よき人生を送るには自分の最高価値観に気づくこと!

アメリカの国際的な教育者ジョン・F・ディマティーニ氏が来日された際、当ブログでも何度か紹介させて頂いている文学博士で聖心会シスターの鈴木秀子氏(http://jasipa.jp/blog-entry/6241http://blog.jolls.jp/jasipa/nsd/date/2012/8/22http://blog.jolls.jp/jasipa/nsd/date/2013/5/3など)がインタビューされた記事が「致知2014.5」に掲載されている。ディマティーニ氏は世界を年間300日飛び回り、「ディマテーニ・メソッド」や「バリュー・ファクター」のセミナーや講演会を74の国で毎週のように開催している。日本にも普及協会があり、その招きで2012年3月には、ディマティーニ氏自身が石巻を訪問し、悲しみに打ちひしがれている人達に将来に向けて希望を与える支援を行われたとか。(政治家の父親を亡くしその悲しみを拭えずにいた女性がディマティーニ氏の指導を受けたあと、感謝の涙を流したそうだ。彼女はこれまでも石巻の復興に人生を捧げようと思っていたが、それは政治家の娘としての責任感や義務感だったのを、自分の自発的な意思で「この石巻を世界一にしたい」と心底から思えるようになったことで感謝の涙になったとの事)

人はいろんな価値観を持っている。その中で最高の価値感、すなわち人生の本当の目的が見いだせれば、その目的に向かう過程で起きる成果も逆境もすべて受け止めて前に進むことが出来るということ。人生の目的が定まらない人は、ちょっとした苦しみや痛みが襲ってくると避けるようになり、その痛みや苦しみから逃れようとする。人生においては誰もが苦しみや痛みを経験するが、それをネガティブに考え過ぎると、挫折感を味わうことになる。それでは、どうすれば最高価値観を見出せるのか?「ディマティーニ・メソッド」では、13の質問を使う。(カッコ内はディマティーニ氏の答え)

1.自分の空間をどのようなもので満たしたいか?(本)
2.どのような時間を過ごしているか?(教える、読む、書く、旅行する)
3.何があなたにエネルギーを与えているか?充電するためにあなたは何をやっているか?
4.お金を何に使っているか?
5.最も整理整頓をしているものは何か?
6.最も集中できることは何か?
7.何について最も考えるか?
8.普段、何について思い描くことが多いか?
9.何について自問自答しているか?
10.他人との会話のテーマは何か?
11.何について心を動かされるか?
12.どのような目標を立てることが多いか?
13.何について学んだり読んだりすることが多いか?

各質問に対して思いつくまま各3つづつ答えを出していく。そして答えの重複回数を出し多い順に並べると、最も多いのがその人の最高価値観になると言う(鈴木氏は、この13の質問は最高価値観を探す具体的な素晴らしいヒントになり、丁寧にやっていけば答えを見つけることが出来るのではと言う)。

「とかくサラリーマンは、上役や他人の価値観に従属してしまって、自分の最高価値観に気付かないまま生きている」とも言う。「もし、社員の皆さんが自分の最高価値観を会社の経営理念や自分の業務とつなぎ合わせることが出来たら、その会社で働くこと、自分の業務を遂行することが自分にとっての最高価値観を満たすことになる」とも。

自分の行動を素直に振り返れば、自分の価値観で動いている事例が多くある。それを素直に見ることで、自分の人生の目的(最高価値観)を見出す。目的があることで、前回のブログで言った「ピンチをチャンス」(http://jasipa.jp/blog-entry/9435)に変えることが可能になるとも言える。

ピンチはチャンスだ、ありがとう

日本で一番視察が多いスーパーの経営哲学(ハローディ) | 冲中ブログ (jasipa.jp))で、ハローデイの紹介をしたが、その中で「研修で覚える言葉に“ピンチはチャンスだ、ありがとう”というのがある。例えば私に怒られて落ち込んでいる人に「よかったなおまえ、おめでとう。チャンスじゃないか」と言って励ますのだそうだ。それは店舗火災事件で大打撃を受けた時、加治社長が何度も何度も唱えた清水英雄先生の詩のお蔭で立ち直れた経験を活かしての事だ。」と書いた。清水英雄先生の詩とは次の「ありがとう」の詩だ。

つらいことがおこると/感謝するんです/これでまた強くなれると/ありがとう/
悲しいことがおこると/感謝するんです/これで人の悲しみがよくわかると/ありがとう/
ピンチになると/感謝するんです/これでもっとたくましくなれると/ありがとう/
つらいことも悲しいこともピンチものりこえて/生きることが人生だといいきかせるのです/自分自身にありがとう/
そうするとふっと楽になって/楽しくなって人生がとても光り輝いてくるんです/
ピンチはチャンスだ/人生はドラマだ/
人生がとてもすてきにすばらしく/よりいっそう光り輝きだすんです/ますます光り輝く人生をありがとう の心と共に

ハローデイが、やっとどん底の状態から明かりが見え始めたとき、最も稼いでいた店舗が火事にあった。それを聞いて加治社長は車で駆けつけたが、車の中では悪い事ばかりが浮かんできて怖さで震えが止まらなかったそうだ。その時、上記詩がふっと浮かんできて、それを必死で大声で唱え始めた(店に着いたときは声が枯れていた)。店長が「すみませんでした」と謝ってきたとき、口から出てきた言葉は「店長大丈夫や!改装費が1億、2億かかっても君ならまた取り戻せるやろ」。店長は社長から大叱責を喰らうと思っていたところ、このような言葉だったことで嬉しくて嬉しくて涙が止まらなかったそうだ。そして火事の1か月後の再開時、売上がオープン時の35%増しとなったそうだ。この時の経験が「ピンチはチャンスだ、ありがとう」につながった。(「致知2014.5号」“すべては縁ある人と感動するために”より)

一言の重み、先哲・先人の教えの重みをひしひしと感じる。いろんなことを素直に受け止める心が、自分の人生を豊かにしてくれる。江戸時代の儒者・佐藤一斎の言葉を挙げておく。

少にして学べば、則(すなわ)ち壮にして為す有り。
壮にして学べば、則ち老いて衰えず。
老いて学べば、則ち死して朽ちず。

(若いうちに学んでおけば、大人になった時には、人のためになることが出来る。大人になっても学んでおけば、年をとっても気力や精神力は衰えることなく元気でいられる。年をとっても学ぶことを続ければ、ますます高い見識や品性をもって社会に向かうことが出来、死んでもその精神や業績は語り継がれる)

日本で一番視察が多いスーパーの経営哲学(ハローディ)

期せずして「PHP Business Review 松下幸之助塾2014年1・2月号」と「致知2014/5号」に北九州市のスーパー「ハローディ」が紹介されている。松下幸之助塾のリード文は「かって60億円の借入金を抱えて倒産寸前だった北九州の地域スーパー。ここに跡継ぎとして入社した三代目が当初見たのは雨漏りのする店舗、我がちに逃げ出していく取引先と従業員、そして押し寄せる借金取りと言うまさに地獄絵図だった。それから25年。今や業種を問わず見学者が引きも切らない「日本一見学の多いスーパー」として、そして20期連続増収を続けた企業として注目を集める。それは「縁ある人達を幸せにする」という目標に向かって全社員が知恵を集め挑戦を続けてきた結果である。」と。

ハローディ社長の加治敬通氏は、二つの事を徹底的に追及し、パートを含む全社員に徹底している。

「より多くのお客様に感謝する会社」
「日本一働きたい会社」

最初は、倒産寸前の会社を引き受けて、社員や取引先などにも文句ばかり言っていた。その頃先輩経営者から、「相手が悪い時どういう風に指を指す?」と問われて実際に指を指すと「加治君よく見てごらん。人差し指は相手に向いているけど、三本の指は自分を指していないか」と。そして「相手も悪いかもしれないが、自分自身も悪いところが三つあるから考えてごらん」「潰れそうな会社でも商品を卸してくれる人や働いてくれる人、そういう人たちが目の前にたくさんいるのに、目の前の悪いものばかりしか見ていないだろう貴様は!」と怒鳴られた。これで大きな「気付き」を得て、心の中に「感謝」と言う二文字の柱がドンと打ち立てられたと言う。

その後は、「口だけの感謝」から「心からの感謝」とするために徹底的に社員(嘱託社員、エリア社員含む1400名対象)研修を実施している。例えば「お元気様研修(月1回、講師社長・幹部13人、生徒12人)」、2日間かけて感謝や感動といった“人として本当に大切なこと”を学ぶ。実は研修名の「お元気様」は、同社での挨拶言葉として「お疲れ様」の変わりに使われている言葉だ。同社では「暗くて、病的で、反抗的な」“暗病反(あんびょうたん)言葉の使用を固く禁じ、代わりに「明るく、元気で、素直な」”明元素“言葉を使うことを奨励している(”ありがとう“発信を普及させる活動を展開しているヒューマンウェア研究所の清水英雄先生の教え?)。その他にも、各店が如何に客を喜ばせ、感動させられるかを競う、パートが主役の「ハロリンピック(3ヵ月に1回)」や年1回の「全体感動フォーラム」などもある。店舗視察者が最も驚くのはパート社員のモチベーションの高さとか。

加治社長は言う。「私は何のために生きているかというと、それは縁のある人たちと一緒に感動するためなんです。この研修ひとつにしても私は感動の涙を流さなかったことは一度たりともありません。参加者からも毎回、ほんとにたくさんの感動をもらっています。」と。

研修で覚える言葉に「ピンチはチャンスだ、ありがとう」というのがある。例えば私に怒られて落ち込んでいる人に「よかったなおまえ、おめでとう。チャンスじゃないか」と言って励ますのだそうだ。それは店舗火災事件で大打撃を受けた時、加治社長が何度も万度も唱えた清水英雄先生の詩のお蔭で立ち直れた経験を活かしての事だ。

素直に人の言葉に感動・感謝し、自分を変えた加治社長。事業も人生も多くの人に支えられているとの「気付き」と「感謝の気持ち」が日本一視察が多いスーパーを創りだした。その「気付き」を25年間継続して全社員に徹底するという行動にしたのも凄いことだ