季節感を楽しむ!


12月3日の日経朝刊の「シニア記者がつくる心のページ」に「季節感を楽しむ、高田公理さんに聞く」との記事があった。世界の中でも、こんなに多様性に富んだ四季を持つ国は珍しいと良く言われる。この季節を感じ、楽しむ生活文化が日本人の感受性を育てたと高田さん(仏教大学教授)は言う。

「日本人は季節に寄り添って暮らしてきた。それを支える仕組みの一つが暦でした。旧暦には端午や七夕などの5節句があり、立春、立夏、雨水、清明といった24節気があった。(中略)立春の初候は東風が吹いて厚い氷を解かし始める、立夏の初候はカエルが泣きはじめるなど祖先がいかに自然の脈動を感じて生きてきたかが伝わってきます。」たしかに満月の夜、団子にススキを添えて月を拝んだり、冬の朝家の外のトイレに行って、手水鉢で手を洗おうとしたら氷が張っていたり、子どもの頃のことを思い出します。

「季節の変わり目に体が変調を来さないよう春祭り、秋祭りなどでごちそうを食べ、心身にエネルギーを補給した。その季節にしかない旬の味覚を楽しむのも、祖先が残してくれた大切な生活文化です。」そうか、祭りにそんな意味あいがあったとは知りませんでした。

「初ガツオは1年の内で初夏のある時期しか食べられない。それを逃すと1年待たなければならない。だから女房を質に入れて・・・と言ったわけで、いつでも食べられればそこまで執着しない。」1年経てば食べられるから、余計待ち遠しい。

「今の子どもたちはのべつまくなしダラダラと食べている。(中略)コンビニは全国にあり、いつでも食べ物が手に入る。でも1年のある時期にしか食べられない食材を口にした時の喜び、おなかをすかせて食卓についた時の満足感は格別です。文明の発達は“喜びの瞬発力”を低下させました。いつでもどこでも快適にと、ひたすら欲望の充足を求めてきた私たちは、感動の喪失という形でリベンジされているのかも知れません。」たしかに何でも手に入る今の子どもより、私の子ども時代の「カレーライス」「すき焼き」の有難さや、感動の大きさは何十倍も違う感じがします。

高田さんは言う。東日本大震災が生活を見直す契機になるかも知れない。自然の猛威の前に文明の無力さを痛感させられ、原発事故による電力不足で、快適な生活が盤石ではないことを思い知らされた。昔の生活に戻ることは出来ない今、自然の変化をこころゆくまで感じる生活を見直してみることによって、心の豊かさを少し取り戻そせるのではないか。

幸福感は、昔より今の方が大きいと言えるだろうか?都道府県の「幸福度」調査で福井県がトップだったが、「冬の厳しさがあるから」とも言われている。幸せの原点とも言える「感謝、感激、感動」の心を育てるために考えさせられる記事だった。

「季節感を楽しむ!」への1件のフィードバック

  1. 野っ原で採ってすぐ バター炒めのオカカ和えそんな「つくしんぼ料理」は春だけ食べられる おごちそう  でした(笑)

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