オルフェイス室内交響楽団

指揮者のいない楽団、それもかの有名なニューヨークのカーネギーホール専属楽団「オルフェイウス室内管弦楽団」。「指揮者がいないのになぜこんなに見事に演奏できるのか?」ハーバード大学などで「マルチリーダーマネージメント」の研究対象にもなっている。「若くて肩書がなくても、テーマによって最適な人をリーダーにすればよい」そのための条件とは・・・。

10年前(?)に「オルフェウスプロセス」という本が出版されました。指揮者のいない楽団、それもかの有名なニューヨークのカーネギーホールの専属楽団である、オルフェウス室内管弦楽団(30人程度で演奏)が、「指揮者をおかず、なぜ演奏できるのか?」ハーバードビジネススクール、一橋大学などの格好の教材にもなり、マルチリーダーマネージメントというキーワードが作り出されました。指揮者を頂点としたヒエラルキーを常識とするオーケストラにおいて、指揮者をおかず必要な時に必要とする人たちがリーダーシップを発揮する方法をとっているのです。成功しても、失敗してもすべて指揮者がクローズアップされる世界と違って、例えば演奏曲によって得意な人がリーダーシップをとる、そのリーダーは楽団員の総意で決める、リハーサルにおいては、楽団員がよかれと思うことをぶつけながら、最後はコンセンサスを形成しつつ本番に臨む。その成果は全員の成果として評価される。

私は、このマネージメントスタイルは、やりがい、働き甲斐の極致と思って勉強したのですが、8つの原則にまとめられている条件を満たすことが成功の要件となることから、まだ議論が続いているのではないかと思います。すなわち、権限、責任、役割の明確化に加えて平等なチームワーク、コンセンサスを得るための話の聞き方、話しかた、そして職務へのひたむきな献身姿勢が、構成員全員に求められるのです。一人でもこの原則を崩す人がいると成立は難しくなります。

以前、どこかの会社で、タスクフォース検討会のリーダーは肩書とは関係なく、その道のベテラン(例えば物流改善タスクでは運転手のプロ)を充当するような運営をしているとの話を聞いたことがありますが、まさにこのマルチリーダーマネージメントといえます。皆が目的を同じくして、総力を挙げてその目的達成に向けて努力する、そして成功すれば皆でその成功を享受できる、そんな世界を夢見ませんか?

私は本田宗一郎さんのこの言葉が大好きです。

「企業と言う船にさ、宝である人間を乗せてさ、舵をとるもの、櫓を漕ぐもの、順風満帆大海原を和気あいあいと、一つ目的に向かう、こんな愉快な航海はないと思うよ」

究極のエコ!ネイチャーテクノロジー

関東地区では今夏の節電対策が急務となっています。また震災前からCO2削減が世界的に叫ばれ、温暖化防止策が世界的にも急務になっています。元東大総長の小宮山宏氏(現MRI理事長)は自著「低炭素社会(幻冬舎新書)」で、エネルギー消費量の55%を占める「日々のくらし(家庭、オフィス、旅客・貨物・輸送)」にも改善の余地は多くあり、実際に「小宮山エコハウス」を建て、年間30万円の電気・ガス代を5万円に減らしたとの話が掲載されています。

ここで紹介するのは、東北大学の石田秀輝教授の推進する「ネイチャーテクノロジー」です。まさに動植物の知恵を活かせば究極のエコになるとの事です。

車、電気製品のエコ追及は進めども、我々の生活から出るCO2は増え続け、そして2030年にはこのまま行くと資源エネルギーは枯渇すると言われている環境問題に対する対策として、心豊かに生活することを担保しながら対策できる科学があると言うのです。

これがネイチャー・テクノロジーで、東北大学の石田秀輝先生が研究し、一部実用化されている技術なのです。昼は50度、夜は氷点下になるサバンナ地帯のシロアリの巣の中の温度はいつも30度に保たれているそうです。なぜ?を追及し、その土の壁を実用化し、先生の別荘沖永良部島で無電源エアコンを実現させているそうです(床、壁をシロアリの巣のように作り上げた)。カタツムリの殻はなぜ汚れないのか(家の外壁に使用すれば少々の汚れは雨で流される)?アワビの貝は花瓶と同じセラミックなのに落としても割れないのはなぜ?トンボはなぜ風がなくともあんなにゆっくり飛べる(羽の構造を分析すれば微風でも風が起こせ風力発電を各家庭でできる)?自然界には、人間の及びもつかない神秘的な事実が存在する。それを解き明かしながら、資源エネルギーを消費せずに快適な生活が送れる世界を追及する。それがネイチャー・テクノロジーなのです。興味わきませんか?

http://www.nature-sugoi.net/)にその一端が紹介されています。NHK「ダーウィンが来た」でも毎回驚きますが、自然界の動植物も生き延びるために必死であり、その必死さ故に、生き延びるための工夫が身に付いていっている姿を見ると感動と共にわが身を振り返る材料にもなっています。進化した動植物しか生き残っていない!ネイチャー・テクノロジーは面白い!

脳に悪い七つの習慣(創造力、思考力を磨くために)

前掲で「北京オリンピック」関連の話をしましたが、今回はやはり2008年の北京オリンピックの水泳競技に関係する話です。久しぶりに北島選手など水泳陣が素晴らしい成績を残しました。その水泳選手を指導された脳神経外科医林成之博士の「脳に悪い7つの習慣(幻冬舎)」の紹介です。(昨年の社内向け「冲中ブログより)

脳に悪い七つの習慣とは、この習慣をひとつづつ止めることによって、”ここぞ”と言う時に最高のパフォーマンスを発揮し、独創的な思考を促すことになる、集中力を高め、記憶力をもよくなるそうです。七つの習慣とは

  • ①「興味がない」と物事を避ける  
  • ②「嫌だ」「疲れた」とグチを言う  
  • ③言われた事をコツコツやる 
  • ④常に効率を考えている  
  • ⑤やりたくないのに我慢して勉強する  
  • ⑥スポーツや絵の興味がない 
  • ⑦めったに人を褒めない

です。日本大学救命・救急センターで誰もがダメと思っている瞳孔が開いてしまった患者の40%の人を救ったという実績をお持ちの方で、北京オリンピックの競泳日本代表に勝つための脳の講義を行い、結果に大きく貢献したことで有名な方です。救命チーム全員に、上記7つの習慣を日々なくするよう納得させる努力をした結果、世間でもあっと驚く成果をあげることになったとの事です。

七つの内、ちょっと違和感があるのは、「③言われた事をコツコツやる」と思いますが、これは失敗を恐れて慎重にやる、失敗したらどうしようという否定的な考え方と表裏一体のものとの前提に基づいています。

脳神経細胞には「生きたい」「知りたい」「仲間になりたい」の3つの本能があり、上記七つの習慣はこの本能に逆らう行動なのです。「もっと、もっと」がいいので、ある仕事で「だいたい出来た」と思ってしまうと思考をとめてしまうことになるらしい。

北京オリンピックの北島選手などへのアドバイスで、ゴール近くになって「そろそろゴールだ」と思ってしまうと、脳は「もう頑張らなくていい」と判断してしまうため、血流が落ちてしまうことが証明されているそうです。「まだゴールは遠い、もっと頑張ってブッチギリで勝つ」と思えばより力になるとの事です。バンクーバーオリンピックでスケート女子団体で最後の1週まで1秒近く離していたのに逆転されて金を逃したレースがありましたが、選手も勝ったと思ってしまったからよもやの逆転になってしまったとも思えます。アテネで100メートル競争で75メートルまでブッチギリのトップだった選手が負けた事例も、選手の談話で「勝ったと思ったら、横を走る選手の足が見えまずいと思った」とありました。

④もちょっと分かりにくいと思いますが、これは思考力を養うためには、くりかえし考えることが必要で、効率最優先ではダメとの事です(結果的には思考力がつくことにより、正しい決断を促進することになり、決断の迅速さとは相反しはしない)。日記とかブログも思考力を養うためにはいいそうです。実際、当ブログを書くために、本を何度も確認しながら、何を書くのがいいか整理しながら書いていますが、これは脳にもいいのでしょうね。

若いお母さんに一言。脳の構造が決まる4歳までは「ダメよ」「やめなさい」のような否定語は使わす、やりたいきことをやらせた方がいいとの事です。分別を教えるのは4歳以降からで十分だそうです。

冲中一郎