ポルトガル旅行~序章~

2月末から3月にかけて、6泊8日のポルトガル旅行に行ってきた。ポルトガルは、ヨーロッパの中でも日本にとって、最も長い友好の歴史を持つ国の一つだ。戦国時代の1541年、ポルトガル人を乗せた中国船が種子島に漂着し、鉄砲(火縄銃)の技術を日本に伝え、その5年後にはフランシスコ・ザビエルが鹿児島に上陸しキリスト教を伝えたのが始まりだ。その頃のポルトガルは1498年ヴァスコ・ダ・ガマがインド航路を発見し、1500年にはブラジルも発見した、まさに大航海時代、ポルトガルが世界をスペインと2分する大繁栄時代だった。1582年には天正遣欧少年使節団(14~15歳の4名)が2年半かけてリスボンに到着、スペイン、イタリアなどを訪問し、1590年に帰国した。ヨーロッパに日本の存在をアピールし、彼らの持ち帰ったグーテンベルグ印刷機によって書物の活版印刷が日本で始まった。しかし、南蛮貿易で勢力を増した西国大名を警戒した江戸幕府がキリスト教禁止令や鎖国令を発し、ポルトガルとの交易が途絶えた時期もあったが、室町、安土桃山時代から江戸時代に至る密度の高い交易に寄り、ポルトガル文化が日本に浸透し、ポルトガル由来の日本語がある。ボタン、パン、タバコ、テンプラ、コンペイトウなど数多い。

羽田からフランクフルト経由でポルトガルの首都リスボンへ。乗り換え時間含めて17時間強かかり、ホテル到着は24時(現地時間)近くとなる、ヨーロッパでも最も遠い国だ。

ポルトガルの歴史は紀元前2世紀ローマ帝国の支配(その遺跡がエヴォラにある)を受け、

6世紀には西ゴート王国の支配下となり(今回は訪れなかったがリスボンのサン・ジョルジュ城は西ゴート族が築いたもの)、711年には、イスラム教徒ムーア人がアフリカからイベリア半島に侵入、722年からスペイン、ポルトガルでのレコンキスタ(イスラム教徒をイベリア半島から追い出すキリスト教徒の国土回復運動)の結果、1143年にポルトガル王国が誕生した(首都コインブラ)。以降キリスト教が支配する国となり、大航海時代を迎える。

今回ポルトガルを回ってみて、一部大航海時代前の面影も残るが、やはり大航海時代を主導したエンリケ航海王子(1394-1460)、インド航路を発見したヴァスコ・ダ・ガマ(1460~1524)、ジョアン2世の急逝の跡王位を継ぎ、全盛期を迎えた“幸運王”マヌエル1世(1469-1521)の3人が、ポルトガルの各地の建造物に足跡や名前を残している。典型的なモニュメントがリスボンのヴァスコ・ダ・ガマが出港した港に建設された“発見のモニュメント”だ。マヌエル1世の名に由来した、ゴシック様式をベースとし、海草やロープ、鎖、貝殻、天球儀などの装飾が特徴のマヌエル様式の建築物も数多くある、典型はトマールの”キリスト教修道院“で、リスボンの”ジェロニモス修道院“もそうだ。

ポルトガルのどの都市でも、建造物には特徴的な飾りが施されている。”アズレージョ“というタイルの青い飾りだ。15世紀頃ムーア人がスペイン経由でポルトガルに持ち込んだ藝術らしい。マヌエル1世がシントラの王宮に取り入れ、以降ポルトガル全土に普及し、ポルトのサン・ベント駅では2万枚のアズレージョで歴史が描かれている(1900年)。個人の家の壁にも使われている。


次の稿から順次訪問した各地を紹介する。キリスト教の三大聖地のひとつである、スペインのサンチャゴ・デ・コンポステーラも訪問した。

小学校卒業60周年記念同窓会開催(10日)

10日「小学校卒業60周年記念同窓会」に参加するため姫路に行ってきた。たしかに72歳と言うことは12歳で小学校を卒業して確かに60年たっていることを再認識できた。鬼籍に入った人を除いて約90名の半分の45名もの参加者(男性29名、女性16名)がいたのには驚いた。
小学校入学時は飾磨郡糸引村だったことから、名前も〝糸引小学校“で5つの村から通う田舎の小さな小学校だ(今は珍しく広い田畑に家が建ち、驚くほど生徒が増えているそうだ)。3年生の時姫路市と合併し、同時に給食が始まったような記憶もある。私が姫路にいるとき2~3回同窓会をやった記憶があるが、恐らく30数年ぶりの再会だ。以前にも当ブログで紹介した著名な書道家黒田賢一君(https://jasipa.jp/okinaka/archives/345)も同窓だが、当日は書道関係の総会があり重職にあるため残念ながら参加できなかったそうだ。

ともかく涙が出るほどの懐かしさで一杯だった。田んぼの中を駆け巡り、お互いの家を行き来しながら遊んだ6年間の、中学、高校時代とまた違う、忘れられない、近しくより深い仲間意識がよみがえり、これだけの年月を経ても、一目見ただけで分かる人、少し見れば分かる人がほとんどだった。男女問わず、参加者ほとんどの人のそばに行って話をしたが、昔も含めて話が弾み、予定時間の2時間半が大幅に超え、3時間半近くがたってやっと全員写真にこぎつける有様だった。

地域には“灘の喧嘩祭り”と言う勇壮な秋祭りがあり、1年が正月よりこの祭り中心に回っていると言っても過言ではないが、この祭りの責任者となったり、老人会のお世話をしたり、村の有力者として活躍している人も多い。今でも建設業など現業で活躍中の人もいる。私も含めて、村外に出ている人もいるが、今でも出身村に対する愛着心は強い。その中で、仏画の世界でカルチャーセンターの講師なども務めている女性がいた。インターネットでは

阿藤無華(仏画講師)
端正な伝統仏画の技法の上に、新しい試みを重ねあわせ、独特の世界を現出する。よみうり文化センターなどで仏画を教える。仏尚美術会会員。アートクリエイティブ主宰。

と紹介されている。大阪の産経カルチャーセンターでも講師をしている。彼女の絵はインターネットでも紹介されているが、彼女からもらった仏画をUPしておく。

他にも姫路で歯科医院を開き、姫路歯科医師会長も務め、昨年秋の叙勲で旭日章をもらった友人もいる(今回不参加)。
同窓生が頑張っている姿を見ると、ほんとに嬉しく、誇りに思う。

脱せるか”やる気後進国”(日経)

こんな驚くべきタイトルが2月21日の日経朝刊1面の連載中「働き方改革進化論」の記事にあった。これまでも当ブログで、日本人のエンゲージメント(仕事への熱意度)の低さの問題を指摘してきた。当記事においても米国ギャラップ社の調査で、「熱意溢れる社員」の割合は米国の32%に対し日本は6%で、調査した139か国中132位となった。しかも日本は「周囲に不満をまき散らしている無気力な社員」の割合が24%、「やる気のない社員」が70%に達したとある。「バブル崩壊以降の経済低迷で、長く働いても賃金が上昇するとは限らず志気は上がりづらい。組織の生産性を高めるには、社員のモチベーションを高めることが急務」と指摘し、いくつかの企業での取り組みを紹介している。
コニカミノルタの開発拠点(八王子)。インド工科大学卒で昨年入社新人のプログラム速度には舌を巻く。松崎前社長が「異質性を取り入れないと変化に対応できない」と外国人を積極的に採用、日本人エンジニアに刺激を与えているそうだ、
パンソニックでは、希望者が別の部署で仕事を兼務する「社内副業」や、スタートアップ企業などで最長1年働ける「社外留職」制度を実施、「成長したい社員の後押しをする」。昨年12月末時点で20~50代の社員40人超が別世界での仕事に挑んでいるそうだ。
リクルートキャリアでは、データを活用して社員のやる気を測り始めている。「活動できていない社員を見つけ、活躍の場を提供する」との思いで、過去7年間の効果や残業時間、移動回数など46種類のデータを、織り込んだアルゴリズムを使って、1年後のやる気を4段階で測る。正確に測れるかどうかは分からないが、現状に甘んじていては活力を失う。起業家を輩出し、働く意欲が旺盛な人が多いとみられているリクルートでも模索が続く。

私もある時、大連理工大学の学生採用で現地面接に行ったことがある。人事が500名くらいの応募者から15名に絞ったあと1名の採用枠を選ぶ面接だった。受験者とその後懇談会を行ったが、その席で男女問わず、落選した学生から、なぜ私が選ばれなかったのか、詰め寄られたことを強烈に覚えている。格差社会における悲壮感がそうさせていると思っていたが、それだけではなさそうだ。自分を高めるために日本に行きたいとの思いを強く感じた。今、米中で知的財産の問題で交渉が続いている。意図的に盗むことは論外だが、どん欲な技術吸収力は如何とも致し方がない面もあると思われるが、このままでは日本は負けると危機感を覚えたことを思い出す。
少子高齢化問題も大きな課題だが、今いる、あるいは生まれてきた人材の質向上のための国挙げての施策も必要ではなかろうか?伊藤忠商事の元社長丹羽宇一郎氏も「仕事と心の流儀」(講談社現代新書、2019,1刊)で、“若いうちに外国に行け”と言っている。サッカーでも海外修行に出るようになってから日本は強くなった。国内でも期限付き移籍と言う制度を利用して成長させている。国内や海外の企業間での人材交流でお互いに刺激を受けながら成長するような「社員の挑戦心」を呼び覚ます風土つくりが求められている。JASIPAのような組織で相互人事交流制度を設けることも意味あることかもしれない。
<参考ブログ>
・「日本の人材競争力の世界からの評価は?(22位)」(https://jasipa.jp/okinaka/archives/8944)
・アメとムチのマネージメントでは21世紀を乗り越えられない(https://jasipa.jp/okinaka/archives/8903)
・社員を躍動させるホラクラシー組織とは(https://jasipa.jp/okinaka/archives/8774)
・生産性革命(続き)(https://jasipa.jp/okinaka/archives/7820)
・「安倍首相、生産性革命の本丸はここ」(https://jasipa.jp/okinaka/archives/7809)

冲中一郎