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「日本一楽しい会社」を目指す群馬県の会社

新聞・テレビなどのメディア登場回数が1000回を超え、全国からの講演要請も数多く著作本も多数という、群馬県の中里スプリング製作所社長中里良一氏。自動車、パソコン、医療機器など様々な分野で使われるバネを製造する会社だ。「致知2013.5号」のインタビュー記事に登場されている。30年前廃業寸前状態の会社を創業した父親から引き継ぎ、「日本一楽しい会社を目指す」をキャッチフレーズにする「非常識経営」で、23名の小さな会社を、それまで県内しかなかった取引先を47都道府県すべてに拡大するまでに成長させた。

大学卒業後商社に勤めて(昭和49年)2年後に父親から「会社を閉める」との連絡が入った(オイルショック時)。父親に負け戦をさせるわけにはいかないと、「俺が立て直す」と言って戻った。会社の雰囲気は、社員も中途半端なプライドばかりで、ダラダラ残業をする状態。社長の息子だからと言って誰も言うこと聞かない。自分が結果を出さなければ社員の信用も得られないと、昼は営業、夜は時間を惜しんで現場のバネ製造技術を自ら勉強し、ベテランが出来ないと言ったバネを作って見せた。その時から社員はついてきてくれるようになったそうだ。そして入社9年後名実ともに社長になった。「人間は環境が悪いから頑張れる。頑張っている姿を人に見せちゃいけない。多くの人はちょっとした努力を人に分かって欲しいと思うが、結果だけ示せばいい」と経験から中里氏は言う。

まずやったことは「夢会議」の創設。最初は「夢なんか考えた事も無い」社員に夢を持たせるために月1回車座になって夢を語る会を開いた。「車が欲しい」「家族旅行をしたい」「もっと大きいバネを作りたい」等など。社長の夢は「営業マンを一人も置かずに、営業所を一つも出さずに全国制覇する」。そして、昨年高知県を最後に目標達成。どうやって達成したか?人前で喋るのが大嫌いだったが、ある人の勧めで「今までやってきたことを思い切ってしゃべって見て」と言われ、思い切ってしゃべった所、それがきっかけで次第に増えていき多い時は年間60回を超えるまでになったそうだ。その講演の機会を利用して、営業活動を全国で展開(交通費も相手もちのため、費用かからず)。

会社のすべての判断基準は「損得」ではなく「好き嫌い」。取引先もすべて社員の希望制で、どうしても好きになれなければ、取引先を切るのもOK.自分の評価は自分で、給料は幾らもらいたいか、どの役職につきたいか、誰についていきたいか、誰を部下にしたいか、なども希望制。一緒に仕事をしたい希望者がいない時は社長直轄とし、自分のいい所をもっと伸ばせと指導する。「人の人生はすべて‘好き嫌い’で動いている、学校選び、クラブ活動、伴侶選びなどでもそうなのに、仕事だけ損得で考えても上手くいかない」というのが中里社長の持論。後は頑張るために「夢」を持って、逃げ場を無くして頑張る。

ホームページに講演テーマなども細かく記載されている。上記記事だけでは、すべてに納得できるわけではないと思うが(少なくとも私は)、会社は上手く回り、社員も活き活き仕事をしていると思われる。何よりも講演回数がすごいことを考えても、経営にヒントになることは多いのだろう。JASIPAの会員が群馬県には多いが、情報があれば教えて頂きたい。

余談だが、18日のJASIPA交流会で、「立派納情報システム㈱」の和田社長と名刺交換した。先月創業されたそうだが、「立派納」は中国語で「立派な」と言う意味とのこと。オフショア開発を事業とする会社だが、「立派な会社にする」との意気込みを社名にしているのがユニークで面白い。