閉塞感から脱し人間愛に満ちた社会に

16日土曜日京王プラザホテルで開催された「人生を照らす言葉」というテーマの講演会に家内と行ってきた。講師は聖心女子大學教授などを経て、いまなお、人生を幸せに生きる為のワークショップを各地で精力的にこなされているシスター鈴木秀子先生。私どもはクリスチャンでもないのですが、家内が先生の本に昔から感銘を受けているということで一緒にでかけた。

話の骨子は、大震災の発生後ということもあり、新燃岳や阪神大震災の経験談も踏まえながら、人間本来の特質を説きつつ、閉塞感にある現在の社会を「いたわり」「やさしさ」「思いやり」などの人間愛に満ちた社会に変えていく契機にしたい、そして絶対変えることができるとの信念を披露された。

人間は孤独感だけには堪えられない。「ありがたし、今日の一日もわが命、めぐみたまへり、天と地と人と」という佐々木信綱の歌があるのですが、今日の命も天からもらい、力をもらい、みんなが命を投げ出して、私たちを養ってくれている。そしてみんなもいろいろな人の見えない力で助けていただいている。今回の震災の光景を見ていて、被災に会われ裸一貫になられた方のお互いの思いやり、真に命が助かったことに対する感謝のことばを聞くと、豊かな生活に慣れた我々の不遜さに気づかされる。

鈴木先生が新燃岳のふもとのホテルに泊まったとき、そのホテルの壁に坂本竜馬の自画像(坂元竜馬が何度か宿泊したホテル)の横に司馬遼太郎の「21世紀に生きる君たちへ」の文章が飾ってあったそうです(この文章は小学6年生の教科書になったそうです。インターネットで出てきます)。この文章を講演会当日全員で声を出して読みました。「人間こそ一番偉い存在」という思い上がった考え方がいつの間にやら跋扈した。人間は自然とともに生き、生かされてきた、この自然へのすなおな態度こそ21世紀への希望であり、子供たちへの期待でもあると。自然物としての人間は決して孤立しては生きていけない。このため助け合うということが人間にとって大きな道徳となっている。「いたわり」「他人の痛みを感じること」「やさしさ」を訓練して身に着けなければならないと。

今回の震災に会われた方々の互いをおもいやる行動は我々にも希望の灯をあたえてくれた。21世紀を人間愛に満ちた社会にできる確信が得られた。そのような世界を築くために、これからの21世紀、日本が世界のリーダーになろう!今回の世界中の人々の支援に報いるためにも!

ミラーニューロンの発見

これも古いIT Proの記事を社内のブログにUPしたものです(2009/11)。円滑なコミュニケーションを行うため、あるいは、明るく、活気のある職場風土創り、人脈創り、子どもの教育などにも大きなヒントを与えてくれるものと思います。やりようによっては逆効果も呼ぶ、その名は誰の脳にも存在するミラーニューロンです。

ミラーニューロンとは、他人の行動を見るだけで発火するニューロンで、20年ほど前にイタリアの研究者が偶然発見したのだそうです。

いいことも、悪いことも伝染するそうで、「共感」はまさにこのニューロンの発火現象ということらしい。夫婦が永年一緒に暮らしていると顔かたち、表情が似てくるのも、夫婦同志がお互いにミラーニューロンのレベルで模倣し合っているからだという。対話している時に無表情で聞いていると話す人も無表情になり、会話が進まなくなる。逆に表情豊かに話すと聞き手も表情豊かになり、会話がはずむというのもこのニューロンが作用しているそうです。赤ん坊の時に赤ん坊が笑うと母親が笑って返す行動を繰り返すことで、赤ん坊の脳の中に親の笑顔を移すミラーニューロンが芽生える。模倣版、愉快犯といわれる犯罪も一度どこかで起ると続いて起る傾向がありますが、これもミラーニューロンの発火現象かも知れません。

「個人の属性は独立ではなく、他人との関係の中で作り上げられる」ということになるが、グループ・チームの雰囲気、会社の風土・文化なども、その構成員の雰囲気・個性がお互いに影響しあいながら作られていくということになります。規律正しい風土、学習する組織、チャレンジする文化などを作り上げるためには、特に規範となる人を作り(管理者は率先して規範となる)、それを伝播させることによって作り上げられるということになります。逆に一つほころびが出ると、それも伝播する可能性があるということですから、いかにそのほころびを早くキャッチし、伝播を防ぐかがポイントになるといういことです。

自分の主張を相手に分かって貰う、あるいは自分をアピールするコツは、説明する時の顔の表情などにより、相手のミラーニューロンを発火させることかも。

精神爽奮

これまで10年間ほど、事あるごとに「精神爽奮」と言う言葉を使ってきた。「爽やかに奮い立つ」いい言葉と思いませんか?そんな会社が究極の目標と思ってやって来ました。しかし、どこかでこの言葉に会って、共感を覚えたのは記憶しているのですが、語源は分からないままでした。それが2011.3号の人間学を学ぶ月間誌「致知」で判明しました。

明末の大儒、呂新吾(りょしんご)は言う。

精神爽奮なれば則ち百廃俱(とも)に興る
肢体怠弛(したいたいし)すれば則ち百興俱に廃る

(精神が爽やかに奮い立てば、もろもろの廃れた事が一斉に興る。 手足身体が怠け弛むと、もろもろの盛んなことも一斉に廃れる)

運とツキを招き寄せる法則は古今に不変である。運とツキに関する著名人の言葉も付記しておきます。

★武田双雲(若くして前衛書道家として活躍。NHKの大河ドラマ天地人のタイトルを書く)

「感謝、感性、感動」の3つを大切にすることですね。毎日毎日、感謝、感動していたら、運がよくなるに決まっていますよ。向こうが引き寄せるのか、こっちが引き寄せるのか分からないけど、ありがたいことにどんどん寄ってくる。たぶん、「自分は運が悪い」と思っている人は、運が悪い部分しか見ていないだけなんですね。

★谷岡一郎(大阪商業大学学長)

自分が持てる限りのベストを尽くした中で、初めてツキが出るんです。運だのツキだのといった話は人事を尽くした人が言うべきで、全力を尽くしもしない人がごちゃごちゃ言うものじゃないと思いますね。

★衣笠祥雄(スポーツコンサルタント)

勝負に負けて、ふてくされたり、やけくそになるのは自己否定で、そういう人に運が向いてくるとは考えにくい。私が練習に励んだのは自分に対する信頼からでした。

★樋口武男大和ハウス工業会長

人の道を守らない人、親を大事にしない人、恩ある人に砂をかける人に運はついてこない。