歴女が語る日本人の生き方

「致知2012.3号」に、「歴史が教える日本人の生き方」というタイトルで、“博多の歴女”として歴史講座を展開、「人生に悩んだら日本史に聞こう」との本も出されている白駒妃登美さんの記事が掲載されている(現在の職名は結婚コンサルタント)。

中学生の時「福翁自伝」に出会ってから歴史への関心が高まったと言う白駒さんは、大手航空会社の客室乗務員で世界を飛び回っていたが、結婚後退社し、子どもの世話に追われていた。ある人との出会いでブログに日本史のエピソードを綴り始め、それを一冊の本として出版したところ、福岡、東京から講演依頼が舞い込み、“博多の歴女”と呼ばれるようになったそうだ。そして多くの出会いに恵まれ、自分でも予想すらしなかった素晴らしい人生が展開できたと言う。

学生時代から欧米流の成功哲学(カーネギーやマーフィーなど)を信じ、「善悪」「損得」「勝ち組・負け組」といった二元論で、いかに勝ち組になるか、そのために受験、資格取得に頑張ってきた。が、この哲学では、「もっと、もっと」の欲望が際限なく広がり、達成感は得られても安心感や幸福感が生まれず、逆に敗北を恐れる気持ちばかりが高まってしまう。ある時、白駒さんは、子宮頸がんとの診断を受け、その後も転移が見つかり、医者から「子どもを誰にみてもらうか、よく家族と相談しておくように」と言われ、「負け組」ということで、これまでの笑顔がなくなり焦燥し切っていたそうです。その時、友人から「妃登美ちゃんが笑顔でなくても、どんなに不機嫌でも、生きていてくれるだけで嬉しい」の言葉をかけられ、その言葉が白駒さんの人生を変えたと言う。成功哲学二元論で、お金や健康など幸せに「条件」を求めていた自分にとって、友人の言葉の有難さを痛感した時、幸せは条件が決めるものではないと気付いたそうだ。

周囲を見渡すと、何気ない日常生活の中に、自分を応援してくれる家族や仲間がいること、日々食事を頂ける事など、喜びや感謝が一杯満ち溢れていることに気付いた。「たとえ病気が治らなくても幸せ」と感じた段階で昔の笑顔が戻ったそうです。そしたら医者から宣告を受けて3週間もしない内に、すべての癌細胞が消えていたとのこと。

人間の生き方には「目標達成型」とは別に「天命追及型」があるという。「天命追及型」とは将来の目標に縛られることなく、自分の周囲の人の笑顔を何よりも優先しながら、いま、自分の置かれた環境でベストを尽くす。それを続けていくと、天命に運ばれ、いつしか自分では予想もしなかった高みに到達するという考え方で、自分の夢だけを叶えるfor meより、周囲に喜びを与えるfor youの精神が優先される事だと言っている。歴史上の事例として、豊臣秀吉が紹介されている。秀吉は最初から天下統一を夢見たわけはなく、徹底的に信長に尽くし、喜ばせることに集中した。結果が夢を遥かに超えてしまった。

近年の脳科学の発見と言われる「成功したら幸せになるのではなく、幸せになれば成功する」の言葉もあるそうだが、あらためて人間関係を広め、感謝を忘れず、今にベストを尽くすことの意味を噛みしめたい。

駕籠(かご)の嫁ぎ先が決まりました!

姫路の家の玄関の梁にぶら下げられていた駕籠の引き取り先がやっと決まりました。同級生が持って帰ってくれ、保存してくれることになりました。この駕籠は、先祖が嫁入りに来た時の駕籠らしく、私の姉(77歳)の記憶でも小さいころから玄関の梁にぶら下げている記憶しかないため、恐らく100年以上前からぶら下げていたのではないかと推測されます。私の祖母が乗ってきたとしたら120年前となりますが祖母だったかどうかも不明です。

これを友人と一緒にゆるりゆるりと降ろしました。ある骨董屋は、降ろそうとすると空中分解してしまうのではと言っていたので心配しましたが、全く大丈夫でした。屋根は埃まみれでしたが、埃を取ると、黒の漆喰塗が出てきました。また中から外に飾る赤い房が4個、真新しい形(保存方法が良かったのか)で出てきました。引き戸を開けると、絵模様のある背もたれと肘掛もあり、畳風の床と共に、座っている姿を彷彿とさせるイメージの部屋でした。

駕籠に関してインターネットで調べてみましたが、ある人の話では、故渡辺美智雄さん(みんなの党の渡辺喜美の父君)にひいお祖母さんの嫁入り駕籠を見せてもらったことがあるそうで、屋根裏に上げて梁に縛りつけてあったそうです。それは、嫁いだ後、実家に帰れないように実家の家紋入りの駕籠を縛りつけてしまうのだそうです。新妻のマイカーでなくて、婚礼の時一回限りに使用する「嫁入り駕籠」と言うと書かれていました。

私が東京に転勤してから実家は空き家が続き、これからの保存もままならぬため、引き取り先を捜していました。古いものは出来るだけ残して、若い人たちに引き継ぎたいと思うのですが、市町村でも保存場所がなく、なかなか古民家同様残すのは難しくなっています。テレビでも時代劇の数が激減し、演出家も俳優も減ってしまうのではと懸念されています。残念ですが、ますます江戸、明治も遠くなります。

若者よ、運動を!

日経2012.1.29の14面コラム「今どき健康学」に「衰えは足腰から、運動習慣を」をテーマとする記事があった。厚労省が策定の21世における国民健康づくり運動「健康日本21」に掲げられている「運動習慣者の目標値:男性39%、女性35%」に対して、60歳代、70歳代は目標をクリアしているが、20歳代から50歳代が軒並み目標以下という結果が出たそうだ(2009調査結果)。特に低いのは20歳代の女性で運動習慣のある人は12%だった。

運動習慣とは「1回30分以上の運動を週2日以上実施し、これを1年間以上継続している」事を言う。江戸川大学の中村雅美教授のコラムだが、身体の衰えは足腰から来て、高齢者の歩く速さが落ちるのは体力や栄養が下がってくるためと言う。人間の場合、身体を動かさないでほっておくと足の筋肉が年間1%ずつ減るそうだ。握力の低下も運動不足の重要なサインと言う。

運動と言うと、汗をかきながらを想像しがちだが、決してそうではない。軽めの運動を継続することが大切。毎日20~30分間歩くだけでも効果があり、階段の上り、下りも良い。掃除や家事も運動になる。

いつだったか、日経夕刊のコラムに日立の川村会長が書かれていたが、毎日7000歩を目標にしておられるとか。足りないときは、社有車でも自宅より前に降ろしてもらって歩かれると言われていた。「健康日本21」では、目標値は男性9200歩、女性8300歩(2009調査実績よりそれぞれ1000歩増加させる)となっている。私も1日7000歩を目標にしているがなかなか厳しいものがある。ついついエスカレータがあれば、乗ってしまう。不足分は「ルームマーチ30分」で補っている。「健康日本21」で言う運動習慣者には合格だ。

冲中一郎