ダメな”システム屋”にだまされるな!

これも1昨年、社内ブログに掲載したものですが、JISAが主導する「IT業界の構造改革」に通じる話と思われるためUPすることにしました。

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こんな題名の本が日経BP社から出版されていることを知り、日本のエンドユーザー向けとの書評もあり、慌てて購入しました。著者は元野村コンピュータ(現NRI)出身の方で、現在はコンサルティング会社を起業されており、これまでも日本のIT産業のために活躍されていた方です。今回の本も、JISAで20年前に「2000年のIT産業ビジョン」を提案したが、その後全く進歩がないとの事で、このままでは日本のIT業界は中国・インドなどに押され、ますます衰退の一途を辿り、従業員の給与も下がる一方との警鐘の意味で執筆されています。特に他業界に比し単価の高い金融系は、システム化投資はピーク(統合・インターネット化・規制緩和)を過ぎ、金融系以外で儲かる構造に変えていかなければ給与は下がらざるを得ない(NRIが金融系以外に手を出し始めている理由)との主張もされています。

基本的な主張は、「お客様視点のシステム提案・構築能力」です。ITバブル時代のIT人材不足で人さえいればいくらでも利益が上げられる時代の経験が忘れられず、いまだに作業請負・派遣に甘んじ、リスクをとらない体質を指摘し、リスクをとってもお客様の発展のための提案力を磨き、その方向での人材育成が必須との提言です。

お客さまに対する「ダメなシステム屋を見抜くポイントと対処法」が書かれています。お客様の問題点も聞かずに提案してくる、システム・物品を押し付けてくる、お客さまに接する態度がなっていないベンダーなどはダメ、そして提案するなら選択肢を与えてくれるベンダーかどうか、ベンダーに「何故私どもとお付き合いしたいのか?」「この案件は何があなたの挑戦・リスクですか?」と聞けば、その答え方でベンダーの良し悪し、お客様へのスタンスが分かると示唆しています。

この本は、当時あちこちで宣伝され、本屋でも平置きされていました。今でもITproに「ダメなシステム屋」シリーズ第二弾が掲載されています。心あるユーザーが読まれている可能性もあると思います。海外ベンダーに勝る強み、それは日本のお客様を思う心であり、お客様の発展を願う行動です。この強みを活かすために何をせねばならないか?真剣に考える時です!

追記:標記タイトルのIT Pro連載記事URLを紹介しておきます。http://itpro.nikkeibp.co.jp/members/bn/mokuji.jsp?OFFSET=0&MAXCNT=20&TOP_ID=324984&ST=management

フェイスブックで復興プランを議論(続き)

日本を創り継ぐプロジェクトの開催と参加者募集開始

 ~ 若者による、震災後の日本の未来をデザインする取り組みを8月に実施~   主催:株式会社NTTデータ、株式会社野村総合研究所   http://www.shin-shakai.com/fcd2011/

6月27日に「フェイスブックで復興プランを議論」とのタイトルで予告しました件で、具体的な応募プランが発表されました。対象は16~25歳の意欲ある若者で、募集期間が7月7日~17日です。募集後のスケジュールも書かれています。

日本を若者の熱き自由な発想で復興させる!是非応募を!

釜石の奇跡(東日本大震災)

最新の人間学を学ぶ月刊誌「致知」8月号の記事に「釜石の奇跡はかくて起こった(平時に備えるリーダーこそ危機を超える)」というのがあった。「釜石の奇跡」とは、釜石市立の小・中学校14校では、当日学校の管理下にはなかった(休暇など)5人を除く児童・生徒約3000人が全員無事だったことを言う。ある3階建ての小学校では、3階の窓に車が突っ込んでいる姿が残っているが、そのような状況下で全員無事だったことが奇跡と言われるゆえんである。

このような事がいかにして起こったのか?現群馬大学の片田敏孝教授(防災学)が、100年前の明治三陸大津波の被害(釜石では6500人のうち4000人が死亡)をニ度と起こさないために2004年から市民の防災に関する意識の向上ならびに行動をまずは釜石をモデルに実践してきた成果としてアピールされている。効率的な意識改革はまず子供から(子どもが親になればどんどん意識は拡大して行くとの考え方で10年計画で推進)ということで、まずは小中学校を対象に指導されてきた(小中学生を通じて親への浸透も図った)。過去におきた震度6程度の地震でも避難率は実際2%にも満たない、そんな状況であったそうだ(気仙沼でも)。

当日、部活中の中学生がハザードマップでは浸水想定区域外にあった小学生〔3階に車が突っ込んでいる小学校〕を誘い、手を引っ張って高台に逃げる。その姿を見た近所の大人連中も慌てて一緒に逃げる。普通は親は子供が心配で学校に迎えに行くが、日頃の指導で親も子供を信頼して、まずは逃げることを推奨。すべての人は「率先避難者になれ(他人の命を心配せずに自分の命を守りぬけ)」と叩き込まれた行動をとった。東北地方には、「津波てんでんこ」という言い伝えがあるそうだ。津波が来たらてんでんばらばらに逃げないと家族や地域が全滅してしまうとの事らしい。しかし、この教えに基づく行動はそう簡単ではない。身近な人を気遣い、結果的に全員危機に瀕することになりやすいが、危機時にはまず逃げろが正しい事が「釜石の奇跡」では証明された。

人間は危機管理に弱い動物である。非常ベルがなったら、すぐ行動(避難)できますか?「その状況下において最善を尽くせ!」との教育を受けた中学生は、停電で校内放送も出来ない中、部活動中であったが、すぐに地震に反応し、隣の小学校に飛び込み、小学生を連れて避難した(訓練済み)。

この弱さを克服するには、平時での真剣な訓練の徹底しかない?「釜石の奇跡」は、東京も例外ではない大地震対策として教えるものは多い。

冲中一郎