失敗・成功する人の12か条(大和ハウス工業会長樋口氏)

以前に当ブログでも紹介した大和ハウス工業会長の樋口武男氏(http://okinaka.jasipa.jp/archives/192)の言葉が、“致知BOOK”メルマガで紹介されていた。『人間学入門』(藤尾秀昭・監修、致知出版社刊)の中の一度は読み返したい一文だ。
「失敗する人の12カ条」
1 現状に甘え逃げる・・・・。
2 愚痴っぽく言い訳ばかり・・・・。
3 目標が漠然としている・・・・。
4 自分が傷つくことは回避・・・・。
5 気まぐれで場当たり的・・・・。
6 失敗を恐れて何もしない・・・・。
7 どんどん先延ばしにする・・・・。
8 途中で投げ出す・・・・。
9 不信感で行動できず・・・・。
10 時間を主体的に創らない・・・・。
11 できない理由が先に出る・・・・。
12 不可能だ無理だと考える・・・・。

「成功する人の12カ条」
1 人間的成長を求め続ける・・・・。
2 自信と誇りを持つ・・・・。
3 常に明確な目標を指向・・・・。
4 他人の幸福に役立ちたい・・・・。
5 良い自己訓練を習慣化・・・・。
6 失敗も成功につなげる・・・・。
7 今ここに100%全力投球・・・・。
8 自己投資を続ける・・・・。
9 何事も信じ行動する・・・・。
10 時間を有効に活用する・・・・。
11 できる方法を考える・・・・。
12 可能性に挑戦しつづける・・・・。
自分自身の行動をチェックするには、箇条書きはわかりやすい。当ブログでは「ブスの25か条(運を逃がす)(http://okinaka.jasipa.jp/archives/6)」が評判だった。稲盛和夫氏の「リーダーの役割10か条」や荻生徂徠の「人を育てる徂徠訓(8か条)」なども話をする際に使わせてもらっている。名経営者や先哲などの名言で自分自身を振り返るのも長い人生大いに意味あると思われる。

”生きる“らしく生きる

多彩な経歴を経て、今、慶応義塾大学准教授で異言語・異文化コミュニケーションを基盤にした英語教育をしておられる長谷部葉子氏。24歳で帰国子女の経験を活かし「寺子屋」を開設。高卒ながら35歳で慶應義塾大学に入学、48歳で同大学専任教官となり、「寺子屋」経験に基づいて「長谷部研究会」を作り、約50名の学生を対象に現場での実践やフィー-ルドワークを重視しながら社会問題を学ぶ場を運営している。学ぶ場でのフィールドの一つである「コンゴ民主共和国での小学校の設立・運営」に関係して、ある時コンゴの大使から言われた言葉が長谷部氏の心の中で響き続けていると言う。
「コンゴに行くのであれば、人々がどんな生き方をしているのかを見てきてください。日本は豊かな国なのに、なんでこんなに自殺者が多いのですか。“死”は誰にでも平等に訪れます。“死”とは訪れたときに受け入れるもので、自ら選ぶものではありません。それがわからないというのはどういうことですか。」
日本という安全な国、豊かな国にいると「生」を与えられて生まれてきたこと、「生きること」の価値の素晴らしさに鈍感になる。命をいただいていることへの感謝が薄らいでいる。長谷部氏は、多くの人が生きることに最大の喜びをもって真剣に生きてほしい、そのためには、普段の生活、つまり食事や睡眠、暮らしに関するすべてにおいて喜怒哀楽をもって人と共感しあうことが「生きる」ことの醍醐味だと言う。そして研究会のテーマを「”生きる“らしく生きる(”生きる”は長谷部氏の造語で名詞として表現)」と掲げている。学生たちは言葉や文化の全く異なる現地の人と生活を共にし、生きることの厳しさと喜びを掴んでいく。
自殺大国と言われて久しい日本だが、特に若者の死因のトップが自殺というのは、先進7か国では日本だけという。テレビやゲームに熱中するのではなく、外に出て世の中を知り、人との接触・対話の中で生きることの喜びを知る場を提供する教育の役割は大きい。「“いま”“ここ”に真剣に向き合い自分の力で人生を切り開いていく、そういう人を一人でも多く育てるためにこれからも教育に力を注ぎたい」と長谷部氏は語る。(「致知2016.9」致知随想より)
ちなみに世界保健機関が毎年発表している「10万人当たりの年齢調整自殺数(2015)」は日本が17位(18.1人)、コンゴ民主共和国が67位(10.1人)となっている。

人は笑うから楽しくなる!(臨床道化師塚原氏)

英語名クリニクラウンの臨床道化師とは、病院を意味する”クリニック“と道化師を指す”クラウン“を合わせた造語で、入院生活を送る子供たちの病室を定期的に訪問し、子供たちの成長をサポートしながら笑顔をはぐくむ道化師のことを言う。クリニクラウンによる国内初の組織を結成し(平成17年)、日本に新たな道化師文化を醸成してきた臨床道化師塚原成幸氏と笑いを研究テーマの一つに掲げる筑波大学名誉教授村上和雄氏との対談記事が「致知2016.9」に掲載されている。
東京出身の塚原氏は、満員電車の中などで、ともかく笑いが少ない世界を問題視し、道化師を目指す。最初は、劇場やテーマパークで仕事をしていたが、ある時「劇場に来る人が本当に笑いやユーモアを心の底から必要としているのだろうか」との疑問を持ち、自分で足を運んで笑いやユーモアを必要としているところに出ていくしかないと考え、クリニクラウンの組織を結成することになったそうだ。
小児医療の現場で活躍されているが、その考え方にも共感を覚える。訪問した際の演劇で一時的な笑いを提供するのではなく、子供たちや両親、看護婦など周辺の人たちの心に後々まで残り、お互いの関係(母と子供、子供と看護婦の信頼関係など)を改善し、臨床道化師の役割を誰でもが果たせることに気付いてもらうことだと。例えば、子供を入院させて自分を責める母親も多い中で、演劇の途中で母親に参加してもらい、子供が母親の手を握り返す姿に、子供の母親を思う気持ちを感じてもらい母親に自信を取り戻してもらう。
笑いを提供し、笑いを拡げていく役割を果たす道化師を専業とする人はまだ全国で100人程度とか。塚原氏の座右の銘は「人は楽しいから笑うんじゃなく、笑うから楽しい」という。テレビやゲームに熱中して、遊び(心)を知らず、 “楽しい”“嬉しい”“悲しい”との感性にも弱く、他の人との関係性にも疎いまま大人になっていく子供たちに焦点を当て、“笑い”を拡げていく道化師。これまであまり知らなかった世界だが、こんな立派な役割を果たそうとする職業であることを知った。日本の将来を担う子供たちのためにも頑張ってほしい。

DSC01568

冲中一郎