日本人の矜持を育む学校、海陽学園

愛知県の蒲郡市に、トヨタ自動車やJR東海、中部電力などの企業が出資して作った中高一貫の全寮制男子学校があるのをご存知ですか?2006年の創立で、今年の3月に初めて一期生が卒業する。今、グローバル競争に打ち勝てる人材育成が叫ばれている中、教育の改革は急がれています。昨日(1.19)の朝日新聞にも大学トップマネージメントフォーラム「今こそ問われる大学の使命~変容する社会とこれからの人材育成~」の記事の中で、前グーグル社長の辻野さんが「個人の競争力、開拓者精神を高める」ことを強調され、各大学の学長も、世界の大学との連携を深めて、外国から学生を大々的に呼び込み、その中で自律的で考動力を身に着けた人材育成をすることの必要性を説いておられる。以下、「致知2012.2」に掲載の海陽学園ハウスマスター統括の佐藤修一さんの記事から海陽学園を紹介する。

海陽学園はまさに「未来の日本を担うリーダー育成」を目的とした学校である。単なる学力エリートではなく、真に国を代表するリーダーとなるために、「人間力が高まれば基礎学力も高まる」という理念の下、全寮制の中で規律や礼儀を学び、全人格を磨く。寮は「ハウス」と呼ばれ、12のハウスがある。それぞれにハウスマスターを一人、フロアマスター3名を配置しているが、そのフロアマスターは出資の一流企業から毎年派遣されてくる20代の独身社員が務める(佐藤さんは元自衛官、JR東海の葛西会長から誘われた)。これらのフロアマスターは24時間体制で生徒一人一人を見守る。テレビゲームも携帯電話も禁止のため、家族との連絡も容易には取れない。佐藤さんは「一種の逆境の下でこそ、物資に恵まれ飽食の時代に育った彼らの眠った遺伝子を呼び起こすのではないか」と言われている。事実自分のエネルギーの中にあるスイッチが入ると、そこに向けて一直線に進んでいく姿が見られるとか。「一度火が付いたら、さすがサムライDNAを持つ素直な少年たち。「これ以上やったら体を壊すからやめなさい」というまで勉強に、学校行事に打ち込んでいきます」と表現されている。

佐藤さんは「世界に冠たる基礎学力とともに人間力を伴った次代のリーダーを輩出すること。卒業生が自分の子供や孫も入学させたいと思うような伝統ある学園になること。はるか遠くにある目標を忘れず、目の前の生徒たちを育んでいきたい」との思いを語られている。そして、「海陽学園に続き、日本人としての矜持を育むような学校がこの日本に増えていってほしい」と言われ、日本の教育の実情に対する問題提起を暗に指摘されている。

先般(15日テレ朝)、大阪の橋下市長と、北海道大学の山口二郎(政治学者)との対談において、橋下市長の教育改革に込める熱い思いが伝わり、「学者は何もわかっていない」との過激な発言に、山口教授はタジタジだった(この対談後 山口教授のブログが炎上したそうだ)。グローバル化にまっしぐらの今、教育改革は待ったなしである。

鎮魂! 阪神大震災から17年

今朝は17年前を思い出す阪神大震災の朝です。時がたつにつれ薄れる危機感を自分自身にも思い起こさせるために、昨年も1月17日に「阪神大震災から16年」という記事をブログ(社内向け)に書いた。その3カ月後に、東日本大震災が!実はその前日(3月10日)のブログに下記の記事をUPしていた。まさか翌日東日本大震災が起こるとは思わず!

反省!地震不感症

昨日〔3月9日〕11時45分頃、三陸沖で地震が発生しました。その後も、余震が20数回発生しています(昨夜もガタガタという音で2度目が覚めました)。昨日の地震の際、私はエレベーターホールにいました。何か「ミシッ、ミシッ」とする音が長く続きかなり大きな地震と思いました。そのうちエレベーターが来たので26階(社内食堂)に行くために乗ったのですが、エレベーターの籠が揺れているのが分かるほどでした。かなり揺れていました。無事26階に着き、いつも通り食事をして帰ったのですが、夕方のニュースで隣の都庁のエレベーターが停止したニュースを見て驚くとともにおおいに反省させられました。

  • 反省その1:「ミシッ、ミシッ」とまだ続いている状態でエレベーターに乗った事。
  • 反省その2:明らかにエレベーターに乗った後も揺れが続いている状態に気付いたのにそのまま乗り続けたこと。
  • 反省その3:同乗している人も気持ちの悪い揺れに驚いている状態であるのに、声をかけて途中下車を薦められなかった事。

阪神大震災経験者である私としては、その経験が全く活かされていないことに反省すること大である。まさにリスク管理欠如と言われても仕方がありません。もし、エレベーターに閉じ込められたり、万が一エレベーターが制御不能になって落下したりする可能性も否定できない、そのような時に、率先してリスク回避行動をしなければならない立場であるにも関わらず、危険行動を皆さんと一緒にやってしまいました。まさにニュージーランド地震の悲劇が起こった矢先のこと。如何に自分がNZ地震も他人事と考えているか、東海地震の発生も言われている時、全く無防備な自分を反省し、行動に移したいと思います。対策を打っている方もいると思いますが、自分も無防備と思われる方は一度考え直しませんか。


今朝の日経社説にも、「都市型震災への備えを新たに」と題して、三大都市圏でも大地震と津波が同時に襲う災害は無縁ではなく、過密化した都市が被害をさらに拡大する恐れも大きい(江戸元録期の関東地震では東京湾で2メートルを超える津波があったとか)。阪神と東日本の震災の教訓を踏まえて、こうした「複合災害」への対策を練り直すべきだ。(中略)阪神の被災地では、高校生以下の子供の大半が震災後に生まれ、災害体験の風化が懸念されている。東日本大震災の記憶が新しい今だからこそ、教訓を語り継ぎ、減災への出発点にしたい。」とある。

日本列島は地震の活動期に入った公算が大きいとか。私のような経験者でも時が当時の恐怖感を風化してしまう。当時は神戸の惨状が目に焼き付き、地震への恐怖感一杯だった。その意味でも、東日本の現地に赴くことは、今を強い意志で「減災の出発点」にするためにも意味あることではないだろうか。

天敵がいない動物は人間だけ?!

「小さな経営論(致知出版社)」の中の「人体の不思議」の項に下記のような話が書かれている。

(膨大な)宇宙の中で地球だけに生命が宿されている。宇宙から見た地球はものすごく美しいと宇宙飛行士たちは口を揃える。地球に住む生命体が発するオーラが、地球を美しく輝かせているのに違いない。その地球に住む生命体に宇宙は等しく天敵を与えた。天敵がいなければ、あらゆる生命は増長し、蔓延、跋扈する。それは調和を愛する宇宙の心に反するということだろう。ただ、限りない生命体の中で人間にだけ天敵がいない。なぜか。長い間の疑問だったが、ある時思い至った。人間の天敵は外でもなく、心の中にいるのだと。

さらに続ける。

人間を襲い、蝕む天敵。それは心の中に巣くう不平不満である。事あるごとに湧き起ってくる不平、不満、愚痴こそ、人間を滅ぼす天敵である。人間を救う天敵の対極にあるもの、それが感謝である。心が感謝の思いに満ち溢れた時、あらゆる不平不満は一気に消える。感謝こそ人間という生命体を健やかに成長させる根幹である。

と。

亡くなったプロゴルファ杉原輝男が、生前「致知」に投稿した文章がある。(2008.8)

もっとも、私自身も気がつくのが遅かったが、誰のおかげでゴルフをしていられるのかと考えた時、私は試合後にお世話になったスポンサーやコースの支配人宛に礼状を出すことにした。40歳を過ぎた頃だっただろうか。(中略)

人間であれば心があるのだから、挨拶もするし、相手への思いやりも当然持つことだろう。何も特別なことは必要なく、当たり前のことを当たり前にできるようになれば、その人は人間として立派なプロなのだ。

ゴルフに限らず、その世界の上位クラスで活躍をする人は一流の素質か、それに近いものを持っている。しかし人間として一流でなければ、その人の値打ちは半分以下になってしまう。

もうひとつ、作家三浦綾子の言葉を紹介しよう。(人間学入門より)

  九つまで満ち足りていて、十のうち一つだけしか不満がない時でさえ、  人間はまずその不満を真っ先に口から出し、文句をいいつづけるものなのだ。  自分を顧みてつくづくそう思う。  なぜわたしたちは不満を後まわしにし、感謝すべきことを先に言わないのだろう。

感謝の心、そして常に“ありがとう”の言葉を忘れずに生きて行きたい!

冲中一郎