「経営者サロン」カテゴリーアーカイブ

第9回JASIPA経営者サロン実施(18日)

今年の4月に始めたJASIPA経営者サロンも9回目を迎えました。12月は忘年会シーズンで、人が集まるか心配したが、8名の方々が集まってくださり、サロンの忘年会も実施出来た。参加者の皆さんお疲れ様でした。

今回は第一部で、理事の河村さん(アクションシステムズ代表取締役社長)より、「アクションシステムズ(以下A社と略す)のグローバルビジネスの事例と今後」と言うテーマで話を頂いた。河村さんはJASIPAでは「グローバルビジネス委員会」の委員長もやられ、NASAにもおられた国際人としてアメリカ、ベトナム、中国、台湾など幅広く活躍されている方である。

A社の目玉パッケージ「CallNavi x telBee」(安価で高性能なCTIシステム)は今では全国140拠点、1500本が導入され、品質的なトラブルは皆無と言う。河村氏は、このようなパッケージは、海外に目を向けなければ出来なかったと言い切る。創業(1992年)後、即米社と提携、社員を海外研修に派遣し、徹底して海外に学ぶ基盤を社内に作った。いち早くSIPをCallNaviに取り込んだのも、米国でのカンファレンスで目ざとく見つけ、展示ブースで即座に交渉するという早業でアライアンスに持ち込んだ。

ベトナムのオフショア開発先の堀だしや、面接に際しては、JASIPA会員のパイプを活用して、今では、中国以上にコスト面、技術面はもちろん、仕事に対する姿勢に関しても評価が高く、ベトナムのエンジニアを社内に常駐させつつ、パッケージのオフショア開発に大きな戦力となっていると言う。

今、日本のIT業界は大きな曲がり角に来ている。河村氏は、目的意識を持って、思い切って海外に飛び込めば、学ぶことは沢山あると言う。その目的意識と熱意があれば、海外に人脈も出来、市場が開けてくる。日本が世界に通用するIT国家になることを目指して、JASIPAのグローバルビジネス委員会を活性化していきたいと意気込む。

第二部では、河村さんの話を受けて、「海外事業を進めるための事前準備、アプローチは?」とのテーマで、どのように海外とのきっかけを作るか、そしてアライアンスに持ち込むための方策などを河村さんへの質問形式で聞き出した。NDAを結びながらソースチェックをしたり、財務諸表のチェック、契約書の作成などの苦労話もして頂いた。

河村さんが主宰する「JASIPAグローバルビジネス委員会」が楽しみだ。

第8回JASIPA経営者サロン実施(21日)

最初に、梅北副理事長((株式会社日本システムデザイン代表取締役)から「海外に目を向けて」とのテーマでお話を伺った。珍しく今週は19日に「グローバルビジネス委員会」、20日に「ICTビジネス委員会」と3日連続のJASIPA行事が続くことになり、参加人数が心配されたが、理事を主体に9名の参加があった。

銀聯オンラインショッピングモール『銀聯在線商城』内に設けられた『日本製品専門』サイトである銀聯在線商城(ギンレンオンラインモール)日本館を運営する、株式会社チャイナコマースに出資参加され、常にインド、ベトナムなど東南アジア経済圏を訪れ、ウォッチされている梅北さんから、海外に日頃から目を向け、事業チャンスを掴むことの必要性を熱っぽく語って頂いた。日本の将来を考えると、世界人口の約半分を占めているアジア経済圏を見据えた経営が必須となる。そのために、オフショア開発も進められている中国だけではなく、インド、ベトナム、タイ、シンガポール、インドネシアなどにも注目し、「百聞は一見にしかず」と自ら出向かれ、調査されている。インド最大のITベンダー「インフォシス」も訪問された由。驚くことにインフォシスは、インド国内向け事業は全くやっていないとか。殆どが欧米向けだそうだ。

2部では、私の方から、以前JUAS(日本情報システム・ユーザー協会)で講演されたGISコンサルティング株式会社代表取締役社長工藤秀憲氏の講演内容を参考に、「日米の情報システム構築の違い」について話題を提供した。工藤氏はNEC,NECソフトに在籍中、米国や中国事業の立ち上げに携わり、その経験を活かして、ユーザー企業のシステム構築やITベンダーの海外進出のコンサルティングをやられている方だ。「米国流システム構築が日本企業を救う」や、「飛び出せ日本人!日・米・中国人のビジネスと生き方」という本を出版されている。海外のベンダー事情を知るうえで参考になると思う。今回、日米のシステム構築の違いとして下記を挙げた。

  • 1.エンドユーザーの内製化率(エンドユーザーがシステム部門を抱えるレベル)は米国が圧倒的に高い(ITベンダーエンジニア:エンドユーザーエンジニア比率が日本は4:1、米国は逆に1:2)。
  • 2.エンドユーザーのCIO専任比率も米国が圧倒的に高い(日本は6~7%、米国は60~70%)。
  • 3.日本のような成果保証の一括請負方式はなくすべて工数精算方式、人の流動性が高いためシステムの共通化・標準化が進む、アーキテクチャ重視の米国に対し日本は機能重視、ROI重視でシンプルなシステム志向・・・。
  • 4.望ましい職業のトップがSE、PMが5位
  • 5.大企業の基幹システムの月間停止時間は、日本が1.7時間、米国が一ケタ違って14.7時間。

オフショアではなく、海外市場に進出(海外企業を相手にソリューション事業を推進)するとなると、相手の文化・風土の認識が重要となる。アメリカと日本でもこんなに違う。ましてや東南アジア圏は共産圏もあり、文化・風土は大きく異なるものと思う。梅北さんが言われた「百聞は一見にしかず」で、ともかく訪問していろんなものに触れてみないと把握できない。梅北さんは今の若い経営者に、「海外にもっと目を向けよ!」との警告を発せられた。

第7回JASIPA経営者サロン実施(10月25日)

今回は、第一部にJASIPA関西支部長杉本浩氏(スキルインフォメーション㈱社長)に登場いただき、いろんな事業に積極的に挑戦され、自社ビルまで持たれた成功体験をお話しいただいた。いわゆる派遣事業を主体とする「ソフトハウス」事業はますます厳しくなってきているが、その時々の環境を考えチャレンジされてきた杉本氏から頂いたテーマは「ポスト・ソフトハウス経営」だった。

組み込みソフトをコア技術として、若干24歳で元同僚と3人で起業されたのが1986年。その後、事業の成長と安定を考慮し、事業の柱を複数作ることを目指し、医療関連に進出。そのきっかけになったのが、IPAの公募プロジェクトに採択され開発した医療パッケージ。しかし、社としての知見不足で苦労し、医療関連ソフトの得意な企業のM&Aや、医療業界と接点の多い医療品卸、販売企業との業務提携を行い、医療関係を一つの柱とすることに成功。フォント事業に関しても、今ではドバイからアラビア語のフォント依頼が来るまでに成長。事業のポートフォリオとして3本柱が出来、事業の安定性が格段に増したと杉本氏は言う。途中紆余曲折も経験され、ツールベンダー華やかなりし時、手を出したが、ダメと見るや素早く撤退。

「ポスト・ソフトハウス経営」として、新たな事業に進出するにしても、やはりお客様から認められている技術をコアにしつつ、官学も含めた人脈を大切にすることによって、新たな事業を発掘する。そして新たな事業を進めるにも、自社でのノウハウがない場合は、人脈を通じてノウハウを補強するための施策(M&A,業務提携など)を打つ。医療関係の学会に、大学の先生の論文作成をお手伝いし、共著として発表し、そのブランドで北海道大学病院から声がかかり、お客様となって頂いたとの話もされた。フォント事業でもJETROとの人脈でドバイにつながったそうだ。

第二部は、「何を持って競合他社との差別化を図るか」とのテーマで、討議資料を用意したが、第一部の杉本氏から、事業の要諦を引き出すことが、当テーマの神髄でもあり、杉本氏との議論にかなりの時間を割くことになった。ガートナーが「事業の成長を目指すプロセスは①既存事業の拡大(既存商品&既存顧客)→②機会の拡大(既存商品&新規顧客)→新規事業の開発(新規商品)というのが、成長と安定のバランスのとれたプロセスだ」と言う。自らにノウハウも技術もない分野に行くのは、挑戦というより「無謀」と言うのだろう。杉本氏も紆余曲折を経験されているが、その経験を活かした新たな事業の創出方法は「ポスト・ソフトハウス」を検討する上で大いに参考になる話と思う。

今回は杉本氏含めて参加者は9名だった。次回は11月21日(水)開催予定です。