アジア大会:韓国選手がやってしまった!

2011年4月26日にも当ブログで紹介した脳外科医林成之医師の「脳に悪い7つの習慣」(https://jasipa.jp/okinaka/archives/29)を紹介した。林医師は、2008年北京オリンピックに出場した北島選手他水泳選手を指導し、その結果日本勢が大活躍したことで有名だ。

このブログでも何例か紹介したのと同じことが、今回のアジア大会でも生じた。

男子3000メートル・ローラースケート・リレー競技で韓国選手が勝利を確信してガッツポーズをしてフィニッシュしたが、2位の台湾選手が左足を延ばし、0.01秒差で逆転勝利したとの記事を見た。フィニッシュ後、処理を確信した韓国リレーメンバーが国旗を掲げながら会場を一周している最中に、成績発表があり、驚きと恥ずかしさでがっかりしている姿が印象的だった。金メダルを取れば韓国では兵役免除になる(オリンピックはメダル獲得で)そうで、リレーメンバーの落胆は大きいという。

前述のブログの一部を再掲しながら、今回の韓国の選手がなぜこんなことになったかを考えてみたい。

先生の言う「脳に悪い7つの習慣」とは下記を言う。

  • ①「興味がない」と物事を避ける
  • ②「嫌だ」「疲れた」とグチを言う
  • ③言われた事をコツコツやる
  • ④常に効率を考えている
  • ⑤やりたくないのに我慢して勉強する
  • ⑥スポーツや絵の興味がない
  • ⑦めったに人を褒めない

七つの内、ちょっと違和感があるのは、「③言われた事をコツコツやる」と思いますが、これは失敗を恐れて慎重にやる、失敗したらどうしようという否定的な考え方と表裏一体のものとの前提に基づいている。上司の言うまま、工夫もせずコツコツとやるのは、脳の活性化にはつながらない。「達成すること」より前に「どう達成するか」言われた以上の成果を出すことに執着することが、脳の活性化につながるそうだ。

北京オリンピックの北島選手などへのアドバイスで、ゴール近くになって「そろそろゴールだ」と思ってしまうと、脳は「もう頑張らなくていい」と判断してしまうため、血流が落ちてしまうことが証明されているそうだ。「まだゴールは遠い、もっと頑張ってブッチギリで勝つ」と思えばより力になるとの事です。バンクーバーオリンピックでスケート女子団体で最後の1週まで1秒近く離していたのに逆転されて金を逃したレースや、アテネで100メートル競争で75メートルまでブッチギリのトップだった選手が負けた事例など、その事例はスポーツでも多い。今回の事例も同じだと言えそうだ。油断と言えばそうだが、脳の機構上、そうなる(勝ったと思うことで脳が活動を止めてしまう)と言われれば、今後も事例は止まらないとも言えそうだ。

こういう視点で、サッカーやラグビー、野球などの試合を見ても、監督・コーチの指導方法がポイントになりそうだ。

日頃の仕事をする上でも、日常の生活でも、働き甲斐、生きがいをもって生きられるかは、如何に脳を活性化するかだと言われる。「最後までしっかり気持ちを高めてやり遂げる」ことで成果は上がる!

日本科学未来館の館長を知っていますか?

私の愛読誌「人間学を学ぶ月刊誌“致知”10月号」の記事「諦めなければ道は開ける」の題での日本科学未来館館長の浅川智恵子さんの記事が載っている。記事のリード文は下記。

日本科学未来館館長の浅川氏は、IBMフェローとしてアクセシビリティの研究もリードされている。14歳で失明。IBM入社後は、ウェブ上の文字情報を音声で読み上げる「ホームページリーダー」など時代の流れを大きく変えるソフトを開発してきた。“諦めなければ道は開ける”を信条として今も前進を続ける浅川氏に、失明という試練や、師との出逢いによって切り拓いた人生を振り返っていただいた。

初代館長の毛利衛さんの後任として2021年日本科学未来館2代目館長に就かれた浅川さん、その浅川さんが14歳で無念にも突然の事故(プール)で失明という悲劇を逆にチャンスとして歩まれた人生を語られている。

失明されたとき、情報のアクセシビリティ移動のアクセシビリティという二つの問題に直面され、視覚障碍者にとっての問題解決に一貫して取り組まれた経緯とその意気込みに感動を覚えた。視覚障碍者として、高校や大学への進学、あるいは就職の時も、その選択肢は少なく、一度選んだ選択肢は最後までやり遂げるしかなく、選んだ道をやり遂げることを常に心がけてこられた結果が、今の浅川さんの成果としてあらゆるところで評価されている。

1985年IBMに入社し、情報のアクセシビリティに取り組み、ウェブ画面の文字を音声で読み上げる世界初の実用化に成功し、「ホームページリーダー」により視覚障碍者が介添えなしに膨大なネット情報に触れられるようになった。ホームページリーダーは2000年までに11か国語に対応し、世界中から大きな注目を集めているそうだ。

移動のアクセシビリティに関しては、スーツケースと白杖の両方を持って歩くと両手がふさがってしまうため、Aiスーツケースの開発を進められている。カーネギーメロン大学の学生プロジェクトとして、IBMも加わりスーツケースにモーターやコンピューター、さらにはカメラやセンサーを搭載して自己位置の推定や障害物を確認するなど機能を順次増やしているそうだ。2020年以降日本でも企業や大学との共同研究も始まっている。ただ「道路交通法」を変えるという難関がある。そのため未来館館長になってからも、未来館を実験場にして社会への理解活動も展開中だそうだ。

世界の視覚障碍者を対象に、様々な研究を展開し、実現させる浅川さんには頭が下がる。浅川さんが言うには、このような力を与えてくれる出逢いがあったからこそ出来たともいわれている。その一人がカーネギーメロン大学のロボット工学のパイオニア金出教授だ。金出教授の「素人発想、玄人実行」の言葉に「私の研究活動もまさにそうだ」と共感、感動を覚えたとのこと。“一度選んだ道を最期までやり遂げる”との強い意志が人との出会いを作ってくれるとも言える。

同じ号に、WBCを優勝に導いた栗山監督と臨済宗円覚寺派横田管長との対談も掲載されている。栗山監督も監督となる際に人間学の必要性を感じ、ファンの方から送られた“致知”の本を通じて稲盛さんなどいろんな方との出逢いや、本を通じて学ぶことが多かったと言われている。栗山監督もチームをまとめるためにキャプテンを置かない、起用する人を信じるなど、その手法に感銘を受けた人も多いと思われる。まさに栗山監督も、浅川さん同様、チーム全員をその気にさせることに強い意志をもって戦われ、結果を残された。いまだに日本中にその余韻は残っている。

”人助け文化”日本は危機的状態!?

8月19日毎日新聞朝刊“余録”を読んで「日本の助け合い文化レベルの低さ」に驚いた。インターネット記事を原文のまま下記に紹介する。

「人助け指数」と呼ばれる国際調査がある。「見知らぬ人や、助けを必要としている人を助けたか」「寄付をしたか」「ボランティア活動をしたか」という問いに対する各国の人々の答えを英国の慈善団体CAFが集計した▲最新2021年調査の首位はインドネシア。「ゴトン・ロヨン」と呼ばれる共同体内での相互扶助システムが健在で、コロナ禍ではそれが発揮されたと報告書は分析する。日本は119カ国・地域中118位だった▲日本のムラ社会にも相互扶助の仕組みはあった。おきてに背けば葬式と火事の時以外は助けない「村八分」となった。経済発展とともに都市化が進み、そうした制裁の風習も廃れたが、人助けの文化まで失われたのか▲とりわけ冷淡とか、けちだとかいうわけではないだろう。国内で災害が起きれば多くのボランティアが駆けつけ、寄付金や応援物資が集まる。ただ、遠く離れた見知らぬ国の危機には疎い、と言われれば耳が痛い▲きょうは世界人道デーバグダッドで国連事務所が爆撃され、人道支援の職員ら22人が死亡した03年の事件をきっかけに創設された。人道危機に直面する人、それを支援する人の双方に思いを寄せる日だ。国連の特集サイトには「助けるべき人口は20年前の10倍になった」とある▲戦下の国はもちろん、政変や気候変動も人道危機につながる。その国の政府に頼れないからこそ、世界中の見知らぬ人の支援が欠かせない。苦境に思いをはせ、行動に移す最初の日にしたい。

記事にあるように、今回の台風6号、7号などの被害地に“ボランティアが駆け付け、寄付金や応援物資が集まる”のを見て、日本はやはり世界に誇れる共助国だと思っていた。が、裏バイトで高齢者をだます事件など、毎日嘆かわしい事件が相次いでいる。電車内の優先席の利用に関する問題もたびたび見聞きする。世界で最低の評価とは信じられない面もあるが、素直にこの問題をとらえ、世界に誇れる国になるためにみんなが考え行動に移す時だとも言える。日本を世界に誇れる国とするために。私自身も今後の行動を真剣に考えたい。

冲中一郎