「自衛隊、好印象」最高91%!

11日の日経朝刊にひっそり掲載されていた記事のタイトルです。内閣府の調査結果で、「いい印象を持っている」と答えた人は91.7%(2009年調査より10.8%増)で1969年の調査開始以来最高になったそうだ。東日本大震災での災害派遣活動を「評価する」との回答は97.7%と高く、自衛隊の復旧・復興支援が好印象につながったと分析している。

時を同じくして、11日のメルマガ「JOG-Mag No.739」に「気は優しくて力持ち~自衛隊の人づくり」という記事が掲載されていた。親を亡くして海を見つめていた子どもの横に座って肩を抱きながら一緒に海を見ていた自衛官。この子は「俺、自衛隊に入る」と言っているそうだ。おなかをすかせている被災者に自分の食料を分け与えた自衛官。自分達用の風呂を全部被災者用に供したり、一緒に風呂に入って悩みに耳を傾けたり。

自らも過酷な状況の中で、なぜこんなにも優しくなれるのか?朝6時から、ひたすら救援・捜査活動をし、遺体が発見されると背負って収容所まで運ぶ。被災者に暖かい食事を与え、自らは乾パン、缶詰、カレーなどのレトルト食品だけ。それも、被災者に見られないように、遺体を運んだ車の中で素早く食事をとる。風呂も被災者に提供しているので、隊員たちは汗ふきタオルで済ます。こんな毎日が何カ月も続くと、通常の人は精神的にもおかしくなるだろう。

イラク支援の「ヒゲの隊長」で知られる自衛隊OB佐藤正久氏(現衆議院議員)は「強くなければ優しくなれない」として、こう説明している。「もっと過酷な訓練をし、体力と精神力を鍛えているから」、加えて集団生活の中で、落後者を出さないよう、自分を殺して他人をフォローする「自己犠牲」の精神をしっかり心に叩き込まれるから。この自己犠牲の精神から、「困っている人がいたら、理屈抜きで助ける」という優しさが出てくると言う。入隊した時点で尖ったり、やたら威張っている連中も、丸坊主にしたりして、入って3日で人が変わると言う。

国立大学の秋入学が話題になっているが、ある教授は、4月から9月まで自衛隊の訓練を受けよと主張しているそうだ。特に国民の血税での支援を受けている国立大学の学生に、このような訓練を通じて、強い体力と精神力、自己犠牲の精神とそれに支えられた優しさ、日本人としての自覚を持たせれば将来の日本は変わる。

自衛隊の訓練とはほど遠いものと思うが、我々の年代は、製造業(他業種でも)に入社すると、過酷な実習が待っていた。鉄鋼では、3カ月間に最も過酷な現場を二か所3交代で経験させられる。私は、1000度以上の熱塊が入っていた鍋を覗き込みながら整備する部署(顔の前にある防熱板が曲がるほど熱い)や、1日で作業着が油だらけになってしまうロール整備の2か所を経験した。この経験はいまだにお世話になった方々の顔と共に鮮やかに記憶に残っている。仕事の厳しさや、そして現場で働く人たちを慮る気持ちを体で覚えることが出来た。戦争を経験された方々も急速に減っている。日本の「平和ボケ」からの脱出のための施策として、検討の意味は大いにあると思う。

自分はできると思っているか?

経済学者で、「超整理法」などの本でも知られる野口悠紀雄氏(一橋大学名誉教授)の仕事術に関するお話しです(「一流たちの金言」(致知出版社)より)。

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創造的な仕事をした人がIQが高かったかと言えば、そういうわけではない。事実、ニュートンもアインシュタインもあまりIQは高くなかったようですし、学校の成績と発想力は関係がないと考えた方がいいでしょう。

あるアメリカの企業が仕事で非常にいいアイディアを出す社員と出さない社員も差を調査しました。その結果、ただ一つの差異しか見つからなかったというのです。

すなわち、いいアイディアを出すのは、自分が創造的だと思っていた社員であり、出せなかったのは自分はそういう能力がないと思いこんでいた社員だったと言うのです。

つまり、発想力はIQなどではなく、自分が出来ると思っているかどうか、という意識のベクトルの差が非常に大きいと言うのです。

このデータは、モチベーションとの関わりという点からも、実に示唆に富んでいます。

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「自分を信じる」、そのためには、他人以上に頑張り、努力すること。まさにスポーツ選手が成功する重要な条件と考えれば分かりやすいのかも知れない。

ローマ帝国時代のカエサルの言葉

「多くの人は見たいと欲する者しか見えない。欲しなければ何も見えない」

も時々使わせてもらっているが、「見たい」と思わなければ、自分の成長もなく、自分を信ずるレベルにもならないだろう。野口先生の話、混沌とした世の中を生き抜くためにも、よく噛みしめたい。

ビジネスの肝は「感動」にあり

今朝の朝日新聞別冊「Be on Saturday」の記事のタイトルである。

「泣ける」映画や本、わずか十数秒でも心揺さぶられるCM,涙なくして語れない企業の商品開発秘話――。いつのころからか、「感動」を売りにしたものがあふれていると思いませんか(記事のリード文)? 高度経済成長期には、ひたすらモノの所有を追い求め、バブル経済時には高級品の消費に熱中、崩壊後の90年代は疲れた心とカラダに「癒やし」を欲した。だが、「もはや今の消費者は機能や安らぎだけでは満足しない。商品やサービスで「どれだけ心を動かされるか」が重要だ」という。「感動した!」小泉首相(当時)が大相撲夏場所で優勝した貴乃花関(当時)に叫んだのが2001年。「これが「感動消費」の幕開けかも知れない」と三井物産の小村氏は言う。

感動消費の中身、まずは「コンテンツ系」。映画や本など感動そのものを売るビジネスだ。たしかに個人消費の傾向は「娯楽・レジャー・文化」の分野が01年から10年で食料品や衣料品などの減少傾向に対し、倍増と言えるほど伸びている。企業の広告の中身も、例えばある外資系保険会社が肺がんを克服しトリノ五輪に出たフィギュアスケーター(井上玲奈)を取り上げ、好評を得たように、マーケティングの手法も変わってきていると言う。当ブログ(http://jasipa.jp/blog-entry/6163)でも紹介した「感動プロデューサー」平野秀典さんもこのような企業側の動きに対するコンサルタントとして紹介されている。彼曰く「売上至上主義ではなく、リピーターになってもらうことを目指そう」と。「商品でもサービスでも押しつけではない感動を得られれば顧客はついてくる」。

ホンダのスポーツ型ハイブリッド車「CR-Z」。従来は最先端の技術と装備の説明にカタログの大部分を割いたが、今回は開発の道のりをドラマチックに紹介している。「現場の情熱を知って、初めて車に興味がわいた」という学生が多いらしい。このように、これからは「日本人が得意とする実直なものづくりは死守しなければならないが、それをどうアピールするかが問われ始めている」という。

今後も感動消費は広がっていくと予想する。その場合、いかに感動を共有し、広げていくことが出来るかが問われる。ブログやSNSを通じて、自分の感動を発信し、他の人と共有することで、さらに感動を増幅させる。それは人々の「絆ビジネス」ともいえるものに通じていく。

このような時代に、スーパーホテルのように「自律感動型人材」の育成は重要なキーワードになるのではないだろうか。自ら感動できる人間でないと、お客様に感動を与えるのは難しい。人材育成についても要一考だと思う。

冲中一郎