ハーバードのポジティブ心理学(タル・ベン・シャハー)


6月のJASIPA経営者サロンのテーマ「ポジティブ心理学」(http://blog.jolls.jp/jasipa/nsd/date/2013/6/28)がハーバード大学でも人気講座になっているようだ。ポジティブ心理学による「幸せ」研究の第一人者と言われるタル・ベン・シャハー氏の講座だ。シャハー氏と親交があり、翻訳業の傍ら、ポジティブ心理学の普及活動をされている成瀬あゆみ氏に、シャハー氏の「ハーバード式人生の指南」を分かりやすくアレンジしてもらった記事が「President Online(7/15)」に掲載されていた(http://president.jp/articles/-/9954?utm_source=0716)。シャハー氏は2010年に『ハーバードの人生を変える授業(成瀬まゆみ訳、大和書房)』を、この7月に『Q・次の2つから生きたい人生を選びなさい ― ハーバードの人生を変える授業(成瀬まゆみ訳、大和書房)』 を出版されている。

今回の記事は、受験や習い事などで日々多くの課題に取り組む子供を持つ親にとっての最大の関心事項である「学習意欲の減退」や「塾で落ちこぼれた」といった事態への「シャハー式ポジティブ心理学」の応用に焦点を当てたものになっている。10個のメソッドに関して記述されている(2~3を紹介することにして、詳細は記事を参照して頂きたい)。

METHOD1 子供が学校から帰ってきたら「今日楽しかったこと」を書く

「ほんのちょっとしたことでもいいので、毎日、楽しかったことや、感謝したいことを思い出し、書き出すというワークをする」(これはJASIPA経営サロンでのワークと同じ)。そして子供に聞いたあと、子供から親に対して全く同じ質問をさせること。「親子それぞれが、‘ありがとう’と言いたいこと、面白いと感じたことを話し合う。こうした習慣を1日のうちほんの数分でも続けられれば、いろいろな人・ことに助けられていることを実感できる。慣れないうちは、週に1回でも効果がある」と言う。心理学者の実験では、この訓練で幸福感が高まり、ポジティブな気分を味わえることが証明されているそうだ。

METHOD2 いいところ探しをする

子どもに対する接し方として、「欠点を修正しようと、ダメ出しばかりになりがち」なことを指摘する。人はあることに注意を向けると、他の事に気付かない習性がある。イギリスの元首相チャーチルの言葉に「悲観論者はあらゆるチャンスに困難を見出し、楽観論者はあらゆる困難にチャンスを見出す」というのがある。幸福と言うのは客観的な出来事で決まるのではなく、出来事をどのように解釈するのかという主観的な心の働きによって決まる。あら探しをしてしまう人は幸せにはなれない。子育ても同じ。

METHOD3 あえて辛い過去を振り返る

METHOD4 悩みを聞き出すには、散歩かドライブ中に

「人はお互いに真正面から向き合うと、話しにくくなる。横並びと言う切迫感のない状況は心情の吐露しやすさにつながる。特に「運動しながら」というのは有効な手段」と。

METHOD5 ポジティブな解釈を与える

子供が何か大きな失敗や挫折を経験し、うまく心の整理が出来ない時の対処方法として、その経験から何を学ぶかに焦点を当てて、‘こんな見方もできるんじゃない?’とのアドバイスは有効とする。「物事のポジティブな面に焦点を当てることを学んだ人は、成功と失敗の両方から恩恵を得ることが出来る」。

METHOD6 叱るときは主観的に

「叱るときは‘YOU目線’ではなく‘I目線’で叱ること。YOUを責めるのではなく、‘お母さん(I)は悲しいな’と素直に自分の感想を伝える。

METHOD7 本気のNOは「ここぞ」と言うときだけ

METHOD8 結果ではなく努力を誉める

METHOD9 習慣づけしたいことは親子で一緒に

METHOD10 レーズンを食べて心を静める

干しぶどう一粒を、よく見て、触って、口に入れる、ゆっくり噛んで、じっくり味わう。何の変哲もないレーズンだが、五感を使い意識を集中して観察・賞味するだけで「一粒のレーズンを食べる」というシンプルな行為が、不思議な充実感をもたらしてくれる(マインドフルネスというワークの一つ)。「いま、ここ」に焦点を当て、やっていることを体験し、好き嫌いに関わらず湧き上がる感情を味わうことがマインドフル。親子で実践すると、とてもいい経験になり、さらに強固な親子のパートナーシップを築くことが出来ると言う。

以上のようなハーバード流ワークを使えば、子育てはもっとシンプルになるのかもしれないと記事は締めくくる。子供を幸せにする処世術としても参考になると思う。

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