「情報産業新聞」1月1日号に登場

昨年末にブログ(http://blog.jolls.jp/jasipa/nsd/date/2011/12/24)に記した「グローバル社会の人材育成」がテーマの対談記事が、情報産業新聞の1月1日号に掲載されました。IT業界に人材を送り出す専門学校の経営者と、人材を受けるIT業界団体との新春座談会という形で紹介されています。後者を代表して、中小ITベンダーの経営者が集まるJASIPA特別顧問の私が参加しました。国内IT市場規模がますます減少する流れの中で、いかにグローバルに戦える人材を育成するか、ITベンダーでも大きな課題になっているが、人材供給側も非常に関心が高く、今回の対談も専門学校側からの提案で実現しました。

英語ができると言うだけでは、グローバル人材とは言えない。「お客様から信頼を得られるベンダー、人材とは」の追求の中に、グローバル人材の答えはある。まさに、多重下請構造から脱皮し、お客様に真のサービスを提供できる業界に生まれ変わるための人材育成像を追求するのと同義とも言える。そうでなければ、海外のコストの安い労働力と競争はできず、海外へ進出している日本企業からも見離される。このような視点で、人材供給側の大学、専門学校と、受け側のITベンダーとの対話がもっと必要だとの認識を得ることが出来た。

日経に年明けから連載中の「C世代駆ける」に若い世代の活躍の様子や、期待像が描かれている。今朝の記事では、「社員を採用するうえで語学力重視するかの設問に、「重視」「やや重視」を合わせると74%だが、非重視も23%あり、海外展開を急拡大する新日鉄やキリンビールは‘非重視派’で採用段階では別の能力も必要と言えそう」とある。

情報産業新聞の記事に関しては、現在PDF化してもらっており、いずれJASIPA会員にはお見せできると思います。

故郷の家解体

3連休故郷姫路へ帰った。昨年11月頃から以前にも増して帰るようになったのは、故郷の家を解体するための準備のためである。小さいころからの住み慣れた家を解体するのは、つらいことではあるが、古い家で壊れかかかった部分があるため、解体を決断した。最近の解体は瓦とか壁とか選別しながら壊さなければならないため、大変らしい(費用もその分上乗せされる)。不要なものを選別移動させたり(座布団を公民館や寺に寄贈したり)、仏壇の移動を専門家に見積もってもらったり、3日間大変だった。

いつも故郷に帰ると、懐かしい方々が声をかけてくれる。姫路を離れて、16年強。まだしばらく帰れそうにない。息子たちも東京に住み、残念ながら姫路という地が遠くなる。

それにしても、地方の過疎化、活性化問題は大きな日本の課題ではなかろうか。姫路も最近、菓子博覧会や、B級グルメ大会の開催などで全国ニュースになったが、まだまだ姫路駅前のにぎわいは戻ってこない。このままでは東京一極集中はますます進むのではないだろうか。大地震等、東京一極集中に伴う、日本のリスクは限りなく大きくなる。

この世からなくならないもの???

アルベルト・アインシュタインの言葉に『 この世から未来永劫消えないものは二つだけ「 宇宙 」と「 人間の愚行 」だけだが「 宇宙 」のほうは断言できない 』とあるが、IT業界特にシステム開発においては、いつになっても失敗プロジェクトがなくならない。いろんな経営者にお会いするが悩みは大きい。知識がすぐ陳腐化するほど技術の変化が激しすぎる、お客様の要求が厳しすぎるなどいろんな言い訳があるが、最大の原因はマネージメントが進歩しないことにあるのではないだろうか。東京電力福島第1原発事故の原因などを調べてきた政府の「事故調査・検証委員会」の 委員長・畑村洋太郎東京大名誉教授の「失敗学の法則」をはじめ、失敗プロジェクトに関する本は数多く出ている。私が社内向けの機関誌の特集「本を語る」に紹介した本並びに記事を紹介する。

「失敗学の法則(文芸春秋)」の著者畑村氏は、「失敗しない方法」を教えるより「うまくいかなかったやり方」すなわち失敗に学ぶことがものごとの本質理解に役立つとの考え方で、失敗を共有して日本の技術の進歩に寄与するために「失敗学会」も立ち上げています。失敗から学ぼうという文化を築いてこそ大きな失敗が防げ、豊かな創造力が生れる。そのような文化を創るためには組織の風通しを良くすることが必須条件であり、他部門、他グループの失敗を見て見ぬふりをするよりも、積極的に関心を持ち積極的に関与・干渉する風土を勧め、そして、責任追及、犯人捜しよりまず原因追及が先決であり、その原因を共有化することが大切だと言っています。しかし、意図的に失敗をもくろんだ「末必の故意」はいうまでもなく、「不作為(やるべきことをやっていない)」の失敗は厳罰ものと言われています。

失敗を活かす風土つくりを寓話風に綴った「ニワトリを殺すな(ケビン・D・ワン著、幻冬舎)」も興味ある本です。ニワトリは群れの中の一羽が血を流していると寄ってたかってその傷をつついて殺してしまうとの事。我々もニワトリと同じことをやってはいないか。失敗した人を責めるだけでは業績は上がらず、失敗した人の経験を活かし、みんなで知恵を絞って失敗の原因を追究することの大切さを、主要銀行から子会社に出向させられ腐っていた社員が、銀行とは180度違う経営スタイルに触れ、触発され「すばらしい会社」と思うに至る過程を寓話風に展開しながら語っています。ホンダの創業者本田宗一郎氏をモデルにしたもので、随所にその名セリフがちりばめられています。その中のセリフ「私は、世の中で本当に失敗を成功のもとにする人は実は少ないと思うよ。それは、実際に失敗をきちんと反省する人が少ないからだよ。たいてい謝っておしまいか、多くは隠してしまう。失敗は成功のもとにする真摯な態度や努力が必要なんだ。」

まさにマネージメントの世界だと思います。この教訓を真剣に受け止め、社の風土改革に成功した会社が勝ち馬になる!