エルピーダ更生法申請!


今週28日の各新聞の朝刊トップ記事に、エルピーダが会社更生法を申請し、事実上倒産したことが報じられた。NEC,日立、三菱電機のDRAM事業を統合し、テキサスインストルメントから招いた半導体専門家坂本社長の剛腕で、サムスンを超え世界一を目指すとしたが、残念ながら夢の実現は叶わなかった。半導体事業は、ともかくマーケットが頻繁に動く中で、商品が成熟する間もなく先に向けた投資を適切に実施出来なければ生き残れない、非常に厳しい業界と聞く。今回も、リーマンショックの痛手から立ち直れない状況の中で、サムスンはパソコン向けDRAMからスマホ用DRAMにいち早く切り替え(投資し)たが、資金繰りが厳しいエルピーダは、その切り替えに後れを取ってしまった(円高もあるが)。坂本社長は社長就任後、ともかく浮き沈みの激しい中、資金繰りに日々奔走されていたとか。やはり厳しい業界だ。

それにしても、世界に誇れる「日の丸技術」があらゆるところで苦境に立っている。日経の「日曜に考える(2012.2.12)」に「日の丸技術:復活の条件―オープンな若い感性が重要に」との記事が掲載されている。日本のデジタル事業を牽引してきたソニーやパナソニックはどうしたのか?ソニーで言えば平面ブラウン管の成功が薄型テレビへの移行を遅らせ、MD(ミニディスク)の事業が音楽ネット配信を阻んだ。「iモード」を守ろうとしたNTTドコモはスマートフォンに出遅れ、その機能を引き継ごうとして通信障害を起こしたと言う。フィンランドのノキアも、「ブラックベリー」のRIMも同じく、成功体験が変化を拒んだ。アメリカでは、以前はハイテク産業の中心はボストン周辺だったが、パソコン・インターネットの出現でシリコンバレーにその座を奪われた。部品から製品、サービスまで社内で手掛ける東海岸モデルは、一度成功するとそれを守ろうとする力が働くと言う。一方で、半導体や製品、ソフトなどを異なる企業が提供する西海岸モデルは、階層ごとに競争原理が働き、変化への対応がしやすいとカリフォルニア大学の教授は分析する。日本や、欧米で苦戦する企業はたしかに東海岸モデルと言える。そのような企業は終身雇用制など人材流動性が低いし、経営者には過去に成功した人が就き、過去のモデルを壊しにくい。アップルや、グーグル、フェイスブックなどは過去の成功資産にも上司にも気を使う必要がないらしい。

「日の丸技術」復活に向けて、ソニーの次期社長平井氏(51歳)に期待が集まっている。

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