として、調査に参加した44カ国・地域で日本の「忍耐力」は最下位との記事があった。

質問は5項目。()内数値は、日本、OECD平均を示す。‘約’と付けた数値はグラフから読んだ数値。

  • ●「困難な問題に直面するとすぐにあきらめる」(22%、17%)
  • ●「難しい問題は後回しにする」(約50%、約30%)
  • ●「すべてが完璧になるまで課題をやり続ける」(25%、約57%)
  • ●「取り組み始めた課題にはいつまでも関心を持つ」(29%、約50%)

全ての質問に対して、日本はOECD平均よりかなり悪い結果が出た。OECDの学習到達度調査(PISA)は2000年から3年ごとに実施している。昨年12月はじめに発表した「読解力」「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」の全3分野については日本の平均点は2000年の調査開始以降で最も高く、順位(それぞれ4位、7位、4位)も前回を上回った。当時の新聞では「2003年の調査で順位が急落した「PISAショック」をきっかけに、「脱ゆとり教育」へ転換したことが功を奏したとみられる。」とある。また日本をはじめアジア各国・地域の子供たちの「問題解決能力」が、欧米などに比べ高いことが分かった(7位までアジア地域が占め日本は3位)。「問題解決能力」とは、初めて経験することなど解決方法がすぐには分からないような問題が起きたとき、これまでの知識や技能を生かして状況を判断し、解決しようとする力と定義される。コンピューターを使って行われ、説明書がないエアコンの温度と湿度を調節する操作方法を考えさせたり、初めて見る自動券売機で指定された乗車券を購入させたりする問題が出された。だが、日本の場合、得点が高い割には自信がないという、精神面の問題が明らかになった。今回の日経の記事は、同時に実施した「忍耐力」の自己評価に関してである。「物事の理解は早いほうだ」「多くの情報を扱うことができる」と考えている割合も最も低く、自己肯定感が欠如していることも浮き彫りになった。自己評価の為、日本人の謙遜(控えめ)気質が影響したのではと見る向きもありそうだが、文科省はこのデータを見て「粘り強く取り組む力も育てたい」と言っている。

各国もこの調査結果をある程度意識しながら教育改革を進めている。日本でも、脱ゆとり路線に転換した平成20年の学習指導要領改定後、例えば神奈川県教委は「『問題解決能力』育成のためのガイドブック」を作成。理科の実験や社会のフィールドワークなどで、状況の判断力や分析力、問題解決への意欲を高めるプログラムを提唱している。アジア勢でも近年、PISAに対応する教育改革を進めており、シンガポールでは、国家予算の約2割を教育関連政策にあて、理数重視のカリキュラム開発に力を入れていると言う。

日本人の特質とも言われ、東日本大震災時も発揮され世界から評価された「忍耐力」がこんな実態であることに驚く。若い人たちが自信を取り戻すためにも、「日本人の誇り」や「自己肯定感」の教育にもっと力を入れる必要があると思われる。

<参考>自己肯定感に関する記事:http://jasipa.jp/blog-entry/6579