第一線で活躍する女性

 「致知」2012.5号は、「その位に素して行う」特集だ。「君子は其の位に素して行い、其の外を願わず」(孔子の孫、子思が著した「中庸」にある言葉)からの言葉で、立派な人物は自己に与えられた環境の中で、運命を呪ったり不平不満を言ったりせず、精一杯の努力をし、それ以外のことは考えないということだ。「その位に素して行う」ことにより、成功した人々の紹介がされている。テーマ説明で紹介されているのが「神様、仏様、稲尾様」である。同期3人が西鉄ライオンズに入ったが、契約金や、入団後の扱いなど他の二人が断然上を行っていた。稲尾は打撃投手で、他の二人はコーチ付きでブルペンでピッチングやバッティング。それでも腐らず、一生懸命、心を込めて打者のことを考えて打撃投手を務め、その結果無類のコントロールを身に着けたそうだ。

 もう一人、私が注目したのが、元全日空のキャビンアテンダント(CA)で、現在ANAラーニングで研修講師を務める三枝理恵子さん。最初はANAグループを対象に、接遇力を高めることやコミュニケーション力に関する研修が主体だったが、評判を聞いて、一般企業の管理職に対してリーダーシップに関する研修も受け持つようになったそうだ。学生時代は、教師になりたくて教員資格も取ったが、いきなり教える側に立つことに違和感を覚え、いろんな人と接するCAで修業を積み、念願の講師になった。

CA時代(研修時も含めて)に、お互いにそれぞれの業務(機内アナウンスなど)に関してコメントをし合うそうだが、その際、厳しいコメントに如何になれるか、厳しいコメントをもらって、自らどう行動するかを考えることの訓練が出来た。また、接遇術の面でも、お客様を目的地に安全に、かつ定刻に届けることを第一義としながらも、さらに、お客様の気持ちを楽にし、元気になってもらうのも大事な仕事と考え、お客様へのこまめなお声がけを心掛けていたとか。常に志を持って日々の業務にあたっている。

その三枝さんの信条。

  • その1:坂村真民さんの「念ずれば花開く」。「何々したい」ではなく「何々する」と宣言して、自らの思いを強める。
  • その2:松下幸之助さんの「縁ありて花開き、恩ありて実を結ぶ」。ご縁を頂いたことにご恩を感じて恩返しをすることで豊かな人間関係を築く。
  • その3:「感動は人を変える、笑顔は人を潤す、夢は人を豊かにする(「小さな人生論2(致知出版社)」より)。涙を流したり、思いっきり笑ったりして心が動かないと人は変われない。いかに感動をお届けするかを常に意識する。

入社時の教官の言葉「人が見ていないところで何かを出来る人になれ」も念頭において、裏方(整備士など)の人に感謝する気持ちも忘れず頑張っておられる。「置かれた状況で最善を尽くす」ことの積み重ねが人生を大きく左右する。退職後の人生も、このことを忘れず励みたい。

フローズン・プラネット(NHK)始まる!

大自然スぺクタクル「フローズン・プラネット」が始まった。NHKの番組紹介を下記する。

「この番組は、圧倒的な映像で生きものと環境の関わりを描いた「プラネットアース」に続く、NHKとBBCの大型国際共同制作シリーズです。

アクセスの困難さや苛酷な条件からこれまで撮りきれなかった南極と北極、ふたつの極地の大自然を、周到な機材準備と研究機関のバックアップを得て3 年間にわたって撮影。息をのむ氷の神秘的な美しさと、桁外れのスケールでドラマを繰り広げる生きもの達の世界を珠玉の映像で捉えた大自然スペクタクルです。」

いよいよ7日(土)21時~23時に第1集、第2集が放送された。北極のツンドラ地帯では、オオカミの群れが地響きをたてて移動するバイソンの大群に20数頭のチームワークで命懸けの闘いを挑み、逃げ遅れた子供のバイソンを捕獲する。さらに驚いたのは、南極でのシャチの群れの驚異の頭脳プレーです。氷上で休むアザラシを狙い密かに数頭で接近し、大きな波を起こし、アザラシが休む氷を割ったり、最後はその波でアザラシを氷から滑り落とすのです。動物でここまでのチームワークプレーを演ずるのはシャチだけと言っていました。

再度、NHKの番組紹介より。

「ヘリコプターや砕氷船から超望遠レンズと防振装置などの特殊機材を駆使し、生きものたちに警戒されないように撮影を重ね、これまで研究者ですら見たことのない生命のドラマの数々を目撃します。

地球上で最も寒く苛酷な環境にも関わらず、一体なぜこれほど圧倒的な生きものの世界があるのでしょうか?その秘密は「氷」そのものにあります。国際研究プロジェクトで可能になった極域全体の衛星画像、新開発の小型モーションコントロール装置でとらえた氷河の大移動や海中が凍っていく不思議な様子など、最先端の映像で氷が育む極地の豊かな生態系を解き明かしていきます。

南極点に人類が到達して100 年。そして一方で、温暖化により極地の自然は急速に失われつつあります。今なお人間を拒み続ける地球最後の未踏の大自然を、6本シリーズで描き出していきます。」

北極圏では、氷河が形成され、溶けて動き、海に崩れ落ちる姿など、大迫力です。南極の氷山の見事なブルーの輝きなど、生物以外にも見るべきものは多くあります。4月は14日、21日に放送があります。ぜひご覧あれ!

桜に想う

今日も好天気のもと、満開の桜を楽しみ、愛でる人たちでどこも賑やかなことと思う。桜の花ははかなく、休日で楽しめるのはこの週末しかないと思われる。

今朝の日経「春秋」に桜に関する西行の記事がある。「春秋」は「満開の桜を見るたびに、わけもなく胸騒ぎがする。その美しさ、見事さに息をのみつつ、心のどこか秘密の場所で苦しさが息づく。」で始まっている。そして西行の句を紹介している。桜を詠んだ句が最も多いと言われ、西行の桜好きは異常なほどとか。

散るを見て 帰る心や 桜花 むかしに変はる しるしなるらむ

花を想って花から離れられずにいるのに、花のほうは今年も容赦なく去っていくという消息を詠んだ歌である。桜が好きであればあるほど、散ることを考え侘しくなる気持ちは分かる気もする。

西行で思い出すのは、父のことである。25年前に亡くなったが、葬儀参列者の皆さんへの喪主としての挨拶で、父の好きな西行の言葉を紹介した。

願はくは花の下にて春死なんその如月の望月のころ

父が亡くなったのが4月7日。まさに父の願いがかなったとの思いを伝えさせてもらった。居間の壁に、自分で描いた上記句を張り付けていた。父の人生は、奉仕の人生であり、自らの人生を家族で楽しむ雰囲気は全くなかった。村の自治会長を何十年も続け、自分で鍬を持って道路の補修をしていた姿が思い出され、そんな父の自分に関する唯一の願いが叶えられたことに感慨を覚えたことを思い出す。

西行の出家前は佐藤義清(のりきよ)と言い、NHKの大河ドラマ「平清盛」に出てくる。清盛が「義清(のりきよ)。義清、お前がおらぬようになってしもうたら、俺はどうすればいいのじゃ。誰が俺に難しきことを教えてくれる。誰が俺の手本となってくれるのじゃ。義清」と出家を決意した義清に言う場面があった。清盛が言う「真の武士」でもあり、後鳥羽院にも仕えた文武両道の若者であった。芭蕉も師と仰いだ西行であるが、芭蕉は『西行上人像讃』で、「捨てはてて 身はなきものとおもへども 雪のふる日はさぶくこそあれ」という西行の雪の歌に付けて、「花のふる日は 浮かれこそすれ」と詠んでみせた。まさに芭蕉の言うとおり、西行は花にばかりあけくれたそうだ。

今日も、いろんな思いを持って満開の桜を愛でる人で、名所は賑わっていることでしょう。

今日の錦糸町猿江恩賜公園の桜です。人出の多さにびっくりです。

冲中一郎