WHYから始めよ!

人を感激させて、やる気を起こさせるリーダーは、WHY(理由)→HOW(手法)→WHAT(自社の製品やサービス、自分の職務など、自分のしていること)の順に考え、行動する。この行動パターンを「ゴールデンサイクル」という。

「WHYから始めよ!」(サイモン・シネック著、栗木さつき訳、日本経済新聞社)に関するTOPPOINT(2012.4)要約版の最初の文章だ。これを応用すれば、製品開発、営業、マーケティングを飛躍的に改善することも出来ると言う。

普通の会社は

「我々はすばらしいコンピュータを作っています(WHAT)。美しいデザイン、シンプルな操作法、取り扱いも簡単(HOW)。1台いかがですか?」と。

しかし、アップル社なら

「現状に挑戦し、他社と違う考え方をする。それが私たちの信条です(WHY)。製品を美しくデザインし、操作法をシンプルにし、取り扱いを簡単にすることで、私たちは現状に挑戦しています(HOW)。その結果、素晴らしいコンピュータが誕生しました(WHAT)。1台いかがですか?」

人は、企業の製品(WHAT)を買うわけではなく、その企業が製品を生み出す理由(WHY)-目的、大義、理念を買う。実際、アップル社のiPodを開発したのは、クリエイティブ・テクノロジー社で、該社の宣伝は「5GBのMP3プレーヤー」としたのに対し、アップル社は「1000曲をポケットに」。私たちにそれが必要なWHYであることを伝えた。

著者は「WHYなきところにイノベーションなし」と言う。企業も文化であり、一連の価値観や信条に共鳴する人の集合体でもある。社員や製品を束ねているのは製品やサービスではない。企業を強くしているのは、規模でもなく、文化である。採用においても、自社の理念に心から共鳴する人材、自社のWHYに情熱を持てる人を採ることが、企業をより強くする。

新しい商品を開発した場合、その発表、あるいは営業においても、WHATの説明に終始していないだろうか?お客様視点で考えた場合、他社に比して何が自社にとって魅力的なのかが分からないと、興味を示さないだろう。それが「WHY」では!人は、自分の努力の結果(WHAT)をどうしてもアピールしたい思いに駆られるがそれでは売れない!

桜だより(錦糸町界隈)

今朝、ブログをUPした後、往復1時間の錦糸町の猿江恩賜公園まで桜の状況を見物に行った。まだ満開ではないことは承知していたが、5分咲き以上で十分楽しめた。スカイツリーの見える公園で、毎年満開のときに来ている。今年も週末の満開時、もう一度来たいと思っている。

大好きな水仙も見事でした。

亀戸の緑道公園ももうすぐ満開です。

「ほめ達」(ほめる達人検定)

今年の1月に当ブログでも紹介(http://jasipa.jp/blog-entry/7178)した「ほめる達人検定」の話が今朝の日経1面コラム「春秋」にも掲載されていた(前回も同じく日経の連載記事「C世代に駆ける」より)。

「一般的には短所と見られる以下の言葉を、長所に言い換えてみてください。気が弱い、空気が読めない、ケチ、決断力がない、わがまま、でしゃばり、気まぐれ。ある資格検定試験で実際に出された問題だと」から始まる。この資格検定が、2年前から大阪の会社C’sの西村貴好社長が始めた「ほめる達人検定」。4300名以上がすでに合格したそうだ。今では、大阪府(橋下知事時代)からの調査依頼や、全国の商工会議所、生損保会社などの企業、子育て関連団体など多数から講演依頼があるとか。前記の答えは、このコラムにはないが、西村さんの回答例として下記のような答えがあった。

  • 気が弱い→心がやさしい、思いやりがある、周りの人の気持ちがよくわかる
  • 空気が読めない→場の空気をガラッと変えられる、自分の中に強さを持っている、信念がある
  • 優柔不断→常に最善の策を考え続ける、発想がやわらかい、色々な場面に対応できる
  • 中年太り→優しさのタンクを持っている、人にも優しい(自分に厳しくないので)
  • ケチ→自分にとって何が大切かわかっている、
  • でしゃばり→世話好き、リーダーシップがある

心にもない「ほめ言葉」、つまり「お世辞」は、相手に簡単に見抜かれる。「ほめる」ことは、相手の良い点を発見し、正しく評価することから始まる。それが〝自分を見てくれている〟という信頼になる

発達脳科学の権威、医学博士の大井静雄先生は、脳の働きの解説を

「大脳辺縁系というのは感情をコントロールする場所で、ほめることが作用して回路をより活発に、効果的にまわすようになる。 ほめられて快感を受け取ると、もう一度感じるための行動を起こすように回路が出来ていく。特に3歳くらいまでに繰り返すと、脳がどんどん発達しやる気を育てることになる。 また、ほめられながら記憶したことは忘れにくい。成長してからでもほめる効果は大きい。子供は発達し、大人は成熟する。」と言う。7歳の男の子で特技は英語、小学一年生にして英検3級、スピーチもスラスラという実例があるそうだ。この家庭では、英語に触れる環境つくりもあるが、それ以上に褒めることを心がけているとのこと。

西村氏は、ほめる言葉「3S」を提案する。「すごい」「さすが」「素晴らしい」。人の長所をみつめる〝眼〟を開き、自然にほめ言葉が口をつくようでありたい。「ほめる人」が「育てる人」、この言葉も、「ほめる」に心がこもれば、真実ではないだろうか。

日経「春秋」では、NHKの討論版組で一人の参加者からでた「ポジだし」という造語も紹介されている。

非難やあら探しなど「ダメだし」が幅を利かせる議論はやめ、皆でポジティブ、つまり前向きな改善策に知恵を絞り、行動する方が大事との発想だ。新入社員たちがオフィス街を集い歩く季節が来た。右肩上がりの時代に比べ若い人たちの危機感は強い。その発想や意欲を前向きに生かすのは年長者の役目だろう。若手の「ポジ出し」に、前例がないからとダメ出しで応ずるのは論外。「ほめるとは人の価値を発見すること」。先の検定の主催者は語る。

政治の世界は救いようのない状況ではあるが、これを他山の石にして、社内、家庭で「ポジだし」を実行してみませんか。

例えば、奥さんの誕生日を忘れて帰宅した時、奥さんから

「あなたが私の誕生日を忘れるなんて大丈夫?働きすぎて疲れるんじゃない?」

とやさしく言われたら、あなたは・・・。

冲中一郎