「致知」2012.2月号の特集のテーマは「一途一心」。その説明に「ひたすら、ひたむきと言うことである。一つ事に命を掛けることでもある。物事の成就はこのコア(核)なくしてはあり得ない。」とある。つづいて思想家安岡正篤氏の言葉が紹介されている。終戦の「玉音放送」の加筆訂正、「平成」の年号の起案、田中角栄など昭和の総理のアドバイザーなど政財界、皇室への影響力が大だった人である。
「何物にも真剣になれず、したがって、何事にも己を忘れることが出来ない。満足することが出来ない。楽しむことが出来ない。常に不平を抱き、不満を持って、何か陰口を叩いたり、やけのようなことを言って、その日その日をいかにも雑然、漫然と暮らすということは、人間として一種の自殺行為です。社会にとって非常に有害です。毒であります。」
「いかにすればいつまでも進歩向上していくことができるのか。第一に絶えず精神を仕事に打ち込んでいくということです。純一無雑の工夫をするーーー近代的に言うと、全力を挙げて仕事に打ち込んでいくということです。」
甲子園常連校になった福島の聖光学院高の斎藤野球部監督は、選手指導に安岡正篤氏の教えを使ったそうだ。その教えを書いた各選手のノートは凄いらしい。その斎藤監督の言葉。
「一瞬一瞬の生き方を粗末にしている人間はグラウンドに立っても佇まいが悪く、凛々しいプレーが出来ない。逆に言えば人間性がきちっとしていて、いい歩みをしているものであれば、下手でも人の胸を打つプレーができるんですよ。」さらに
「自分の身の回りに起こる不具合や逆境、試練はその人に何かを気付かせようとして必然的に起こる。人間的成長を促すために神様が用意して下さったその試練にしっかり心を開いて向き合えば、どんな不条理なことが起こっても、前向きに物事を捉えられるようになる。そうすればいつの間にか不平、不満は消えていきますね。その段階を超えていくと、試練そのものに対しても逆に感謝の気持ちを持てるようになる。」
今春の選抜に「21世紀枠」で出る佐渡高校の深井監督との対談記事から抜粋したが、先哲の教えを素直に心に読み込み、それを実行して成功を収めた人の話だから、胸に響く。