JR北海道列車火災事故の教訓

5月27日のJR北海道の列車火災事故に関して、今朝(6月10日)の朝日新聞に下記のような記事があった。

北海道占冠村のJR石勝線で発生した特急脱線火災事故でJR北海道の中島尚俊社長は8日、客室乗務員の女性が火災に気付きながら車掌に連絡していなかったことを明らかにした。女性は車掌も火災に気付いていると思い込んでいたという。札幌市の本社で記者会見した中島社長は「伝えていれば、もう少し早く避難ができていた。非常時の訓練指導が十分でなかった」と述べた。

車掌は、後ろ3両の乗客の前車両への移動を指示し車両から出ないよう社内放送で伝えていたが、乗客の判断で社外に出てトンネルから死ぬ思いで脱出したお陰で大惨事を免れたと言う事故である。

この女性客室乗務員を責めるわけではないが、我々にとっても大きな反省材料として捉えたい。すなわち、プロジェクトがヤバいと感じた時、コンプライアンスルールで上司や部下がおかしなことをやっているのを見た時、勇気を出して声を上げること。それが、間違い情報であったらとか、責任者に悪いとか、なぜと問われても答えられないからとか、いろんな事が気になると言えなくなってしまいます。上記事故では、「車掌も気づいていると思いこんでいた」とありますが、一人の思い込みが何人もの死者を出す大惨事を呼ぶことになります。プロジェクトでも一緒です。「上司は分かっているはず」との思いこみが、プロジェクトメンバーの地獄の生活を招くことになります。

とは言っても、一人だけ突出するのは難しいと思います。各部・課で、常に上司が「ヤバいと思ったら声を上げてくれ」と言い続けることによって、そのような文化が出来て行くのだと思います。とかく、大きな組織では言えない文化が主流ではないかと思います(まさにT電力しかり)。決して、無駄に終わっても声を上げた人を責めない、そのような声が上がるのを奨励する文化を皆で是非とも作り上げたいものです。ハッピーライフのために!

「緑提灯」って知ってます?

2008年2月、朝日新聞の天声人語で紹介されたのを受けて社内のブログでも紹介しました。当時、中国ギョウザ問題など安全性の問題もあって、自給率の低い(40%)日本の国内農林水産業活性化の願いも込めての紹介だったと思います。

「緑提灯」とは、カロリーベースで50%以上国内産品を使用している飲食店で、提灯などに星の数でその使用比率を表しているとのことです。50~60%は一つ★、90%以上が五つ★。当時は全国で400店弱しかなかったのが、今では3000店を超えた数の店があり、新宿駅界隈でも10数店あるようです。店を一部調べてみますと、いわき市小名浜の魚介類とか、東北の野菜とかの使用をうたっている所も多いようです。

釜石の「浜千鳥」はもちろん、「緑提灯」の店も応援したいですね。詳しくは http://midori-chouchin.jp/ をご覧ください。

復興・ニッポン・シンポに参加して

昨日(7日)、日経BP 主催のシンポジウムが八芳園であった。目玉講演は、多方面で御活躍の寺島実郎様。他に阪神大震災当時兵庫県知事だった貝原俊民氏、仙台が本社のアイリスオーヤマ大山健太郎社長、ガートナージャパン足立祐子氏。

寺島氏の講演は、地震・津波被災地における日本創生に向けた提案もされている(道州制の先行実施で、日本海側も含めた総合的な産業再生、首都機能の那須地域への分散など)が、今回の講演は原発問題に端を発する今後のエネルギー問題が主体であった。

興味ある視点は、14万人がなくなった関東大地震(1923年)時代とは比べ物にならない等身大ではない(人がコントロールできない?)技術に身を委ね、その恩恵をあたりまえのように享受している現実である。原子力はもちろんのこと、超高速新幹線(今回の地震発生時、88本が走行中だったが無事故で停車)、超高層建築物(スカイツリーそのものはともかく、工事中の人の転落事故もなかった。東海村では転落で死傷事故あり。大林組の人の弁―スカイツリーが壊れる時は東京の全ビル崩壊の時―だそうだ。地震の時スカイツリーが最も安全?)など、安全性を信じ、その便益を享受しているうちに、自分自身の足で歩くこと、汗をかいて炭を作り窯をたくなどの、自分の身の丈の目線で生きることの健全性を忘れてしまった。今回の事態に直面して、新幹線の安全性にほっとしつつ、原子力の光と影に戸惑い、思い知らされた。今は、自分達が日頃享受している便益を継続して受けるなら、最大限の努力をしてその安全性と安定性を図り続ける「技術」を追求せねばならない。

寺島氏は従来から自然エネルギー、再生エネルギー推進派と見られているが、原子力技術の維持・向上は必要と説く。周辺の中国、韓国、北朝鮮などが原発、核兵器を推進している中で、アジア、ひいては世界のエネルギー施策や原子力の安全性に関して、日本が寄与し、発言できるためには技術基盤は強化していくべしとの意見には同意できる。

貝原氏は、現在も「ひょうご震災記念21世紀研究機構理事長」として、東日本大震災の対策にも関与されている(当機構の副理事長が復興構想会議議長の五百旗頭氏)。「創造的復興」のスローガンを掲げ(この標語は四川地震でも、東日本大震災でも使われている)、長期間(2カ月?)県庁に寝泊まりしつつ施策を打たれたことで有名な方です。神戸市の人口は震災直前より若干増える状態までになっている(2011.3時点)。

アイリス(本社:仙台)の大山社長は、3現主義、情報共有、トップの明確な指針で、予想以上の早期復帰を実現。現地の評判を呼び、売り上げも震災の影響を吹き飛ばして増加しているとの事。社員の「お客視点」での復興支援(ガソリンのサービスなど)が徹底されている。

冲中一郎