最初に、梅北副理事長((株式会社日本システムデザイン代表取締役)から「海外に目を向けて」とのテーマでお話を伺った。珍しく今週は19日に「グローバルビジネス委員会」、20日に「ICTビジネス委員会」と3日連続のJASIPA行事が続くことになり、参加人数が心配されたが、理事を主体に9名の参加があった。
銀聯オンラインショッピングモール『銀聯在線商城』内に設けられた『日本製品専門』サイトである銀聯在線商城(ギンレンオンラインモール)日本館を運営する、株式会社チャイナコマースに出資参加され、常にインド、ベトナムなど東南アジア経済圏を訪れ、ウォッチされている梅北さんから、海外に日頃から目を向け、事業チャンスを掴むことの必要性を熱っぽく語って頂いた。日本の将来を考えると、世界人口の約半分を占めているアジア経済圏を見据えた経営が必須となる。そのために、オフショア開発も進められている中国だけではなく、インド、ベトナム、タイ、シンガポール、インドネシアなどにも注目し、「百聞は一見にしかず」と自ら出向かれ、調査されている。インド最大のITベンダー「インフォシス」も訪問された由。驚くことにインフォシスは、インド国内向け事業は全くやっていないとか。殆どが欧米向けだそうだ。
2部では、私の方から、以前JUAS(日本情報システム・ユーザー協会)で講演されたGISコンサルティング株式会社代表取締役社長工藤秀憲氏の講演内容を参考に、「日米の情報システム構築の違い」について話題を提供した。工藤氏はNEC,NECソフトに在籍中、米国や中国事業の立ち上げに携わり、その経験を活かして、ユーザー企業のシステム構築やITベンダーの海外進出のコンサルティングをやられている方だ。「米国流システム構築が日本企業を救う」や、「飛び出せ日本人!日・米・中国人のビジネスと生き方」という本を出版されている。海外のベンダー事情を知るうえで参考になると思う。今回、日米のシステム構築の違いとして下記を挙げた。
- 1.エンドユーザーの内製化率(エンドユーザーがシステム部門を抱えるレベル)は米国が圧倒的に高い(ITベンダーエンジニア:エンドユーザーエンジニア比率が日本は4:1、米国は逆に1:2)。
- 2.エンドユーザーのCIO専任比率も米国が圧倒的に高い(日本は6~7%、米国は60~70%)。
- 3.日本のような成果保証の一括請負方式はなくすべて工数精算方式、人の流動性が高いためシステムの共通化・標準化が進む、アーキテクチャ重視の米国に対し日本は機能重視、ROI重視でシンプルなシステム志向・・・。
- 4.望ましい職業のトップがSE、PMが5位
- 5.大企業の基幹システムの月間停止時間は、日本が1.7時間、米国が一ケタ違って14.7時間。
オフショアではなく、海外市場に進出(海外企業を相手にソリューション事業を推進)するとなると、相手の文化・風土の認識が重要となる。アメリカと日本でもこんなに違う。ましてや東南アジア圏は共産圏もあり、文化・風土は大きく異なるものと思う。梅北さんが言われた「百聞は一見にしかず」で、ともかく訪問していろんなものに触れてみないと把握できない。梅北さんは今の若い経営者に、「海外にもっと目を向けよ!」との警告を発せられた。