社内に「困った人」いませんか?

日経新聞社出版の『「困った人」の説得術』(出口知史/伊東明共著)と言う本がある。この様な本が売れる背景には、社内の対人関係の悩み、とりわけ社内の「困った人」に対する悩みの声が増えつつあるという現実がありそうだ。話をすると理不尽に怒りだす、何を言っているのか要領を得ない、都合が悪くなると知らんぷり・・・。そうした人を「社内クレーマー」と呼んでいる。(以下TOPPOINTの本の紹介文より)

まず「評論家クレーマー」:情報通だが、へ理屈ばかり言って自ら行動しない。対処法は、毅然とした態度で、現実を具体的に認識させ(逃げ道をふさぎ)、当事者になるか否かを選ばせる。要は当事者意識をいかに持たせるかだ。

「職人クレーマー」:専門領域に強いが、融通がきかない(意見が異なる相手を攻撃する)。対処法は、相手の得意分野を尊重したうえで、視野を広げてもらうために、お互いの持つ情報を出しながら、最終目標を共有化していく。

「思考停止クレーマー」:頭が固く、今までのやり方から脱却できない(ベテランに多い)。相手への共感の意を示しながら、相手の考えている結論やその根拠を丁寧に聞き出しながら話を進めるしかない。ぶつかっては元も子もない。

「現実逃避クレーマー」:不都合な状況から逃げることに精一杯で、嘘をついたり、聞かれても何も答えなかったりする。悪気はないのに嘘をついてしまう人でもある。「やります」「やれます」と言って何もできない。対処法は、相手から聞いた情報に頼らず、出来る限り情報源に近いところからの情報を取る。そしてそれを基に相手の話を整理し、相手にきちんと考えさせる。

「近視眼クレーマー」:自分本位かつ短期的なメリットしか見ない。若い人に多い。彼等は自分の仕事を非常に狭い意味で捉えており、そこから外れている事は評価の対象にならないし、やっても意味がないと思ってしまう。一方では自分が出来ない焦りもある。対処法は、不本意な仕事でも、きちんとやることで信頼が得られ、自分が望む機会がやってくる可能性が開けることを理解させること。そのために、簡単な課題に取り組ませてあえて小さな失敗をさせて反省してもらうことが効果的。

チームワークで成果UP,効率UPを狙うべき組織において、逆作用を与えかねない人たちとも言える。それぞれに対する対処法が書いてあるが、逆に自分が組織において上記分類に入っていないか、自ら診断してみることもおおいに意味あると思う。

幸せの種は歴史にある!?

先般「歴女が語る日本人の生き方」をブログで紹介した(http://blog.jolls.jp/jasipa/nsd/date/2012/2/13)。その白駒さんから当ブログに対してご丁寧なコメントを頂き、驚くとともに、また一つブログを通じて素晴らしいご縁ができ、ほんとに嬉しく思いました。その白駒妃登美さんが昨年出版された「人生に悩んだら日本史に聞こう(ひすいこたろうさんとの共著、祥伝社)」を読んだ。白駒さんは、偶然ある居酒屋で出会った「名言セラピー」シリーズ著者天才コピラーター「ひすいこたろう」氏のお蔭で、歴女として歩む道が拓けたそうです。

日本人のすばらしいDNAが歴史の中から読み取れる、そしてそんなすばらしい歴史上の人物が常に友として自分の横にいてくれる。ひすいさんとの出会いを演出してくれたのも吉田松陰です。ひすいさんが、友人の講演会の打ち上げで来ていた居酒屋で吉田松陰の話を持ち出し、「鎖国中の日本で、黒船襲来。黒船に驚き、こんな船を作れるアメリカで学びたい欲求にかられ、見つかれば死刑確実な中で、真夜中に黒船に忍び込みます。アメリカ人は吉田松陰などの知識欲に驚き、日本の将来の可能性を感じたそうだが、結局つかまり獄に送られます。」と。そして獄への連行中の泉岳寺前で詠んだ歌『かくすれば かくなるものと知りながら やむにやまれぬ大和魂』を読み始めたとき、『かくすれば』と呼めば、突然奥から『かくなるものと』との声が、『知りながら』と続けると『やむにやまれぬ』、そして最後に『大和魂』。その相手が白駒さんだったのです。歴女がその運命を変える瞬間だった!ほんとに不思議な出会いが人生を変えるものですね。

すべての登場人物が興味深く描かれ、個々人の持つ日本人としてのDNAが分かりやすく解説されている。その中で、幕末に活躍したジョン万次郎も登場している。坂本竜馬や勝海舟、岩崎弥太郎など、そうそうたる人物が、アメリカ滞在経験のある(と言っても沖合で漂流中にアメリカの捕鯨船に助けられ、船長の家で育てられた)ジョン万次郎の影響を受けているのです。今話題の坂本竜馬の「船中八策」、福沢諭吉の「学問のすすめ」(アメリカ独立宣言を参考にした)や、株式会社の発想に基づく「亀山社中」創設、岩崎弥太郎の三菱創設、薩摩の造船技術などなど、ジョン万次郎の功績は限りなく大きなものだったのです。東京オリンピックの実現のため、中南米の国々を味方につけるために自費で奮闘した日系2世のフレッド和田氏。その御礼にメキシコオリンピック実現の際にも大いに恩を返されたとか。日経一世のための老人ホーム建設など、日本や日本人に対する功績は大きい。

いまだに日本に対する恩義(明治23年串本沖で座礁したトルコ軍艦乗組員69名救助)を忘れないトルコ、1919年ロシアとの戦争で取り残されたシベリアの戦争孤児700数十名を救済したポーランドの日本に対する思いも今でも変わらない。

「白駒さんのような日本史の先生がいたら、日本史がもっと好きになっていたのに」といわれるそうですが、それ以上に日本人の誇りを取り戻すために、小さい頃からこのような教材を教育に取り入れるべきと強く思います。少なくとも、私はこんな教育は受けていません。「日本を元気に!」にするためには、なんとしても実現したいですね。

「利他の心」を経営指針として

主要格付け会社から国内銀行トップの評価を得ている「静岡銀行」。「利他の心」は、頭取を平成17年(当時52歳)から続けておられる中西勝則氏の信念でもある。製造業にしろ、サービス業にせよ、事業を営む者に共通する精神であると思うが、銀行はとかく「雨が降ると傘を取り上げる」と揶揄されがちな業界と言われていた。しかし、経済成長と共に企業の成長をサポートしておればいい時代はとっくに終わり、低成長時代を迎え産業構造が変化する中、淘汰されていく企業への対応が不可欠となってきた。そして雇用を確保し、地域の発展・繁栄に寄与することが一大使命になってきたとの認識である。就任当時「金融とは他を利することによってこそ成り立つ仕事である」と言っても腑に落ちず、怪訝な顔をする行員が多数だったと言う。しかし、粘り強く言い続けることによって、利他の心に基づく行動があちこちで表れているとのこと。

他にも自らの気持ちを律する際には「足るを知る」、行動を律する際には稲盛氏の「動機善なりや、私心なかりしか」なども心の拠り所にされている。倉田百三や中村天風などの読書体験から得たものを心の支えや経営指針にしておられる。しかし、何事も消極的な姿勢では目の前の困難に立ち向かう事はできない。積極的に臨めば打つ手は無限に存在するのだと中西氏は言う。中西氏がそのことを指し示してくれた詩として実業家の故滝口長太郎氏の残された詩を紹介されている。

すばらしい名画よりも/とてもすてきな宝石よりも/もっともっと大切なものを/私は持っている/どんな時でも/どんな苦しい場合でも/愚痴は言わない/参ったと泣き言を言わない/何か方法はないだろうか/何か方法はあるはずだ/周囲を見回してみよう/いろんな角度から眺めてみよう/人の知恵も借りてみよう/必ず何とかなるものである/なぜなら打つ手は常に/無限であるからだ

「サンクスカード」が普及しているそうだ。同僚・友人・家族からもそうだが、もっとも嬉しいのはお客様から頂く「ありがとう」の言葉だと思う。他人に感謝の心を、そして他人から感謝の心を!これが普遍的な幸せの原理、そして事業成功の原理でもある。(「致知2012.2号より」