「Yes,and・・・」で創造力発揮!

今朝の日経1面「春秋」に、下記のような記事が掲載されている。

自分と異なる意見の持ち主を前にしたとき、どう応じるか。正面から全否定で返す「No」。うなずくふりで欠点を突く「Yes,but…」。そのいずれとも違う「Yes,and…」という発想を、街の再生を手がける山崎亮さんの近著「まちの幸福論」で知った。

自治体などの依頼で街に入り、価値観の違う人たちと対話を重ね、ハコ物の建設に頼らずコミュニティー活動や地場ビジネスを盛り上げるのが山崎さんの仕事。反対意見もまず肯定し、思いをくみ取り、より良いアイデアづくりにつなげ活動に巻き込む。「自分が否定されたと思った人は、相手を否定する」からだという。

この考えは企業にも応用が利く。コピーライター、糸井重里さんの事務所では手帳やタオルなどの雑貨を開発している。会議では他者の提案を否定するのは禁止。不満ならもっといい案を出す決まりだ。「価値を増やすのが僕らの仕事。否定は価値を増やさない」と糸井さん。この手法でヒット商品を次々と世に送り出す。

「あなたは間違っている」。議会や集会、テレビの論戦などで目にする、勇ましげな非難の応酬。これに対し、まだ30代の山崎さんを含めて、若い世代の活動や伸びるベンチャー企業で「Yes,and…」式のやり方が目立つ。昔ながらの非難合戦と、今どきの提案競争。社会や生活の価値を増やすのは、どちらだろう。


そう言えば、いつ頃か忘れたが、NHKテレビだったと思うが、全国いろんな町からの要請で、街づくりコンサルタントとして活躍されている山崎さんの雄姿を思い出した。街の人たちの中に入り込んで、みんなの意見をくみ取りながら、街づくり提案を行い、実行していくプロセスに感銘を受けた事を思い出した。実績が、いろんな町からの要請につながっているそうだ。

私も、部下・同僚との受け答えについて、どうせ断るにしても「No,but・・・」よりも「Yes,but・・・」と言うべしと指導してきたが、「Yes,and・・・」とまでは気付かなかった。そういえば私の愛読する雑誌「致知」の出版社で、社内活性化を目的とした「木鶏会」を推奨し、全国の企業でかなり普及しつつあるが、その木鶏会の進め方の基本は「美点凝視」(http://blog.jolls.jp/jasipa/nsd/date/2011/10/22)。「致知」の印象的な記事に関する感想文を参加者が発表しあう場であるが、他人の意見の批判は禁止し、いい点(美点)を見つけて意見を言うことに徹する進め方だ。何度かこのやりかたをしていると、参加者はどんどん積極的な意見を交わしあうことになると言う。

政治家の醜い非難応酬合戦による「決められない政治」が、「No」「No」では何も生まれないことを実証している。これをいい事例として、我々は、「Yes,and・・・」で、創造的な成果、そして社内活性化を目指そうではありませんか。

「健康寿命」って???

歳をとると、こんな記事がすぐ目につく。昨日(14日)の日経夕刊、京都府立医大の吉川学長の「抗加齢を学ぶ」のコラムで、タイトルが「健康寿命、行政支援も大切」。その記事の一部を紹介する。

一生の家で健康に支障がなく自立した日常生活を送れる期間を「健康寿命」という。2010年の日本人の健康寿命の平均は男性が70.42歳、女性が73.62歳。平均寿命とは男性で約9年、女性で約12年の差がある。この支障を抱えて暮らす期間を出来るだけ短くすることが必要だ。寝たきりにならず、バリバリと活動できる期間を延ばすには、健診などで病気を早期に見つけて治療する事が大切だ。また、生活習慣を改め、身体を鍛えておくようにしよう。そうすれば、年をとっても健康に暮らせる。

早速インターネットで調べたら、「健康寿命」という概念は2000年にWHO(世界保健機関)が打ち出し、日本では厚労省が6月に初めて上記データを算出し公表した、とある。厚労省は、13~22年度の国民の健康づくり計画に「健康寿命を延ばす」とする目標を盛り込み、平均寿命の伸び率より、健康寿命の伸び率が上回ることを目指す(6月中に計画を発表)。

厚労省の発表による都道府県別のデータによると、男性トップは愛知県(71.74・女性も3位で74.93)、女性は静岡県(75.32・男性も2位で71.68)、最下位は男性が青森(68.95)、女性は滋賀(72.37)。東京は、男性33位(69.99)、女性は41位(72.88)。

65歳の私にとっては、まさに現実的な数字であり、平均的には健康でおられるのは後数年!?PPK(ぴんぴんころり)を理想とするには、精神と体の健全な維持がもっとも大切という。今日もジムに行ってきた。トレーナーから「随分動きがよくなってきた」と褒められたが、この調子で体の方は鍛え続けたい。JASIPAを精一杯お手伝いすることによって、精神(気持ち)も維持していきたい。

小が大を超える!(JASIPA会員企業に期待)

6月5日の当ブログで、「クラウド時代は中小ベンダーの出番」という意味の記事を掲載すると同時に、日経記事の「日本IBMに独から来たリストラ社長」で日本IBMの厳しさを紹介した(http://jasipa.jp/blog-entry/7602)。

最近出版された「小が大を超えるマーケティングの法則(岩崎邦彦著、日本経済新聞社)」では、高度成長時代は「大きいことはいいことだ」だったが、今は「規模の大きさは強さを意味しない」と言う。ITベンダーに特化している話ではなく、衣料・食品販売企業と考えれば良くわかるが、「個性」、「専門性」、「こだわり」などが小さな企業の強みになるとの事。そして、小さな企業は、次の3つの力を高める必要性を説く。

  • 1)本物力:シンボルとなる商品を軸にして、個性やこだわり、専門性を発信し、本物志向に応える。
  • 2)きずな力:顧客との関係を深化させ、顧客一人一人との「きずな」を強化していく。それにはまず、現在の顧客の満足度を高める必要がある。
  • 3)コミュニケーション力:顧客に対するきめ細かなアドバイスや提案を行うなど、顧客との「人的コミュニケーション」を強化する。

JASIPAは、比較的小さなITベンダーの集まりであるが、今こそ「好機到来」と考え打って出るチャンスかも知れない。経済が成熟化し、需要も多様化、人口減少、環境問題など先が読めない時代が今後も続くと思われる。そのような時代に、社長の方針が瞬時に社内に徹底でき、小回りの利く「中小ベンダーの強みを強みとする経営」が、社会からも求められているのではないだろうか。上記「きずな力」や「コミュニケーション力」など、社長が先頭に立って規範を示し、それを社員が見て自らの行動に反映すると言う形も、大きなベンダーでは不可能である(顧客数、プロジェクト数を考えても不可能)。小さいが故に、社長一人の姿勢・行動が、大きな強みになり、社員をモチベートし、顧客との一体感を醸成することにつながりやすい。逆に言えば、社長次第で会社の帰趨が決まるとも言える(大企業では、多少社長の出来が悪くても優秀な人材がカバーできる)。

この4月から若手経営者との経営に関する懇談会を始めている(第1回:http://blog.jolls.jp/jasipa/nsd/date/2012/4/27、第2回:http://blog.jolls.jp/jasipa/nsd/date/2012/5/25)。7月から正式に「JASIPA経営サロン」と称して、会員企業の方がたから参加希望者を募ることにしている(原則第4木曜日夜)。経営者同志の経営に関するフランクな意見交換を通じて、中小ベンダーの強みを未来に向けて強化してほしい。JASIPA会員の積極的参加を期待している。

冲中一郎