新日鉄先輩が経産省より情報化促進貢献賞受賞!

経済産業省では、経済社会の情報化の促進に貢献したと認められる個人・企業等(企業、団体、教育機関等)を表彰する「情報化促進貢献個人等表彰」を行っている。毎年、情報化推進月間の始まる10月1日に経済産業大臣から表彰される。

今年、個人部門で3人の方が表彰を受けたが、その中に新日鉄時代からお世話になっている方が選ばれた。細川泰秀氏(一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会顧問)だ。他には、浜口友一氏(一般社団法人JISA会長、NTTデータ相談役)、和田成史氏(一般社団法人CSAJ会長、オービックビジネスコンサルタント代表取締役社長)が表彰された。

細川氏の表彰理由は下記となっている。

情報システムのユーザーとベンダー両方を経験した知見を生かし、永年にわたり一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会の役員として様々な調査研究事業を発掘・実践し、産業界のIT経営の普及に貢献した。また、調査研究等を通じて我が国情報産業の課題を整理追求し、その知見を産官学の多方面に提供することで我が国の情報化の促進に貢献した。

新日鉄時代もシステムに対して情熱の塊だったが、新日鉄ソリューションズを退職された後JUASの専務理事に就任されてから、IT業界、ユーザー企業を発展させるとの使命感に燃えた八面六臂のご活躍の様子は知る人ぞ知るである。JUASに移られたのが平成13年だから10年近くなるが、その間、ユーザーとシステムベンダーの橋渡し役を果たし、ユーザーのためのシステム開発方法論や、品質標準などの作成、さらに教育研修の充実、本の出版、メディア(日経BP雑誌など)への記事投稿など、JUASの存在価値を大幅に高めると共に日本の情報化促進、IT業界の活性化にも大きく寄与された。今はJUAS顧問となられ、70歳半ばながら、いまなお意気盛んで、「日本のIT業界を立ち直らせ、ユーザーを元気にする」使命感を持って、精力的に活動されている。

細川さんとは、35年前ブラジルのウジミナスへのシステム技術協力でご一緒させていただき(私は入社6~7年目の若造)、薫陶を受けて以来、お世話になっている。とても足元にも及ばない方であるが、このような方が身近にいてくださることは、私の人生にとっては大きなプラスになっている。「頑張らねば」とのエネルギーを常に頂いている。

今日、受賞お祝会が、昔一緒に仕事をされた方々(私にとっては大先輩)が参加されて開かれる。その席に、細川さんのお口添えで私も呼んで頂いた。細川さんから「もっとやることあるだろ!」と発破をかけられることを恐れながら、心では元気を頂きたいと思っている。

襲撃された湖南省長沙市の「平和堂」

今朝の朝日新聞6面に大きく「襲撃 中国人社員も涙~反日デモ被害の平和堂」という記事が載っている。中国進出18年目の災難であるが、今年の2月の当ブログで、中国進出成功事例(日経記事)として、この平和堂を紹介した(http://jasipa.jp/blog-entry/7295)。安売り競争に巻き込まれるのではなく、付加価値UPで成功した事例の一つとして下記のような記事を書いた。

2月19日日経の「日曜に考える」の記事から。中国で最も安定的な成長軌道に乗った小売チェーンはどこか?イオンでも、セブン&アイでもなく滋賀県彦根市の平和堂だ。1990年代初めに滋賀県と友好関係にあった湖南省から同省長沙市への出店要請があった。社内では猛反対を受けたが当時の会長は「内陸部もいずれ成長する」として決断。しかも、スーパーしか経験がないのに、「日本企業なのでブランド品など品質の高い商品を求めるニーズが高かった」ため、ローレックス、シャネルなどを扱う百貨店形式での出店を決断。既存3店に加え、中国各地から出店要請が来ていると言う。これも将来のマーケットを読んだ高付加価値商売への転換の事例であろう。

第二次世界大戦で日本軍が激しく爆撃をした長沙市であったため、怒鳴り込む客や反日ビラをまかれるなど厳しい環境の中でのスタートだった。しかし、サービスUPで苦境を乗り越え、今では地元で最も売り上げを稼ぐ代表的な店に育ち、他省への進出を検討し始めた矢先の事だった。テナントを含めれば1万人近い雇用を生んでいる。湖南省からの要請で進出し、ここまで成長させ、湖南省の期待にも十二分に応えたという自負があるだけに、平和堂の夏原社長は残念でつらかったことと思う。襲撃から10日後、夏原社長は現地の社員に「長年の努力が否定されたようで本当につらい。ずっと店と一緒に成長してきた社員の皆さんも同じ気持ちと思う。困難にひるまず、再出発しよう。団結して頑張ろう」と呼びかけた。通訳していた中国人副店長も涙で言葉に詰まったと言う。

襲撃犯のほとんどは無職。高級品を扱う平和堂の顧客層とは違う層だ。夏原社長は「政治リスクはあるが、リスクと将来性を判断しながら、商機は探せると思っている。これまで同様、現地社員と一体になって取り組みたい」と話す。1号店、2号店とも強奪、破壊された店を修復し、今月末には開店したいと言う。同じく襲撃を受けた「ジャスコ黄島店」は11月下旬、「泉屋百貨(江蘇省蘇州市)」は今月中に全館復旧見通しとか。両社とも「今後も中国に出店していきたい」という。

隣国中国が、まともなお付き合いが出来る国となって、経済・文化面での交流がより盛んに行え、お互いの国の発展に寄与できることを願いたい。そのためにも、政治に対する不満層の暴挙を防ぐ手立てが中国政府にも求められる。お互いWin-Winの関係を作るためにも。

IT業界を左右する「女性力」

10月4日のITProに標記タイトルの記事(by日経コンピュータ市嶋洋平)があった。http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20121003/427161/?ml「IT業界における指導的立場の女性の比率を30%まで引き上げる」、JISA(情報サービス産業協会)が、ダイバーシティへの取り組みに本腰を入れ始めた、とある。管理職や標準レベル5以上の高度な専門職といったポジションを想定しての比率だ。

JISAでは、9月3日に、これに賛同する企業20社(NTTデータ、NRI、ITH,SCSK,富士通FIP,NSDなど)を公表し、今後も賛同する企業を募集している。この施策は、平成22年12月に閣議決定した「第三次男女共同参画基本計画」を受けての動きでもあるが、市嶋氏は単なる企業イメージ向上のためというより、日本のIT業界にとっては、女性を活用する仕組みや風土がないと発展は望めないと言う。あるITベンダーの幹部は「新卒面接では、試験などどれを見ても女子学生の方が優秀。入社後もプログラミングのセンスがいいことが多い」と苦笑したそうだ。と共に市嶋氏は、ITの適用領域が休息に拡大し、従来の基幹システムから、ビッグデータ本格活用に見るように、新たな成長の推進力となる「フロントオフィス」へと急拡大している中、一般消費財のECサイトの構築のような分野で女性の視点が必要になってくると言う。

JISAでは「女性活躍の推進はダイバーシティの試金石であり、人材面の構造改革であるとの認識のもとに、情報サービス産業が日本で最も女性が活躍する産業を目指すことを契機に、さまざまな意味における自主改革を促すことを狙いとしている」としている。

世界では女性の経営者が当たり前になってきている。IBM,HPの二大ITベンダーのトップは女性であり、フェースブック、ヤフーのナンバー2も女性だ。IBMのロメッティCEOは「企業はグローバルに製品やサービスを売り込む時代だ。そのために世界の企業間では、人材をめぐる競争も始まっている。企業自体が男女の性別や人種、国籍、アイディアなど様々な違いを受け入れる必要がある」と、日本人の「なぜダーバーシティが必要か」の質問に対して、欧米では当たり前の事ということを強調した。

来週開かれる[ITpro EXPO 2012]でリコーITソリューションズ取締役・会長執行役員 情報サービス産業協会{JISA)副会長國井 秀子氏(当ブログでも紹介http://jasipa.jp/blog-entry/7389)が、10月10日「情報サービス産業におけるイノベーションと女性の活躍」というテーマで講演が予定されている。「受託開発が多い日本の情報サービス産業ではこれまでイノベーションはあまり強調されなかったが、今やITは変革のキーである。そこで、イノベーション推進に向けて重要な施策である人材の多様性、特に女性の活躍や、新たな働き方について述べる」とある。

育児支援や休業・復職などの、女性が働きやすい職場環境つくりを急ぐことになると思うが、この目標実現のためには、国の風土や女性の意識改革はもちろんのこと、男性も変わらねばならないと思う。日本の行く末を考えると必然の方向性と思う。

冲中一郎