6日の日経の記事より。「「正しいことを言うときは少しひかえめにするほうがいい」。民主党の羽田雄一郎参院幹事長は5日の参院予算委員会で、1月に亡くなった詩人、吉野弘さんの「祝婚歌」の一節を安倍晋三首相に紹介した。心に余裕を持って政権運営にあたってほしい、との願いを込めた。首相や外相を歴任した父、孜氏が大切にする詩だ。外交交渉では相手方に「日本の心だ。おおらかにやろう」と呼びかけ、結婚式を挙げる知人には書き写した色紙を贈ってきた。首相は自分自身ももらった一人だと明かし、「常にその態度で妻に接している。わが党も謙虚でなければならない」と話した。だが、国会論戦でおおらかさは至難の業だ。直後の質疑で首相は野党席から飛んだヤジに腹を立て、「吉野さんの詩を後ろの方に渡してほしい」とまくし立てた。羽田氏は「ヤジは議会の華。あまり反応しないで」とたしなめた。」
早速インターネットで調べてみた。結構有名な詩で、結婚式などでも多く使われているそうだ。吉野弘氏は著作権問題関係なく、自由に使って欲しいとの意思を示されているとかで、全文記載する。
二人が睦まじくいるためには
愚かでいるほうがいい
立派すぎないほうがいい
立派すぎることは
長持ちしないことだと気付いているほうがいい
完璧をめざさないほうがいい
完璧なんて不自然なことだと
うそぶいているほうがいい
二人のうちどちらかが
ふざけているほうがいい
ずっこけているほうがいい
互いに非難することがあっても
非難できる資格が自分にあったかどうか
あとで疑わしくなるほうがいい
正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気付いているほうがいい
立派でありたいとか
正しくありたいとかいう
無理な緊張には
色目を使わず
ゆったり ゆたかに
光を浴びているほうがいい
健康で 風に吹かれながら
生きていることのなつかしさに
ふと胸が熱くなる
そんな日があってもいい
そして
なぜ胸が熱くなるのか
黙っていても
二人にはわかるのであってほしい
家内とも時々険悪なムードになることがあるが、その時は私のほうが上から目線の言い方になっている。そんな場合、「ところで自分もそうだけど、こんな人間になるように努力できればなぁー」のような具合になぜ言えないのかなと後悔する。「立派になりたい」「正しくありたい」と思うのはいいが、「己が立派だ、完璧だ」と相手に感じさせるような発言は、反撃を生みやすいという吉野氏には同感だ。「目線を合わせながら謙虚に話す」ことが、人間関係(特にパートナーとの)を築くための基本だと言うことを肝に銘ずべきと思う。
祝婚歌を何度も読み返しながら、謙虚さ、相手を思いやる心を忘れず、一番身近なパートナーとの幸せな生活を送られんことを切に願っている。