フランス旅行~その7~ルーブル美術館

オペラ・ガルニエからオペラ大通りを南へ15分程度歩くとルーブル美術館だ。アメリカのメトロポリタン美術館、ロシアのエルミタージュ美術館とともに世界三大美術館の一つに数えられる。パリの中心に位置し、元は12世紀末に城砦として建てられ、その後百年戦争、フランス革命を経ながら宮殿から美術館へと変遷をしてきた。年間800万人の訪問者数を誇るパリ、フランスで最も多くの観光客が訪れるスポットとなっている。現在中央出入り口となっているガラス造りの”ピラミッド“は1981年ミッテラン大統領の時につくられたもの。ルーブル美術館は、セーヌ川に面したコの字型の建造物で、リシュルー翼、シュリー翼、ドゥノン翼と3つのウィングに分かれ、その広大さに1週間あってもすべてを見ることが不可能と言われる。

特に有名な作品を3点紹介する。まずは“ミロのヴィーナス”。ギリシア神話におけるアフロディーテ(愛と美の女神)の像で、“ミロ”とは発見地ミロス島のラテン系名称だ。その優美さとその解釈を巡るなぞにより人々を魅了している。次は“サモトラケのニケ”。ギリシアで発見された翼のある勝利の女神像。前2世紀初頭の海戦の勝利を記念する像で、ナイキ社の社名由来ともいう(NIKE)。タイタニックの舳先で空を飛ぶ姿は、ニケの像にイメージを重ねたものとも言われる。次にダヴィンチの“モナリザ”だ。ここがもっとも人手がすごい。絵に近寄ることもできず、写真も撮りそこなった。謎のベールに包まれた笑顔に興味がわく。

ドゥノン翼のグランドギャラリーも人出がすごい。ダ・ヴィンチ、ラファエロ、ボッティチェリなど、イタリア、ルネッサンスの巨匠たちの作品がずらりと展示された全長450メートルにも及ぶ大回廊だ。人だかりの所にダヴィンチの絵が並んでいる。 “岩窟の聖母”と“聖母子と聖アンナ”が有名だ。ラファエロの「聖母子と聖アンネ」、モンサンミッシェルでも紹介した聖ミカエルを描いた「ミカエル天使の仕事」。そしてボッティチェリの「バラ園の聖母」とフレスコ画「三美神を伴うヴィーナスから贈り物を授かる若い婦人」。有名な受胎告知(レオナルド・ダヴィンチ)、ヴィーナスの誕生/プリマヴェーラ(ボッティチェリ)、ヒワの聖女(ラファエロ)などはイタリア・フィレンチェのウフィッチ美術館にある(イタリア旅行http://okinaka.jasipa.jp/archives/2656参照)。

さらにイタリア画家の作品がドゥノン翼にある。フラ・アンジェリコの「聖母戴冠」、ジェットの大作「聖痕を受ける聖フランチェスコ」(イタリア・ピサのサン・フランチェスコ大聖堂の主祭壇画として制作)、ヴェロネーゼの「カナの招宴」など。

フランス画家の絵もドゥノン翼だ。ダヴィッドの「ナポレオン1世の戴冠式」、冠を授けているのがナポレオンで、授けられているのは妻ジョセフィーヌだ。1804年パリのノートルダム大聖堂にて行われた。アングルの「オダリスク」(ありえない長く伸びた背中もアングルの特徴とされているが、ありえない長く伸びた背中も含めてアングルの特徴とされている)、ドラクロアの「民衆を導く自由の女神」(1830年の7月革命)などが有名だ。

彫刻では、ミケランジェロの2体の「奴隷」像、カノーヴァの「アモルの接吻で蘇るプシュケ」などがある。

日本人ガイドが手際よく1時間強で回り説明してくれたが、人込みもあり、けっこう疲れる。そのまま、夕方のセーヌ川クルーズに備えて宿に帰る人も多かったが、私は家内と印象的だった絵を再度見学に行った。

フランス旅行~その6~オペラ座

2007年に海老蔵、團十郎が「勧進帳」などを演じたフランスの“オペラ座ガルニエ”。昨夜は、このオペラ座から歩いて10分ほどのラ・ファイエット通りに面したホテルに宿泊し、当日は徒歩でオペラ座とルーブル美術館に行った。フランスには、このオペラ・ガルニエとオペラ・バスティーユという二つのオペラ座がある。オペラ・ガルニエは、ナポレオン3世の命によりバロック様式で1875年に完成(ガルニエは設計者の名前)。オペラ・バスチーユはガルニエ建設100周年、フランス革命200周年記念で1989年に建立。現在はガルニエはバレー、バスティーユがオペラと棲み分けられている。今回はガルニエの内部見学だ。「オペラ座の怪人」の舞台であったことでも有名だ。とにかくきらびやかで華やかなオペラ座の外観。頂上の両端には、芸術の神ミューズの金の彫刻がまぶしく輝いている。入り口には設計者ガルニエの像。正面右には、はオルセー美術館に展示されているカルポー作のコピーである彫刻「ダンス」が飾られている。

中に入ると、まず、2200席の観客席の模型が飾られている。今日は舞台と観客席の見学が可能らしい。見学可能な日は幸運だと言われる。舞台があるときなどは入れない。

エントランスでは、3又に分かれた大理石の大階段、柱、シャンデリア、そして天井には太陽神アポロンのフレスコ画、まさにパリの社交場にふさわしい豪華さ。その階段を上がった先の、前ロビーと呼ばれる幕間に観客が飲食できるサロン、大理石の床の幾何学模様もすばらしい。

そしてベルサイユ宮殿の鏡の間にもひけをとらない中央ロビー。グラン・フォワイエ(大ロビー)は、高さ18m、長さ58m、幅13m。きらびやかな金の装飾の間にちりばめられたいくつもの美しくて繊細なシャンデリアと天井画が豪華だ。 その外側のバルコニーからは、オペラ大通りとその奥にあるルーブル美術館まで一望することができる。

 

さて、いよいよ舞台と観客席に入る。2200席を数える客席は赤いベルベットで覆われ、その頭上に広がるのは、1964年にシャガールが手がけた大きな天井画「夢の花束」、そして7トンもの重さがある大シャンデリア。オペラ・ガルニエ最大の見どころです。

 

その他重厚な造りの図書館や、オペラ・ガルニエに関する資料が展示されている美術館など、バレーファンなどにとって興味の惹かれる部屋も見学できます。

フランス旅行~その5~オルセー美術館

ベルサイユ訪問後パリに向かい、19世紀美術専門の“オルセー美術館”を訪れる。1900年のパリ万博時に誕生したオルセー駅の駅舎を整備し美術館として開館した。印象派を中心に19世紀中ごろから20世紀初頭までの作品を所蔵している(明日訪問する“ルーブル美術館は18世紀以前の作品を所蔵)。オルセー美術館名物のオルセー駅名残りの大時計(1900年パリ万博時誕生)が有名だ。構内には駅舎の模型があった。入場口近くの彫刻の広場も駅舎を感じさせる光景だ。

マネ、モネ、ルノワール、ドガなど、日本人にも馴染み深い作品が多い。まずマネの作品を紹介する。「草上のピクニック」と「オランピア」。裸婦は女神になぞらえるのが常識の時に普通の裸婦、そして娼婦と、最初は世間から受け入れられなかったそうだ。

次にモネの作品。1日目に訪問したジベルニーの「睡蓮の池」と「庭」、そして妻と息子を描いた「ひなげし畑」。「傘をさす女」の右向きと左向きの絵も有名だ。

ルノアールの「日の当たる女の上半身」、モンマルトルで写生したとされる「ムーラン・ド・ウ・ギャレット」、庶民のささやかな幸せを描いた「ブランコ」、しゃれたドレスで華奢な女性の「都会のダンス」とちょっと太り気味の女性の「田舎のダンス」、対比が面白い。

ドガの「青い踊り子たち」、セザンヌの「りんご」、ミレーの「晩鐘」、カバネルの「ヴィーナスの誕生」、壺から流れる透きとおった水が印象的なアングルの「泉」など。

彫刻では、ブールデルの「弓を引くヘラクレス」、オペラ座の玄関アーチにもあるかカルポー作の有名な「舞踊」(ダンス)、とオルセー美術館名物のポンポン作の「白くま君」など。

次に紹介する“ルーブル美術館でもそうだが、有名な美術作品を目の当たりにすると、作者の見事な筆使いや息遣いを直接肌で感じることが出来、感動する。

冲中一郎