食事療法がひらくがん治療の新たな道

標題のタイトルで、「遺伝子のスイッチオン」で有名な筑波大学名誉教授村上和雄氏と、西台クリニック院長済陽高穂(わたようたかお)氏との対談記事が「致知2015.10」に掲載されている。以前にも、参考になるかと思い、ガン治療に関する記事を挙げている(がん患者の駆け込み寺http://okinaka.jasipa.jp/archives/2928、末期がんの自然治癒http://okinaka.jasipa.jp/archives/2016)。この年になると同僚、先輩の訃報を多く聴くようになるが、そのほとんどがガンによるものだ。昨年末に肝臓がんで亡くなった高校同期は、見つかった時は既にレベル4で、本人から、「いいと思うことはすべてやるから何でも教えてほしい」との要請があったが、何も出来ず診断4か月後帰らぬ人となってしまった。今回登場の済陽氏を「末期がんや晩期がん患者の60%以上を治癒改善に導くと言う実績を持つ済陽式食事療法で、ガン治療に新たな道を切り開いた方」と紹介している。

済陽式食事療法の八大原則を下記する。

  • ①塩分を制限する(1日5㌘以内)
  • ②動物性蛋白質・脂質を制限する(四足歩行動物の肉類は週に1回程度)
  • ③新鮮な野菜と果物を大量に摂取する(1日200~500mlのジュースと野菜350㌘~500㌘)
  • ④胚芽を含む穀物、豆類、イモ類を摂取する(週に1~2回は玄米)
  • ⑤乳酸菌、海藻類、キノコ類を摂る 
  • ⑥レモン、はちみつ、ビール酵母を摂る
  • ⑦油はオリーブ油またはごま油にする
  • ⑧自然水の摂取

 

この指標は、病気予防のためのもので、例えば末期の患者に対しては絶対に禁酒であるとか厳しく指導されているそうだ。

済陽氏は消化器がんの手術で有名な中山恒明先生に師事したり、米国留学したりして外科手術の腕を磨き、都立荏原病院では消化器がんだけでも2000例以上の手術をやられた。患者さんを救いたいとの一心だったが、手術後5年生存率は52%程度しかなく、「手術と言う患者さんの心身に重い負担を強いるものなのに、結局命を助けることも出来ていない。これではあまりにも患者さんに申し訳ない」と、外科手術だけに頼るのではなく、放射線治療や、抗がん剤治療を勉強したが、こうした治療も完全に治すのは難しかった。そんな時、手術ですべてのがんを取り除くことが出来なかった患者が独自に探した「甲田療法」と言う食事療法を試み1年半でがんが無くなったことや、留学中に世話になった先生から前立腺がんになったとの知らせが入り、「甲田療法」を勧めたところわずか半年ですっかりがんが治った事例などから、食事療法に興味が湧き、真剣に考え始められたそうだ。7年前に開院された西台クリニックでは、年間600名を超える患者さんを相手に最新性の機器を使ったがんの高精度献身と、食事指導をされている。がんで悩まれている方に何らかの参考になればと願うばかりだ。

夫婦円満の秘訣(ベスト・パートナーになるために)

以前NHKの「家庭内別居スペシャル」の番組を紹介(http://okinaka.jasipa.jp/archives/1509)し、自省の弁を述べた。今回紹介するのは、「ベストパートナーになるために~男は火星から、女は金星からやってきた~」(ジョン・グレイ著、大島渚訳、三笠書房、2013.7)の本だ。この本での指摘が、我が家のコミュニケーションのすれ違いの原因として、面白いほど納得性があることから、その一部を皆様にも紹介することにしたい(ただし、我が家には当てはまるが、男女の違いに関して普遍性があるとは思わないことは言っておきたい)。”男性“を私、”女性“を家内と読み替えて頂きたい。

女性がストレスや心に不安定さを覚え、男性にそのストレスをぶつけた時、男性の反応にさらに落ち込んだり怒らせたりするのはなぜ?→→こんな時、女性は親しい人の愛情が欲しくて、自分が決して孤独な存在ではないと確信したい。相手からの同情、理解、慰めを強く求める。男性はその心理に気付かず、むしろ女性の事を気遣うが故に、そっと一人にしておいてあげるべきと考えたり、あるいは問題解決してあげればいいと、性急に解決策を示して女性を追い込むことになりやすい。

たまったストレスの対処方法が、男性と女性では違う→→男性は自分の心の穴に閉じこもり、問題解決することに全神経を集中させる。そのため、相方の女性への気遣いがおろそかになる。一方、女性は自分の感情について思いっきり話したくなる。ひとたび話し始めると問題の重要性に関係なく、ただアトランダムに様々なことについて自分の感情をぶちまける。問題の解決をしたいのではなく、自分の感情を相手に理解してもらい、自分なりに救われた気持を得ることを優先する。パートナーに自分の、話に耳を傾けてくれた、理解してもらえたと実感できたことでストレスは一気に解消する。

男性は女性のひと言を”誤解“している→→例えば「あなたは私の話を少しも聞いてくれない」と言う言葉を彼女は「少しも」と言う言葉を文字どおりに解釈してほしいとは望んでいない。「少しも」とか「絶対に」と言う言葉を使うのは、彼女のフラストレーションの度合いを表現している。すなわち女性は自分の感情を目いっぱいに表現する。一方、男性はその言葉を聞いたとおりに解釈してしまうため、行き違いを生じさせる。

”大きな贈り物“と”小さな気遣い“は女性にとっての価値は同じ?→→とかく男性は”一点豪華主義“の愛情表現だけで安心し、女性が本当に望んでいる”小さな幸せ“を積み重ねる努力を怠ってしまう。女性には”愛情タンク“があり、ガス欠にならないよう小さな愛情でもいいから頻度を多く、常に”満タン“状態に保つことがベストパートナーになる秘訣だ。

家内とのやりとりで、コミュニケーションが上手くいかないケースも多いが、上記の事が、我が夫婦の事を言っているのかと思うほど、当てはまるのに驚いた。こういうことを認識しながら、家内への心配りを心掛け、今以上のベストパートナーを目指して頑張りたいと思う。

「繁盛創り、人創り」理念で60年続く町の酒屋さん(泉谷酒販)

かつてはどこの街角にも見られた「町の酒屋さん」も1990年以降の規制緩和でスーパーや大型量販店に押され廃業を余儀なくされ次々と姿を消した。私の故郷でも以前何軒かあった町の酒屋さんが今は全くなくなっている。そんな状況の中で、創業60年を経た今も、年商35億円、利益率はコンスタントに3%以上挙げている町の酒屋さんが福岡県久留米市にある。「泉屋酒販」だ。理念を掲げ、その理念を徹底的に追及し、具現化していったその知恵と行動が、今につながっている(「PHP松下幸之助塾2015.1-2」の「酒文化の創造と伝承で人と地域を幸せにする」記事より)。

泉屋酒販は、飲食店や外食産業にお酒を納める業務用酒販店で、自らの事業を「酒文化価値創造業」と位置付け、お酒を販売するだけでなく、それを通じて酒の文化的価値を伝え、お客さまである店の繁盛や人の幸せを創造していくことを目指した。そして「繁盛創り、人創り」の経営理念を掲げた。「繁盛創り」とは、お客さまである飲食店の繁栄を実現する事。業務用に絞って営業展開してきたことで、飲食店が繁盛するためのノウハウを50年以上にわたって蓄積してきた。その蓄積を活用して、久留米随一の歓楽街「新世界」(1960年代)や「文化街」(1970年代後半)の基盤を作ったのは泉屋酒販だ。

そして、このようなお客様の繁栄に貢献できる社員を育成することが「人創り」だ。酒の文化を伝えていくには、社員自身がその知識に精通している必要がある。そのため、ソムリエや唎酒師(ききざけし)、焼酎アドバイザーなどの資格取得を奨励し、多くの社員が何らかの資格を持つ「お酒のプロ集団」となっている。

1955年(昭和30年)に4坪の店舗からスタートした土師軍太現会長の理念を、息子の現社長(康博氏)と専務(正記氏)が受け継ぎ、現在も博多や北九州、熊本の八代などまで取引先を拡げている。泉屋酒販が扱っているのはお酒と言う「モノ」ではなく、お酒と言う「文化」であり、社員やお客さまと共に、お酒の夢やロマンを語れ、人の幸せにつながるお酒の飲み方、売り方を今後も提案していくと息子たちも言う。

東京町田市にある「でんかのヤマグチ」を何度かこのブログでも紹介した(http://okinaka.jasipa.jp/archives/180)。「町の電気屋」も酒屋さんと同じく多くの店が廃業に追い込まれる中、地域のお客さまに対するサービスを徹底することで安売り競争に巻き込まれることなく、今なお高い利益率(粗利率35%)を挙げられている。日本の課題「地方創生」の大きなヒントになるのではなかろうか。

冲中一郎