謝罪の心得 危機に備える(朝日新聞)

2月19日朝日新聞朝刊24面「ドキュメント24」の記事のタイトルだ。今まさに政治の世界の裏金問題が沸騰しているので、気になるタイトルだが、当記事はこの問題とは関係なく、企業不祥事の際の謝罪の話だ。

危機管理広報会社エイレックスの企業研修風景から始まっている。INPEX(旧国際石油開発帝石)の天然ガス基地で火災が起きたとの想定での緊急記者会見の模擬訓練だ。記者席にはアイレックスのコンサルタントたちがいる。「火災は想定外?」との質問に「全くの想定外」と答えた。会見者は、万全の対策をしていたとの自負からこのような回答をしたが、コンサルタントのコメントは「“想定外”との言葉は予見できなったとの意味で一人歩きの危険がある。二者択一の質問に安易に答えると、伝えたい事実が伝わらない恐れがある」とコメント。

何かあった際、企業の社長会見が逆の反発を招くことも多い。以前には会見の際「私は寝てないんだ」と発言しさらに大きな批判を招いたこともある。最近はSNSの普及もあり、以前は問題にならないようなことも企業のリスクになるため、以前より、会見を開く基準が下がっている。実際、アイレックス本社(東京・赤坂)では年間200社が謝罪訓練をするそうだ。都内のある金融機関は、10年以上練習を続けているそうだ。

帝国データバンクによると、22年度にコンプライアンス違反発覚による倒産が300件。粉飾決算や過積載、産地偽装などが多く、05年の調査開始以降で最多だそうだ。

「会見の練習で大切なのは問題の本質はどこか、だれに何を謝るのか、社内の認識を合わせること。頭の下げ方や想定問答ばかり考えても意味がありません」。

経済広報センターが実施した経団連加盟の主要社の調査結果では、定期的に緊急会見の練習をしている企業は2年前より約5ポイント増え4割に迫っていると言う。

いざという場での記者会見が、会社の評価を決めることも多いが、こんな会社があることは全く知らなかった。今、裏金問題の政治家も、国民に向けた正直な会見が必要ではなかろうか。