「松下幸之助」カテゴリーアーカイブ

営業活動ゼロの工務店!

「リーダーのための経営理念実践ビジネス誌 PHP Business Review松下幸之助塾2012.5.6月号より。「“素直な心”が成功の秘密」とのタイトルで、神戸にある青笹工務店青笹会長に関する記事があった。副題は「営業活動ゼロの工務店」。

記事は『「営業活動をせんと(しないで)、どないして仕事を取ってくるんや」と同業者から言われるんですけどね。「うちは仕事を取ってこんでも、向こうからくるんや」言うとるんですわ。』で始まっている。1959年創業以来、630棟あまりの住宅を建てたが、青笹さんはすべて設計図が頭の中に入っていると言う。経営が順調な秘訣は?との問いに、「“素直な心”で実践しているから」と。青笹さんが言う“素直な心”とは、松下幸之助さんの言葉だが、「とらわれのない心」と微妙に違って「正直なこと、寛容なこと、相手の立場を絶えず考える思いやりがあること」。最初に務めた会社(建設業)の社長に認められ、跡継ぎの話も持ちかけられていたが、周囲のやっかみがいじめに発展し、独立を決意。元の会社の得意先から仕事を無断で貰うわけにはいかず、仁義を切るため元の会社に行ったところ、快く認めてくれた上に社長の娘の家まで注文してくれたとの事。青笹さんの信頼のすごさが分かります。

独立して、順調にいっていたのですが、ある時松下の代理店から松下幸之助氏の講演に案内され、行ったところ、松下グループの住まいに対する思いとして「住まいは人間形成の道場」との資料が配られ、感動。以降、住宅建設にたいする考え方が変わり、「ただの家つくり」から「人間形成の道場つくり」へ。その道をひたすら信じて進もうと心に決められたとか。お客様にもその意味を説き続けた。「子供が自分の部屋に行かず、リビングで家族と一緒にいるようになった」とお客様から言われると、分かってもらえたことで何より喜びを感ずた。そして、お客様が、そのような話をお客様の知り合いにしてくれる。受注に負けた大手ハウスメーカーの営業マンが「いいところに頼まれましたね」と言って納得して帰ると言う話もお客様から聞くそうだ。10年ほど前に長男に社長を譲られたそうだが、80歳の今でも現役バリバリだとか。

昨年当ブログで紹介した浜松市の都田建設も、同じように地域からの信頼が厚く、社員のモラルも高い(http://jasipa.jp/blog-entry/7041)。お客様視点の企業運営、言うは易いのだが、実行レベルは奥が深い!

感謝力!この力があなたの成功の鍵!

松下幸之助氏はじめ、成功した方々の名言の中で「感謝の心」の重要性が説かれている。「致知」の過去の記事から、その「感謝力」の記事を2編抜き出して紹介する。

まず、還暦でプロゴルファーになった古市忠夫氏の「奇跡を起こす方程式」(2009.7松下幸之助に学んだこと)より。古市氏の半生は映画化され、その上映会にタイガーウッズも来たとか。


最近、なんで俺がこんなありえない人生を歩んでいるんだろうと考えた時、「奇跡を起こす方程式」を思いついたんです。

「奇跡=才能×努力×感謝力」

さっきも言うたように、才能や努力ではプロテストを受ける二十代の若者には敵いません。しかし、感謝力だったら負けない自信がある。

(中略)

人生は最後の最後まで分からない、というのが私の持論です。私たちは震災であまりにも多くのものを失いました(注:古市氏は阪神大震災で自分の店を無くされました)。しかし、それによって大切なのは物ではなく、お金でもなく、地位や名声でもない。人の愛であり、優しさであり、人を思いやる心であり、感謝であり、積極的な心だと分かった。そのおかげで、いま、私は夢のような人生を歩んでいる。人生、何がピンチで何がチャンスか、その時点では判断できないと思うんですよ。

でも、どんな時でも正直に、悔いなく、感謝の心を持って生きると、ものすごいパワーが生まれて奇跡を起こしてくれる。それは誰が起こしてくれるのか? 周りの人です。自分の力では奇跡は起きません。


次は、サンリ会長の西田文郎氏の「10人の法則」(2009.7)より。北京オリンピックで金メダルのソフトボールチームを指導した時の話。


お釈迦様は東西南北と天地、要するにすべてに感謝しなさいと言われました。これを選手用にアレンジしまして、東に向かって先祖に、西に向かって家族に、南に向かって恩師、北に向かって友人に、そして天地に向かって自然に感謝してくださいと。(六方拝)

また、用紙に自分の名前を中心に書いて、その周りに恩師とは誰なのか、家族には何を感謝するのか、ということまで明確に書いてもらいました。これらのことは、選手の皆さんには「外気を取り入れる」という言い方をしましたが、多くの人がいてくださって生かされているという感覚を持っていただきたかったんですね。ただ、人間の思いは思っているだけでは強化されませんから、

「特に感謝すべき人を十人挙げて、1年以内に感謝の心を伝えに行く」

  ということを実践してもらいました。これは何も彼女たちに限ったことではなくて、私は経営者層や他の職種の人たちにも言っていることなんです。

(中略)

自分自身はもちろん、チームメイトを信じられることが、最終的にチーム力となって絶対表れると思いました。だからそういうことに取り組んでいただいたのです。ただ、これはスポーツ選手に限った話ではないので、ぜひ一般の方にも六方拝、「十人の法則」をやっていただきたいと思いますね。


あの上野投手も高校時代の恩師の墓参りをしたそうだ。新しい年度が始まり、新入社員も入って来ました。「素直な心を持って、感謝の心を忘れない」、そして稲盛さんの言われる「利他の心」を持って、人間の絆をより強める年にしたいものです。

NHK総合「神様の女房」放映中

神様とは、経営の神様「松下幸之助」をいうが、その神様を支えた妻「むめの」夫人に焦点をあてたドラマである。両親も既になく、八人兄弟も姉一人残してすべて夭折。さらには病弱で借家住まいで財産の一欠片もない大阪の電燈会社の電気工である幸之助氏(20歳)に淡路島の船乗りの会社社長の愛娘むめの(19歳)が嫁ぐ。当時「むめの」の縁談話で最も条件が悪かったと言います。しかし、「むめの」の生来の挑戦魂と行動力が、かえって何もない幸之助氏を選ばせたのです(実は「むめの」の弟が三洋電機創始者の井植歳男氏で、幸之助氏がソケット製造会社を創った苦しい時に手伝った)。

電燈会社で、自分の提案が上司に受け入れられず、生活の目途もたっていないのに勝手に会社を辞めてきた時、自分の会社を創ることを後押ししたり、家族経営で社員のための寮制を取り入れたりしたのも「むめの」である。この寮制を敷き、食事など一切の世話をしたのはもちろんですが、躾教育にも自らかなり力を入れ、そのお陰で、社員の行儀の良さが評判を呼び、事業にも大きく貢献したと言われています。幸之助氏が後世「松下電器は何を作っているかと聞かれたら“人をつくる会社です。あわせて電気製品も作っています”と言いなさい」と言われたのも、その原点は「むめの」の考え方にあったのです。

NHKでは10月1日から3回シリーズで放映中です(毎週土曜日9時~)。後1回だけとなりました。松下家の執事を長年務められた高橋誠之助氏が著した「神様の女房(ダイアモンド社)」をドラマ化したものです。その高橋氏曰く「松下電器の創業者は幸之助さんだけではない。もう一人創業者がいらっしゃったのだ」と。

「内助の功」の力は大きい!