自己肯定感が人を劇的に成長させる

致知2010・.9号の記事です。

福井県鯖江市の小学校教諭(岩掘美雪さん)が試みた施策が評判を呼び、今では県内はもちろん県外の学校あるいは企業関係者から講演・ワークショップの依頼が殺到しているとの事です。

「どの子にもいいところが必ずある、すばらしい可能性を秘めている」との考えを原点とし、子供達に配ったファイルに自分の楽しかったことや、嬉しかったこと(例えばかけっこで完走できた、賞をもらった、宝物にしている写真や手紙など)を入れることから始めます。先生も出来るだけそのようなものが集まるよう生徒の写真をとって配ったり、保護者にも子供のいい点を書いてもらったり、皆が協力しながら子供達のいい思い出につながるものを集めファイルしていきます。そしてそれを子供達がお互いに見せ合いながら話し合う。楽しい、嬉しい思い出ばかりですから話が弾み、気持ちいい会話になります。このような活動を始めて、子供達が学校においても、家庭においてもきらきらし始めたそうです。

「自己肯定感」と言う言葉は心理学の用語で「自分の事が好きですか?」ということだそうです。この「自分を認める」ことが人が成長するために必要な要素で、これがあれば人は自然に成長するとの事です。このことがNHK地方局で放送されてから一挙に世間の関心が集まり、この活動が全国に広がり始めたそうです。インターネットで「パーソナルポートフォリオ」で検索すると岩堀さんのページも出てきます。

ある企業のワークショップで、部長さんが自分のいい所を見ていてくれたことが分かり大泣きした女性社員がいたそうです。自分が好きな点を探すこと(一般的には嫌いな点が出てくる)に努力してみませんか。両親に聞くとか、友達に聞くとか、そして素直に喜び、それを常にかみ締めながらより高めていく。これで前向きな姿勢を高めて、次に欠点(課題)を克服するための努力につなげていくことで、より大きな成長につながるのでしょうね。

生き物の不思議

4年前の8月のNHK番組の話です。そろそろ蝉の声が大きくなってきましたが、13年蝉、17年蝉の話です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

NHKの「ダーウィンが来た」(日曜日19時30分~20時)ですが、今回の番組には驚きを禁じえませんでした。

アメリカのシカゴで、「17年ゼミ」が今年の5月に17年ぶりに大量に発生したとの番組です。70億匹だとか。17年間地中で成長し、17年目に地上にさなぎのまま出てきて、競って木に登り羽化する。木に登らないと蟻に食べられてしまうことを知っているのです。羽化すると羽を乾かすために競って木の頂上(日が当たる場所)に移動する。そしてまた17年後のためにメスをみつけ、交尾し卵を産む。10日間の命です。アメリカには「13年ゼミ」も存在するとか。氷河期に、氷河に閉じ込められてゆっくり成長するようになった。それも13、17の素数年を成長の期間にしたことが驚きです。13年ゼミと17年ゼミが同時期に出てくると双方が混じって卵が生めなくなるとの事で、同時期にならないように(221年サイクルで同時期になる)素数ゼミとなったとか。

生きのこった生物の生き続けるための、種を維持するための順応性、そして執念、その執念が生命体そのものを変えてしまう、その摩訶不思議さにはほんとに驚かされます。恐らく10年ゼミとかいろいろあったのだと思いますが結局生き残ったのが13年、17年なのでしょうね。この番組は、ほんとによく出来ていると思います。世界初の録画画面ばかりです。

自然と共生していかなければ(自然を破壊ばかりしておれば)、人間もいずれ淘汰されるのでしょうか?

学習塾のない学力日本一の町

人間学を学ぶ月刊誌「致知(2011.8)」より。

秋田県の西北、白神山地の麓に位置する八峰町。2008年12月に、その年に実施された全国学力テストの成績が公表されました。秋田県は小学6年、中学3年の成績が共にトップクラスで、人口約9000人の八峰町の小学6年が学力日本一。以来、日本のみならず海外からも取材や視察が後を絶たず、今も続いており500件を超えているそうだ。

学習塾もない辺境の小さな町がなぜ日本一になれたのか?町の教育長は、特別な事は何もなく、当たり前のjことを当たり前にやってきただけと答えるしかないと言われるのですが、授業の様子を見学された方々は一様に、教師や子どもたちの目の輝きに驚かれるそうだ。教育長曰く、「私たちの町には一つの自慢があります。地域の人間関係がとても良いのです。三世代同居の家庭が多く、お年寄りは子どもを、子どもはお年寄を大切にする気風が根付いています。それに学校や教師への信頼が厚く、新聞で目にする給食費未納問題や、モンスターペアレンツも不登校もゼロです。」と。

町内の小学校・中学校の教師が自主的に交流し同じ課題に取り組んだり、教職員OBの学校活動への参画など、いろんな施策と相まっての結果と思いますが、3世代同居で、お互いを敬う、大切にするとの気風は、昔の田舎では通常見られた光景です。

今、都会ではどうでしょう。子どもを育てるのは母親(父親はめったに会えないため甘やかす?)のみで、子どもは地域の人から温かい声を掛けられることはあるでしょうか?おばあさん、お祖父さんから教えを授かることはあるでしょうか?子どもは多くの人からの愛を感じることが出来るでしょうか?

震災で地域の絆、家族の絆が復活したと言われています。元アサヒビール社長の中條高徳氏は言う。

「豊かになるとともに我が民族にはびこっていた絆の乱れ、個の主張の虜になって無縁社会が到来し始めていた。この大きな災難(東日本大震災)がその生きざまの綻びを気付かせてくれた。所詮、人間は一人では生きられないという「生きる理(ことわり)」を教えてくれたのだ。」

八峰町の事例は、まさに家族、地域、学校の絆が、学生をも育てることを実証している。

冲中一郎