8月20日の日経夕刊「暗闇体験でつながろう(見えない空間で運動・作業・・・)」と週刊ダイアモンド8.24号「真っ暗闇だからこそ見える相手を思いやることの大切さ」の記事に、「暗闇体験が最近人気」とある。以前から有名な、厚生省も後援している「非営利活動法人ダイアログ・イン・ザ・ダーク(DID)」のホームページでは、これまで10万人が体験し、東京外苑前会場の予約状況スケジュールを見ると、平日も満席あるいは残席少々の状況が見え、人気を博している状況が見える。
DIDのホームページでは「参加者は完全に光を遮断した空間の中へ、グループを組んで入り、暗闇のエキスパートであるアテンド(視覚障害者)のサポートのもと、中を探検し、様々なシーンを体験します。その過程で視覚以外の様々な感覚の可能性と心地よさに気づき、そしてコミュニケーションの大切さ、人のあたたかさを思い出します。世界 30か国・約130都市で開催され、2011年現在で700万人以上が体験したこのイベントは、1988年にドイツで、哲学博士アンドレアス・ハイネッケの発案によって生まれました。日本では1999年11月に初めて開催され、現在は東京・外苑前の会場にて常時開催中。これまで約10万人が体験しています。」と。今では大阪にも会場がある。
朝日新聞の記事では、DIDの他にも暗闇体験イベントが増えていると言う。日本ブラインドサッカー協会主催が、音が鳴るボールを使った視覚障害者のサッカーを目が見える人がアイマスクをしてやってみるイベントを毎月3~4回開催しているが、口コミだけで毎回満員だそうだ。友達作りのために武蔵野大学では新入生のオリエンテーリングに導入。(ロンドンパラリンピックで金メダルをとったゴールボールを思い出す(http://jasipa.jp/blog-entry/7942)。)一般社団法人中小企業経営基盤研究所(名古屋)では経営者向けに、アイマスクをして木製ブロックを指示された形にするブラインドワークを取り入れた講座を実施(提供:日本ダイーバーシティ推進協会)。「暗闇ご飯」、「暗闇音楽会」、「暗闇官能小説朗読会」などもあるそうだ。
アイマスクをすると一人では何もできない。お互いに声を出して助け合わなければ一歩も前に出ることさえできない。そして他人の声を信じなければ動けない。初めて会った人でも。だから気持ちが通じ合い、直ぐ友達になれる。他人を思いやる気持ち、そしてそのためには声をかけること。DIDで同行役を務める視覚障害者の人は「子供のころに比べ、道に迷った時などに心配して声をかけてくれる人が減った」と嘆く。
人は一人では生き抜けない。いろんな人に助けられながら生きている。こんな感覚を経験できるとすれば、個人の幸せの為にも、暗闇体験は貴重なものと思える。DIDのホームページには体験者の声が掲載されている。「また参加したいか?」にYesが97%、「他の人に薦めたいか?」は99.5%がYesだと。