”SELL YOURSELF”

‘自分を売り込め’という言葉を経営のキーワードとして、会社のカレンダーや、社員が胸につけるバッジ、お客様が持ち帰るエコバッグなどにプリントして徹底している会社がある。当ブログでも、しばしば営業マンの心得として、「営業マンは商品を売る以前に自分を売れ(自分自身がお客様からの信頼を得ること)」と、先人の言葉として紹介してきた(http://blog.jolls.jp/jasipa/nsd/date/2011/12/12)言葉である。

北九州市に本社を置く、創業44年のJBCCグループの「ソルネット」という会社である(もとは新日鉄グループの一員八幡計算株式会社。2007年にJBCCグループとなる)。先週、山本陽次社長と食事を共にした際、話が弾み、「セル ユアセルフ」とプリントしたバッジを頂いた。山本社長は、私が新日鉄広畑時代から、IBMの新日鉄担当営業としてお付き合いいただいていた方である。新日鉄広畑のメインフレームは日立で、IBMはあまり商売にならないお客であったが、足しげく通ってくれ、姫路の地で「エニコム・フォーラム(エニコムは新日鉄情報通信システムの略称)」を立ち上げ、江崎玲於奈氏など有名人を講演に招くお手伝いなど精力的に動いてくれた。あまり商売につながらず、申し訳ない気持ちだったが、それでも精一杯尽くしてくれた山本氏とは、私が東京に来てからも時々お会いしていた。

その山本氏が、IBMでの経験に基づき、営業だけではなく技術者含めて社員全員に、何度も何度も「SELL YOURSELF」を繰り返し説いておられると言う。まさに私の見た山本氏の姿そのものである。会社のロゴにしたいとの思いも吐露されているほど、心がこもったものであり、きっと社員の意識改革も進み、自らを磨く「学習する組織」に変革されていくことと思う。「SELL YOURSELF」の考え方は、各社もやっている(と思われる)顧客満足度向上活動の基本ともいえるのではなかろうか。最初の写真がバッジ、あと2枚はカレンダーの一部。

凡事徹底

3月13日日経朝刊掲載中の「私の履歴書(大和ハウス工業樋口会長)」で、「凡事徹底」の言葉に惹かれた。業績を立て直した山口支店長から、赤字の福岡支店を立て直すために福岡支店長に異動した際の話だ。

沈滞ムードの事務所を歩き回った。電話の対応が気にくわない。ベルが何度も鳴ってから電話をとり、たらい回しする。明朗活発な女性社員3人を選び、社外からの電話を集中的に受けるように改めた。ベルが鳴ると一度でとり、「はい、大和ハウス工業福岡支店でございます」と答え、すぐ担当者につなぐ。不在なら代理の者が必ず要件を聞き、「私でよろしければ用件を承ります」と言う。これだけで「気持ちがいい」「元気が出る」と社外の評判がぐっと上がった。私はこれを「凡事徹底」と呼ぶ。こうした普段の積み重ねが信用につながる。

「支店がよくなるも悪くなるも、長の一念で決まる」と、スパルタ的運営を常とした樋口会長がこんなこともやっていたのだ。今後、IT業界はお客様に対するサービス競争は激化必至である。この「凡事徹底」の発想は、既存のお客様からの信頼を失わないためにも、新しいお客様からの信頼を得るためにも、凡事といえども重要だとの戒めと受け止めたい。

ヤマダ電機で、「一人のお客様を失うことは10人のお客様を失うことに等しい」との張り紙を見た。SNSなどのネットワークの進展で、一人のお客様の不評を買うことは、10人どころではない数のお客様を失うことにもなりかねない。「凡事徹底」の視点で、周辺を見直してみてはいかが・・・。

輝かせて輝く人

何度か紹介している感動プロデューサー平野秀典氏の著作本「1%の自分革命」(プレジデント社)の中の1節です。

自分だけが輝くと、
まわりに影が出来る。

まわりの人を輝かせて
その明かりで自分が輝けば
まわりに影はできない。

自分の存在で
まわりの人を輝かせるのが
本物の一流

アクションポエム風に、人や組織の未来を輝かせるための小さな気づきを散りばめた本です。その中で最も私の好きなポエムです。考えさせられるポエムです。

冲中一郎